何者 さとり〜Z世代の現実
2016年に映画化した本作。
就活という見えないゴールに向かって一斉スタートする競技を背景に、
時代の波に揉まれてもがきながら自分という曖昧な存在を自覚していく話。
主人公の冷静な視点で進んでいくストーリーは、
大学生活の狭い人間関係の中で小さな発言をきっかけとした胸のザワつきや友人同士のマウントの取り合いを捉えている。
カッコつけた台詞をもったいぶらずに出せ、留年してやりたいことを追いかける友人、
留学やインターンなどキラキラした就活では得点の高いカードを何枚も持つ友人、
周囲の人間を素直に尊敬してOBOG訪問・面接練習を死に物狂いでこなす友人、
どれも頑張っちゃって馬鹿みたい。
自分だけは特別で、他の人のように必死さを表に出してアピールしまくらなくても、
どこかで誰かが見ていてくれる。
と思いたくなる気持ちは誰しも持ったことがあるだろう。
高校まではルールのある競争だったから、ある程度コツを掴めばうまくやれていた。
大学に入ると、興味の幅も広がり、交友関係も異なり、進路の選択肢も膨大に増える。
自分と向き合うことを後回しにして、周りに流されて適当に過ごしていると、
自分が何者にもなれると信じている割には何者にもなれないという不安にぶち当たる。
何者にもならなくていい、ありのままの自分という存在を正面から見つめられる時、青春が終わるのではないか。
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