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マダガスカルで色々震える体験をしてきた話

<会いたくて会いたくて震えた話>

「会いたくて会いたくて震える」ってすごく破壊力のある表現だ。
これは、かの有名な西野カナさんの曲「会いたくて 会いたくて」のワンフレーズである。
遠い君を思えば思うほど、好きという感情が暴走してしまい、その様子を
自分の意志ではコントロールできない「震える」という所作で表現している。

これは日常で感じる「何かを好き」程度の思いじゃ到底及ばない。
だってプリンを食べられない日があってもそんなに震えないし、
カレーを食べられない日があってもご飯を食べることは可能だ。

これほどの狂気にも似た激情を何かに抱いたことがあるだろうか?
…と自問自答し、ありとあらゆる引き出しを開けてみたところ、
今か今かと出番を待っていた話があった。


「バオバブに会いにマダガスカルに行った」話だ。


まずバオバブを簡単に紹介する。
バオバブは、アフリカ大陸に1種、オーストラリア大陸にも1、2種、そしてマダガスカルに少なくとも7種が分布している樹木である。
何と言ってもその樹形が特徴的で、ぶっとい寸胴の幹があって、上部に少しだけ枝が生えている。
樹を逆さまに植えたような形と説明されることが多く、
「星の王子さま」では、星を壊す恐怖の存在として描かれている。この樹の形がもうかっこいいのなんの…
日本のどこを探してもこんなにかっこいい木はない。

遠くても構わない。絶対見に行きたい。

いつの日かそう強く思うようになっていた。
そんななか、僕をよく面倒みて下さる業界の大先輩が
「マダガスカルに植物を見に行くツアーがあるんだけれど行ってみないかい??」
と声をかけてくれた。
なんでも、マダガスカル研究の第一人者湯浅教授プレゼンツのツアーで、
植物マニア垂涎のスペシャルツアーらしい。

もう心は決まっていた。いくしかない。
限りある、またとないチャンスだ。
旅費は高かったけど、そんなの関係ない。
…ってことで僕のマダガスカル行きが決まった。

マダガスカルへは、直通便がないため、便の乗り継ぎが必要だ。
今回は羽田→香港→モーリシャス→マダガスカルという経路で、
途中便の待ち時間も含め、約1日かけてマダガスカルの首都アンタナナリボに辿り着いた。
しかし、バオバブが生息する西海岸はマダガスカル内でも
国内線を使っての移動が必要、さらに舗装されていない道を車で半日かかるような過酷な場所に分布している。

飛ぶか分からない国内線に乗り、
どんな絶叫マシーンより激しく縦揺れする悪路を乗り越え、ついにバオバブ様と対面した。

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キター!!!!
夢にまで見たバオバブやあー!!!!


かっこいい…

これが生バオバブか…


車を降りた瞬間、思わず震えながらかけよった

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そして、熱い抱擁。

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からのキス。
恐らくバオバブと一緒に写真を撮る人はいても
バオバブとキスをしたのは人類初めてじゃなかろうか。
意外と滑らかでしたよ。

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あと、お腹がぷっくりでているいわゆる「妊娠バオバブ」の前で、しっかり妊娠しといた。

<マダガスカルはここ!!をやって震えた話>

かの有名なゴー☆ジャスさんの有名ネタ。
地球儀を回しながら「マダガスカルはここ!」って指さすやつあるじゃないですか?
せっかくマダガスカルにいくんだから、
マダガスカルで「マダガスカルはここ!」ってやってこいよ!!って職場の先輩から無茶ぶりされたので、用意していきましたよ。




地球儀を。

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さすがに固い地球儀は鬼のように嵩張るので用意できなかったんだけど、
調べたらバルーンタイプのやつがあったので購入して持って行った。
そしてバオバブの前で動画を撮った。

完璧!!
と思いきや、後で見返したらちょっとセリフが違う。。
恥ずかしくて震えた。下記画像は写真のみ。動画はお蔵入りかな。。

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あと、地球儀をくるくる回しながらマダガスカルを指さす技、
やってみてわかるけど



めっちゃ難しい。



ただでさえマダガスカル地球儀上どこ!?って感じなのに
(アフリカ大陸のちょっと東に浮かんでいるよ)
回転させることでさらに場所が分からなくなる。
しかも動いている中で見つけるので動体視力が必要。

これはかなりの技術が必要でっせ。
これをすっとやってのけるゴー☆ジャスさんすげえ、まじ震える。


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地球儀のおかげで現地の人との交流が生まれたのはよかった。

<サボテンの実を食べて震えた話>

サボテンって実がなるんです。
日本の気候では花が咲くことすら珍しいけど、
マダガスカルでは普通に咲いていた。

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このニュッとでてるのが花。

多肉植物を見に乾燥地帯を歩いていたところ、
実がなっているサボテンを発見。

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僕も実がなっているサボテンは初めて見たので感動して写真を撮っていたら、ツアーに同行していた多肉植物教室先生から
「食べられるから食べてごらんよ!」
といわれ、食べざるをえない状況に。
恐る恐る口にする


これは…


お…?


うまい!!?
ふつうにおいしいぞ!!!

酸っぱさが少しあって甘味も感じる!
自然界で採れる果実って、スーパーで売ってるような品種改良したものに味で勝てるわけがないんだけど、これはうまい!
高級ホテル朝食バイキングのヨーグルトコーナーの横に並んでるレベル!
味はドラゴンフルーツを濃くした感じかな??
この植物も育たない乾燥地帯で貴重な栄養・水分源だわ!


…と思ったのもつかの間、微細な鋭いトゲも口に入れてしまったみたいで
しばらく痛みで震えていた。
美味しいものってトゲがあるね。

<粉々に砕けて震えた話>

今回のツアーでは、「植物を見る」のが目的だったため、
自然しかないようなところまで車で遠出することが多かったため、
昼ご飯はほとんど弁当だった。

この日も車で走っていたら、ちょうどよい木陰があったので
外で弁当を食べることに。

配られた弁当は鶏肉とじゃがいもとゆで卵。
うまそうじゃん。
しかし、配られたフォークで肉を刺した瞬間。
くだけちった。


フォークが。。


こんなにもキレーに大事な先の部分だけ壊れるもんなの??

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「フォークの先をキレーに折る選手権」があったら満場一致で優勝するレベル。しかも世界新記録で。

気に食わないのが、もう一人くらい被害者がでてきてもいいはずなのに
なぜかみんなのフォークはピンピンしている…

当然替えのフォークなどなく、手で食べることに。
固いものでも壊れる時って一瞬だと感じて震えた。


<蚊に刺されて震えた話>

マダガスカルに滞在する上で気を付けなければならないことがある。
それはマダガスカルがマラリア汚染地域だということだ。

マラリアはハマダラカという蚊が媒介する、高熱に侵される感染症で、最悪死に至る危険性もある。

今回はハマダラカが比較的少ない乾季に滞在したのだが、
安全である確証がないため、必要な持ち物に「蚊取り線香」がリストアップされていた。
当然私もこの旅のために蚊取り線香を新しく買って臨んだ。

…と思っていたのだが、私が買ってきたのは金属のケースだけで、肝心の本体部分が入ってなかった。完全にやられた。
(中身は同行メンバーにわけてもらって大変助かった…)

まぁ、それくらい?要警戒なのだが、
旅も中盤にさしかかったころ、根本から折れたバオバブを観察している時に、あまりにも外が熱くて、半袖でいたところ、ふと腕を見ると奴が止まっていた。
すぐ腕を払ったのだが、恐らくやられた…

震えるほどの愛情をもってバオバブを見に来たはずなのに一気にどうでもよくなり、すぐ長袖を着た。
鳥肌が立ち、体中かゆい気さえする。


ああどうしよう、マラリアか…
職場にどうやって言い訳しようかな…
ちゃんと治って日本に帰れるだろうか…
冷蔵庫の中身、ちゃんと減らしてくればよかった…

…などと震えながら考えていたが、体調は一向に悪くならず、ピンピンしていた。
やっぱ慣れてくるころに油断ってでるよね。

<奮い立たせていかねばならない話>

…と、こんな感じで色んなハプニングに包まれつつも無事にバオバブとの初対面を終えてきました。
写真で見ると大きいバオバブしか写していないから、大きいのがあるから安泰かと思うけど、バオバブを取り巻く自然環境は悪く、深刻な後継者不足らしい。そう言われてみると、局地的に残っている大きいバオバブは目立つけど、若い樹の数が極端に少ない。
若い世代が育たない理由はいくつかあるんだけど、気候変動と人為的伐採に大きく起因している。
今あるバオバブも現地住民が積極的に皮や枝を利用しているので、いつまで現存するかは分からない。
現地の方には、「バオバブを使うな」なんてえらそうなことはとても言えない。
これからの地球は、気候変動というとても大きな問題を抱えているけど、それを身近に感じることができた旅でした。
この投稿で、ちょっとでもよいから、自然に対して興味を持って下さる方が増えますように。

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