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【覚書】においのはなし

「人は視覚よりも
嗅覚や聴覚の方が記憶に残りやすい」ってのは
最近読んだ「暴虎の牙」にも出てきたし、
NANA」でも、美雨がヤスに対して
言っている。
「その匂いやだな」とヤスが吸うブラックストーンのタバコに対して言う。
「私はこれからその匂いを嗅ぐたびにヤスを思い出しちゃうんだよ」と。

ハタチの頃付き合っていた人は、
私に演歌のココロを教えてくれた。
彼と付き合っていなかったら、
石川さゆりも中森明菜も理解できないで
いたかもしれない。
演歌や歌謡曲を教わったわけではない。
彼が聴いていたのは主に洋楽だった。
そして、私の内面が演歌や歌謡曲のそれだった。
あんなにグダグダに
あんなにドロドロに人を好きになって
あんなにダメダメな女になったのは
あの時だけだった(と思う)
今、アラフォーからして思えば
それだけスキだったかどうかよりも
若さとタイミングと熱情というやつだろうか。

その彼がいつもつけていた香水があった。
イギリスのブランドのもので、その当時流行っていた香りなどではなく、
他で嗅いだことのない香りだった。
私はその匂いが好きだった。
男性の香水の匂いに好感を抱いたのは最初で最後だ。
(夫は香水をつけない)
その香りが「ネロリ」の香りだと知ったのは、
彼と別れて何年も経ってからだった。
街中でその香りとふっとすれ違う度に、あれ、この匂い…と
振り向き、しばし思い出に浸ったりしそうなものだが、
あまり出会うことは少ない。

ESTEBANのお香

ESTEBANのお香は、学生時代のアルバイト先で使っていて、
懐かしい〜と手に取ったら、これや!!!となり思わず購入。

十年越しに、あの香水の匂いが「ネロリ」であることを知った。

それ以降、時々このお香を使用してはなんとなーく思い出にこっそりと
浸っていた私。
だが、先日、久しぶりにESTEBANを取り扱っているお店を覗いてみたら
ネロリのハンドクリームを発見したので購入。

ハンドクリーム

このハンドクリームが良かった。
好きな香りのハンドクリーム…癒される。
うん、この香りが好きなんだな。
ハタチの頃の淡い思い出とかもうそんな次元ではなくなっている。
この香りが好きなんだ、と気がつく。

で、アラサー過ぎてから思うことなんだが、
自分の体臭が気になり始めた。
それこそ高校生や女子大生の時なんぞ、嬉しそうに香水をつけていたのだが、
あの頃の私に教えてあげたい。
おまんらに、香水はいらんぜよ。
おまえら、無臭だぜ。
結婚して子どもが産まれて、なんとなく香水の匂いが気になって
つけなくなったのだが、
子どもも大きくなり、
アラサーを大きく過ぎた頃、なんだか自分の匂いが気になるようになってきた。
夫や子供から言われたことはないのだが、
なんだか自分の匂いが嫌な感じ。
体臭を香水で誤魔化すのもなんだか違うので、
こまめにきちんと洗うとかかな、とは思っているのだけれど、
いや、香水だよ、やっぱり。
熟女に似合う香水が今こそあるんじゃないのか。
小娘には太刀打ちできないような色香ってやつ。
香水に求めてみようやないかい。
というよりも、自分の好きな匂いが自分からするっていうのが
やっぱり良いんじゃないだろうか。
そうだ、今こそネロリ。

と、最近はネロリの香水を調べている次第である。

街中でネロリの香りとすれ違ったら、
それは私かもしれません…(怪談風)

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