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【ドラマ感想】刑務所のルールブック 前半

「好きな監督は誰ですか?」と聞かれたら、
「シン•ウォンホ監督です」と声を大にして言いたい。
誰も聞いてくれないけど。

「賢い医師生活」のロスから立ち直るために観始めた
「刑務所のルールブック」。
見事に立ち直らせていただいた。感謝したい。
面白い。
やはり5話ぐらいからじわじわ来て、目が離せない。
まだ途中だが、前半について感想を言いたい。

あらすじ

メジャーデビューが決まっていた野球選手、キムジェヒョク。彼の生活は順風満帆だった。
しかし、ある日訪ねていった妹のところに、強姦が入っていた。そこに出会したジェヒョクは犯人を撃退し、さらに怒りのままに犯人を鈍器で殴りつけてしまう。犯人は意識不明の重体に。ジェヒョクは正当防衛ではなく、過剰防衛として、刑務所に入ることになってしまう。

 魅力的な登場人物たち

キム•ジェヒョク

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プロ野球で投手として認められるまで、かなりの年数を要し、「努力の人」として国民からの人気が高い。が、野球以外のことはどこかいつもボーッとしている。穏やかで、会話はいつもワンテンポずれている(若干クマさんぽい)。しかし、一旦スイッチが入ると止められず、シャープ。でも、常々の彼のワンテンポ遅れた様子がなんとも可愛らしくて、好きになってしまう。不器用で「ノロマ!」と罵られるが、一本芯の通ったところが新しいヒーロー像。刑務所に入り、しかも肩に怪我までするが、不屈の精神で刑務所生活に順応していく。

ジュノ

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我らがジュンワン。始めジェヒョクが入った拘置所の刑務官として働いた。ジェヒョクとは高校時代、一緒に野球をしていた親友。ジェヒョクを心配し、何かと助ける、が、ジュンワンの面影も見え隠れする、ツンデレぶり。受刑者に対してはドライかつ丁寧に対する、冷静沈着な様子ながら、ジェヒョクに対して「ノロマ!!!」「カメ!」と罵倒しつつ世話を焼く様子が微笑ましい。

善人とは、悪人とは

「ここは刑務所だ。誰も信じるな」とジュノが言う。
そう。刑務所は犯罪を犯した人たちの集まり。誰もが「悪人」のはずだ。
しかし、悪人ばかりの刑務所の中で確かに、ジェヒョクを気遣う人がいたり、
親切にしてくれる人もいる。
逆にやっぱり性根が芯から腐ったやつもいる。救いようのないワル。
でも、罪を犯したが心から悔い改めてまじめに生きようとしている人もいたり、なんとも憎めないキャラクターたちが脇を固めている。

ヨンチョル(法子)

ジェヒョクと同じ日に拘置所に送還され、何かとジェヒョクに所内の説明をしてくれる。自身は貧しさから、幼い頃から窃盗を繰り返し、刑務所をでたり入ったりを繰り返している。ジェヒョクに母親の手術費を助けてもらったことで、感謝する。おそらく人生で初めて人から親切を受けたと思われる。恩を感じ「アニキ」と慕う。
「ヴィンチェンツォ」に恋する銀行頭取坊ちゃんを演じたキム・ソンチョル。ちょっとクセのある困った人を演じることの多い彼だけれど、今回はかわいい弟分。

キム・ミンチョル

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刑務所で同室。元ヤクザで、殺人罪で長期刑に服している。が、面倒見がよく頼れる親爺さん。ジェヒョクだけでなく、同じ部屋の誰彼を心配し、協力し、見守っている。報われることはなくても、誰も面会に来てくれなくても、周りに優しくし続ける彼の哀愁漂う姿に、切なくなる。

カン・チョルドゥ

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刑務所で同室。詐欺賭博で刑に服している。喧嘩っ早く柄も悪くて、何かと人に突っかかるところがあるが、舌足らずな喋り方がなんとも憎めない。翻訳には表れていないが、聞いていると「ジェヒョクちぇんちゅ〜」といった感じで常に喋っている。

ハニャン

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ジェヒョクと同じ日に拘置所に送還され、さらに刑務所でも同室となった、薬物で刑に服し、麻薬のせいで常にふにゃふにゃとしている。ジェヒョクを「アニキ」と慕い、膝枕で寝る様子がかわいい。口が悪く、チョルドゥとよくぶつかり、蹴られている。ふにゃふにゃした喋り方対舌足らずな早口が、余計におかしみがあって面白い。

コ博士

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刑務所で同室。まじめでルールに厳しい。刑務官に「刑務所内の規定では…」と持ち出し、権利や状況の改善を求めるため「クレーマー」と疎ましがれる。ジェヒョクにあれこれと世話を焼いてくれる。

ユ大尉

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チョンヘインが加わる豪華さを感じるのは私だけだろうか。「よく奢ってくれる綺麗なお姉さん」でも見せたように、精悍な顔立ちながら芯の強い、苦労人であったり、ベビーフェイスなのに、いつもどこか苦労をしている、そんな役所が似合う彼。あとからジェヒョクと同室になり、尖ったナイフのように彼が刑務所に馴染もうとしないのを、ジェヒョクがたしなめるシーンが心に刺さる。徐々に穏やかな表情になる彼に、心が和んでしまう。どうか、幸せになってほしい、と。

そして、刑務所にいる刑務官たちも、いいひともいれば、嫌な人もいる。
一見雑な言葉遣いで、横柄なパク部長だが、実は情に熱く、面倒見がよかったり、その一方で、自分の利益だけを追求し、受刑者と組んで悪さをするような刑務官もいたり…

受刑者の中にだけ善と悪が存在するのではなく、刑務官の中に罪に問われない悪が存在したり、刑務所の外に、野放しにされたままの悪が存在する。

善とは何だろうか。
悪とは何だろうか。
罪を犯す、とは何だろうか。
罪を償う、とは何だろうか。
それらを考えながら、ジェヒョクが無事復帰できることを祈りながら一日一日、彼らの刑務所生活を観ている。

「ここは刑務所だ。みんな、悪人だ。」とジュノが言い、それを聞きながらジェヒョクが彼なりの判断基準で善悪を判断し、そこにいる人を時々助けたりする。それによって、さらに彼の周りに人が集まる。穏やかで間抜けで、でも心優しく強くて温かい、新しいヒーロー像を見ている。

※画像は以下からお借りしました。


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