見出し画像

【読書日記】秘密

小学生の頃だったか、清水玲子さんの「輝夜姫」を読んで、夜な夜な月に向かって私も誰か迎えに来てくれたらいいのに、と願っていた。アキラのような生い立ちでもないのに、私はいつも「ここではないどこか」への憧れを募らせているようん子どもだった。
「輝夜姫」はある日、二人の少年が晶という少女の元へ訪れて、攫っていく…少年少女たちがある秘密を持って、島へと集められる…というストーリーなのだが、二転三転していく晶の生い立ち、皆の抱える秘密、それらには幻想的というよりも、おどろおどろしさの方が常に付き纏うような内容だった。

けれども、それらを全て飲み込むような絵の美しさが、私のお気に入りだった。
それ以来、清水玲子さんが好きだ。


「秘密」の最新刊が発売された。


「秘密」は映画化もされたから有名かもしれない。
死んだ人間の脳に残る記憶、その人が見たものから事件を解決していくという話なのだが、その内容ゆえに猟奇的な殺人事件を取り扱うことが多く、かなりヘビーな話が多い。

映画では、生田斗真さんが演じていた薪さん。
映画は観ていないので何とも言えないけれど、私の中ではイメージがちょっと違う。センセーショナルな内容、奇抜な発想だから、その部分だけで確かに映画にはなるなと思うけれど、私は個々のキャラクターも凄く好きだ。
映画で岡田将生さんが演じていた青木と薪さんが、若干BLを匂わせるような深い結びつきと信頼関係を見せていて、その部分に束の間、ほっこりさせられる。

ちなみに私が一番好きな作品は短編なのだけれど、「パピヨン」と一緒に収録されている「MAGIC」だ。
清水さんの作品はSFや奇抜な設定が多いけれど、人間関係としては「表に出せない恋心」や「報われない愛」を描いているものが多いように思う。それが切なくて、苦しい。そこに清水さんの美しい絵がぴたりと当てはまる。


この記事が参加している募集

読書感想文

好きな漫画家

よろしければサポートお願いします!サポートいただいたお金は、新刊購入に当てたいと思います。それでまたこちらに感想を書きたいです。よろしくお願いします。