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韓国のお正月「ソルラル」の風習や儀式

 韓国のお正月は「旧正月」がメインで、1月1日は普通の休日です。旧暦の元日「ソルラル」の前後3日が連休(2021年は2月11~13日)となり、日本のお正月と同じように多くの人が実家に帰省したり、旅行に出かけたりして過ごします。ソルラルの伝統的な風習や儀式について少し知っていただけると、韓国ドラマにもより親近感が湧くと思います。

セベ(세배 歳拝)

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セベをする風景「DB損害保険子供の愛のブログ」(https://m.blog.naver.com/dongbu_promy)から。

 韓国のお正月には「セベ(세배 歳拝)」をする風習があります。セベは目下の人が目上の人にする伝統的なお正月の挨拶で、上の写真のように行います。最近では着る人が少なくなっていますが、本来はお正月には「ハンボッ(한복 韓服)」を着るのが礼儀でした。韓服は性別を問わず韓国の伝統的な服装を指します。日本で韓服のことを「チマチョゴリ」と言われることがありますが、チマはスカート、チョゴリは女性用の上着の意味で女性用の韓服を指します。

 目下の人がセベをすると目上の人はお年玉(セベットン 세뱃돈)を渡すので、子どものころはそれが楽しみでお正月に親戚に会うのを心待ちにしていた記憶があります。
 

チャレ(차례 茶礼)

 韓国では亡くなった家族の命日には毎年法事を行いますが、命日と同じようにお正月とお盆にご先祖の霊を迎えて敬う法事「チャレ(차례 茶礼)」を行います。チャレは法事よりは簡素にすることが多く、お正月のチャレには日本のお雑煮のようにトックを食べます。

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お正月の伝統的なチャレ祭儀の善立て(資料:成均館伝礼研究委員会)

 お正月やお盆といったミョンジョル(명절 名節)のおもな仕事はチャレの準備です。上のイラストは正式な伝統的善立てになり、家庭にもよりますが最近は縮小して行うことが多いようです。また、宗教によっては行わない場合もあります。いくら縮小しても、既婚女性にとっては夫の実家でチャレの準備をしなければいけないので、ミョンジョルが近づくと「名節症候群」というストレス障害を抱える人も少なくありません。

*祭儀の膳立ての注意点*
●魚東肉西:魚は東方向に、肉は西方向に。
●紅東白西:紅色の果物は東方向に、白い果物は西方向に。
●左脯右醯:左側には脯(干し海産物)を、右側には醯(シッケ=米の発酵飲料)を。
●果物は奇数にして皮は上の部分だけをむきます。
●故人を招くので、霊魂を追い払うとされる桃や、赤唐辛子粉など赤い食材、ニンニクを使った料理は禁止です。
●名前の後ろに「チ(치)」が付く魚は安い魚とされ、使用しません。
(例:さんま(コンチ 꽁치)、いわし(ミョルチ 멸치)など)


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