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18歳に想いを馳せる

シカゴから18歳の女の子が家にやってきた。
名前はイザベルちゃん。

いわゆるホームステイで、
私はホストマザーになった。

きっかけは、
将来ホームステイの受け入れをしたいからよろしく
と、夫に謎の宣言をした3日後、

夫から入った一通のLINE
「⚪︎⚪︎(夫の友達)がホームステイの受け入れ先を探しているらしいけどやる?やりたいって言ってたから」

これが始まりだった。

その時にもらった情報は3つ。
・シカゴに住む18歳の感じのいい女の子
・日本でインターンをする
・この9月からハーバード大に進学

ホームステイの受け入れは、
娘がもう少し大きくなってからを想定していたが
(現在魔の3歳児のため笑)
不思議なタイミングだったので
これも縁だなと、反射的に手を挙げた。

そしたら、あれよと話が進んで
7月の猛暑日、イザベルは湘南にふらっとやってきた。

こうして
35歳(私)と18歳(イザベル)と3歳(娘)の
数日間の共同生活が幕開けたのだった。

イザベルは初めての一人海外のようで
高校を卒業してすぐにお父さんの故郷フランスでしばらく過ごし、
親友の祖父母が住むインドに飛び2週間滞在した後
来日して日本各地を転々とまわってきたとのこと、

18歳の大冒険真っ只中。
ご両親のサポートではなくアルバイトで貯めた
限りあるお金をやりくりしながら大冒険を満喫しているようだった。

初めましてから迎えの車中でマシンガントークで話すイザベル。

そんな話を聞きながら
若さ特有の勢いと、未知の世界を等身大で謳歌する様に
心を鷲掴みされた私は
ただただ愛おしい気持ちに包まれた。
か、かわいい…。

特に世界史や社会学に興味を持つ
知的好奇心旺盛なイザベルとの会話は
止まることなく日夜色んな話をした。

・ジェンダー問題
・夫婦別姓
・ハーフのアイデンティティ
・少子化問題
・人種の概念
・親の教育
・日本の宗教
などなど

イザベルは明確に自分の意見を持っていて感心する一方、
恋愛話やこれから迎える大学生活での話は
子どもみたいにはしゃぎ、憂い
18歳の部分を垣間見ては
私にもこんな時代もあったなぁと目を細めるのだった。


そんな中、魔の3歳児の娘はというと、
急に現れた同居人に最初は戸惑っていたものの
子ども好きのイザベルの尽力もあり、
最終的にはプリンセスのようだと大照れ。

毎日感情の波を大爆発させながらも
カサカサのイザベルの踵を見つけては
せっせとクリームを塗りこんであげるまでには
距離が縮まっていた。笑
Good job.


今回イザベルを迎えるにあたり
昔の自分と重ねて思うところがある。

ちょうどイザベルと同じ18歳の頃、
私は高校を卒業して大学進学のため一人NYに降り立った。
まず最初の1ヶ月目で大変だったのはルームメイト探し。

寮に住みながらマンハッタン、ブルックリン、クイーンズと東西南北駆け巡って
やっとこの人となら一緒に住みたいな、
と思えたのがその後完全帰国まで生活を共にする
ペルー人のKikaという女性。

Kikaは当時35歳で、18歳の私を目の前にしてとても戸惑っていた。
そう、今の私の年齢がちょうど35歳でイザベルが18歳。

Kikaは若すぎる私に、あなたはmatureだけど、
まだ18歳だし一緒に住んで大丈夫かな?
責任持てるかな、などと心配し、

(通常シェアハウスはオーナーがいて、
互いがOKであれば早々にシェア生活がスタートする。
私の場合はKikaがオーナー。)

一方の私は、何でもひとりでできるもんと
大人でいる気だから
この人は何をそんなに心配しているのだろうと
不思議で仕方がなかった。

今までのバックグラウンドや
それぞれの価値観などを話し
お互いのパーソナリーティーを気に入って
Kikaとの共同生活がスタートした。

Kikaは自国ペルーから逃げてきた移民で
何もないところから奮起して
NYのファイナンス業界で逞しく生きる強い女性だった。

NYという土地柄も相まって、人一倍
自分と大切な人を守るのに
ものすごいエネルギーを発していた。

そんなKikaは私をとても可愛がってくれ、惜しみなく
人生についてのTipsとhow toを教えてくれたように思う。

ルームメイトとして常にちょうど良い距離感を保ってくれていたが、特に私が

体調を崩して部屋から出てこないとき
夜遊びを楽しみすぎて帰ってこないとき
テストやプレゼン前で追い詰められているとき

などは気を揉んであれこれKikaのやり方で心配してくれた。

雪が降る寒い夜は風邪をひかないようにと
温かくて安らぐペルー料理を必ず振る舞ってくれ

私が美味しい美味しいと食べていると
もっと食べなさいと嬉しそうにしていたのを鮮明に覚えている。

それは私が今でも恋しくなるNYのソウルフード。

あれから17年の歳月が流れ
当時18歳だった私は35歳になった。

不思議なことに
現在35歳の私は18歳のイザベルに対し
あの時のKikaと同じ気持ちを抱いている。

久々にKikaにメッセージを送ってみた。

「18歳の女の子を受け入れることになったよ。
まるで、あの時のKikaと私だね。
ようやく当時のあなたの気持ちが痛いほどわかるようになったよ。あの時は本当にありがとう。」

Kikaからの返信はこうだった。

「人生は面白いね。
あの時の私にあれは正しい選択だったと言い切れるわ。
本当に心配だったけど、みなみとの出会いは人生の宝物。」




泣ける。

こうやって人生は巡るのか。
あの時Kikaが私に施してくれた優しさを
イザベルを通して返す番がこのタイミングで回ってきたのだろう。

昔の自分とイザベルを重ねては
私が今できる限りのことを。

イザベルは18歳とは思えないほど達観していて
既に逞しく自分の人生を堂々と歩んでいる。

今回の一人旅を通して更に自信を身にまとい
温かい気持ちでこれから迎える大学生活の
スタートダッシュを切ってくれたらいいなと心から願う。


イザベル、あなたの未来は明るすぎて私には眩しすぎたくらい。

宝物の出会いをありがとう。


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