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原型師インタビュー・針桐双一

「原型師」にもっと光を。
その声の下に立ち上がったプロジェクト、 MINAMOTO


今回は「MINAMOTO×絵師100人展」で絵師とコラボをした原型師へインタビュー。


今回インタビューに回答してくれたのはフリー原形師/造形作家として活動中の「針桐双一」様。

針桐双一 様@harigilly
フリー原型師/造形作家
ガレージキットやワンオフフィギュア等を作成
制作ジャンルは人物からクリーチャーまで多岐にわたる


――原型師になろうと思ったきっかけを教えてください

10年程前、学生時代から原型制作をしています。当時はインターネットで「つくってみた」動画が出始めた頃でした。それを見て、面白そうだと思い自分でも作ってみたのが始まりです。それから本業である機械系のエンジニアとして働きつつ、並行してワンフェス用にガレージキットを作っていました。そのような生活をしているうちに、いつの間にか造形のほうが本業になってしまったという感じです。だから「原型師になろう」と思ったというより「いつの間にかなっていた」と言うのが正しいかもしれません。

最初に作ったのはギリシャ彫刻のようなものでした。社会の教科書でギリシャ彫刻を見て面白そうだと思っていて、最初の頃は石粉粘土で彫刻のようなものをよく作っていましたね。それから「fg」という立体物を扱うSNSを利用するようになってからは、より多くの人に作品を見てもらうために当時流行していた「東方Project」のキャラクターを制作することもありました。今は探しても見つからないかもしれません。


――原型師のお仕事で楽しさや、やりがいを感じる瞬間について教えてください

基本的に制作の工程はどれも楽しいです。その中で特に楽しい部分と言うと、やはり最初と最後ですね。最初に構想が浮かんだときと、最後に作品を出して評価が得られたときです。

元絵があるものより、自分でアイディアを出して制作することが多いので「この発想はなかなか世の中にないから面白い」「これは技術的に難しそうだけれど挑戦してみよう」など構想を練っているときは面白いです。それから、最近3Dプリンターを利用したデジタル造形に移行したのですが、それまでデータでしか見られなかったものが実物として3Dプリントされて存在感を持つ瞬間はやはり楽しいですね。


――ご自身の作品に通ずるアピールポイントやこだわり・特徴を教えてください

作品に共通項を見つけづらい作家なのではないかと自分でも思っています。そんな中でしいて共通点を挙げるならば、毎回「技術的に挑戦する部分を入れる」という点でしょうか。言い換えれば「無茶をやりがち」です。今回のコラボでも大分無茶をしています。

反対に、シンプルな立ち姿を丁寧に元絵通りに作るというのは苦手かもしれません。あまりやったことがないというのもあります。「新しいことをやってやろう」という職人気質のようなところがあると思います。


針桐氏が共作ののターンを担当した【旅人の少女/Journey】

――今回共作のターンを担当した【旅人の少女/Journey】についての紹介、見どころを教えてください



ふーみさんから頂いたイラストは、シンプルな構図でありながらキャラクターデザインの情報量は多いというものでした。そこで、自分は構図のアレンジで攻めてみようと思い制作を進めました。

「旅人」「鳥」という要素から思い浮かんだのが「渡り鳥」というアイディア。渡り鳥の群れに飛び込むように空に溶け込んで旅をしている少女をイメージして構図を設定しました。
作品を見てどのようなストーリーを想像するかは皆さんにお任せしますが、電信柱など高い位置にあるものを背景に配置して「空が背景」だとイメージしやすいようにしています。

技術的な話をすると、球体に近いシルエットの中にそれぞれの細かな部品が浮遊しているような状態で配置してあるのですが、これらをどのようにパーツに分けるか、そしてどのように固定するか。この部分で工夫が必要になりました。空間的な複雑さと形状を維持することの難しさは、どちらも立体造形をやる上で大変なところでもあり、かつ同時に見どころでもあると思っています。

ふーみさんのイラストを拝見した際に、人物だけでなく背景やそこに散りばめられたアイテムを含め、空間そのものを描いたイラストに強みを持っている方だと思ったので、その点はリスペクトするべきだと考え今回のようなアプローチをさせてもらいました。



針桐氏がオリジナル制作のターンを担当した【Loom】

――オリジナル制作のターンを担当した【Loom】が、絵師とのコラボでどのようなものになることを期待しているか教えてください

そもそも、自分の造形物が絵になるという経験がほぼ初めてなので非常に楽しみにしています。

先にも触れましたが、ふーみさんは空間構成がお上手な絵師さんなので今回どのように料理していただけたか、展示を拝見するのが楽しみです。フィギュアだと360度どこからでも見ることができますが、絵にするとなると正面を決めて描き始めなくてはならないので、どういう構成の絵にしてくださるのかふーみさんの解釈が楽しみです。


以上、針桐双一様のインタビューをお届けしました。

「絵師100人展×MINAMOTO」コラボ作品の展示は2022年8月19日(金)~21日(日)に東京・秋葉原のAKIHABARAゲーマーズ本店7Fで展示予定。期間限定の展示となるので、お見逃しなく!

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