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古い街の本屋で、コスモス染めの本を見る夢

人の夢の話ほどつまらないものはない。
と、常々思っています。
全て自分の意志とは関係なく脳が勝手に見せるイメージの羅列。
特別なストーリーも盛り上がりもなく、気の利いたオチもありません。

私の夢もそれに違わず特殊なものではありません。
でも、毎日毎日リアルに感じるその世界は、私にとってはもうひとつの現実でもあったりします。
夢日記をつけると日常と夢との境が曖昧になり、精神を病むという記事を読んだことがありますが、私は小さな頃からそれが普通で、今もいたって普通に生活をしているので、今夢を記録したところで突然精神を病むとは考えにくい感じがします。
・・・
私は母とおしゃれな街の、本屋兼セレクトショップのようなお店にいました。小さなお店がたくさん並ぶ通りに面してある、間口の広いおしゃれなお店です。
店内には低めの黒い本棚がいくつも並び、一冊、一冊、店主が選んだようなこだわりのあるおしゃれな本が並んでいます。
工芸のコーナーには、焼き物や金継ぎ、漆器などの本が表紙をこちら側にしてきれいに展示され、私はその中のひとつ、草木染の本を手に取りました。
草木染といっても、その本はたくさんのコスモスの写真と共に、コスモスの花で染めた、薄い記事のストールの写真もありました。
「見て。コスモスで染めてるんだって」
私は母にページを繰って見せます。
へえ、そんなふうに染まるんだね、と、母も本を覗き込みます。
ピンク色のコスモスは明るいピンク色に。茶色と紫が混ざったような色のチョコレートコスモスは同じような深みのある茶色に染まるようです。
それにしてもこんなにコスモスの種類があるなんて知らなかった、それに、こんなふうに染まるなんてすごいね。
私はちょっとその本がほしいなと思いましたが、店内をもう少し見て回ることにしました。

本と一緒にちょっと変わった小物なんかも、棚に置いてあったりします。
どれも素敵だけれど、どれを持ち帰ってよいかわからなくなるような、ちょっとそんな気持ちにさせる小物たち。
私は白い厚地の綿でできたサコッシュを手にとって見てみます。
赤い糸で細かな幾何学模様が刺繍されているもので、サイズはちょうどスマホが入るくらいだけれど、このデザインは私の持っている服には合わないかも…。母も店内をぐるぐる見て歩いているようです。母は壁にくっついている大きな本棚の前にいました。
平積みになっている本の上に、自分の真っ赤な手帳をバッグから取り出して置くのです。
「重くって。ここに置いていけばいいよね」
「ダメでしょ。ここは売り物の本が置いてあるところだから」
手帳を手に取ると、ずっしりと重みがあり、挟んでいるいろいろな紙がはみ出して見えます。
母に手帳を返して、お店を出ることにしました。レジにはたくさん人が並んでいたので、その間をすり抜けるように。

お店を出て、右手を歩いて行くと、私のよく知っている道に出ました。長く湾曲した下り坂が続いて、下りきったところに駅があるのです。
(私は夢の中で何度もその道を通っているので知っているのです)
駅付近はちょっと恵比寿駅付近の感じに似ているけれど、その下り坂は緑が多くて、古い街のような感じがします。そのあたりのマンションを見ると築30年くらいの、ちょっとさびれた雰囲気の建物が多いのです。
下り坂を行こうとすると、母がその道はあまり通りたくないといいます。でも、もうすぐ夕方の4時。あたりの空気も冷たくなってきました。私は家で待っているうさぎが気になって、早く帰りたいと思うのでした。
足元はアスファルトではなく、レンガ色の石が敷きつめられていて、その間からは小さな草が生えています。
夕方は、なぜか人を不安な気持ちにさせます。
気温が下がり、風が吹き、足元の石からも冷気が上がってくるような気がします。
「早く帰ろう」そう言って、私は母と道を下るのをやめ、近くの地下鉄から帰ることにしました。


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