見出し画像

【無料】基礎から分かる水産用語<4> 沿岸漁業とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

沿岸漁業とは

 日本沿岸域を漁場とする、船引網漁や刺網漁、定置網漁、延縄漁、引縄釣漁業などの漁業形態。採貝や採藻をはじめ、サバやアジ、タイといった多種多様な魚介類を漁獲している。広義には海面養殖も含まれる。

 農水省の海面漁業生産統計調査によると、2020年の沿岸漁業(養殖業除く)の生産量は87万687トンで、水産業の総生産量の20・6%を占めた。沿岸漁業の生産量は1985年を境に減少傾向にある。20年生産量は19年比6・3%減、ピークの1985年比では61・6%減となった。

 18年漁業センサスによると、沿岸漁業層(漁船非使用、無動力漁船、船外機付漁船、動力漁船10トン未満、定置網および海面養殖の各階層を合わせたもの)は前回調査(13年)比16・8%減の7万4151経営体。日本全体の漁業経営体数のうち93・8%を占めた。内訳は海面養殖層が6・7%減の1万3950経営体、海面養殖層を除く経営体が18・8%減の6万201経営体となった。

 20年度水産白書によると、近年、情報通信技術(ICT)を活用して沿岸漁業の効率化を目指す動きもある。勘や経験に頼っていた漁場探索を支援するため、水温や潮流などから漁場環境を予測して漁業者のスマートフォンに表示する実証実験も進み、生産性の向上や担い手の育成を目指す取り組みが進んでいる。

みなと新聞本紙2022年3月25日付の記事を掲載