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【無料】基礎から分かる水産用語<136> 海草とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


海草とは

 水草の一種で、海中に生ずる顕花植物。アマモやスガモ、イトモ、ウミヒルモなどといった種子で繁殖する被子植物のこと。胞子を飛ばして繁殖するホンダワラやミル、テングサなどの海藻とは区別されており、混同を防ぐ観点から「うみくさ」とも呼ばれる。

 海草は海岸や入り江など浅い海底にある岩石や砂土に根を下ろし、匍匐茎(ほふくけい)によって群生。海草が密生する場所は、海草藻場と呼ばれ、稚仔魚などのすみかや隠れ場にもなる。

 また、海中に固定化される炭素、いわゆる「ブルーカーボン」を吸収・蓄積する海洋生態系の一つでもあり、海藻と同様に二酸化炭素(CO2)を取り込む。同生態系が地球温暖化対策として役立つとして期待が高まっており、温室効果ガスを排出する企業などが、ブルーカーボン生態系を通じて同ガスを吸収・削減する企業などに対してお金を支払う「ブルーカーボンクレジット制度」の取り組みも進んでいる。

 一方、海草の多くは絶滅危惧種に指定されているため、食品として利用されることは少ない。ノリや寒天、ところてんなどの原料となるのは海草ではなく海藻である。したがって、例えばワカメなどの海藻や野菜をカットして混ぜ合わせたサラダは「海藻サラダ」であり、「海草サラダ」と表記するのは厳密には正しくないとされる。

みなと新聞本紙2023年8月1日付の記事を掲載