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【無料】基礎から分かる水産用語<1> 漁業法とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

漁業法とは

 漁業の発展を目的に、漁場を誰が、どのように利用できるかなどの制度について定めた漁業の基本的な法律。主に排他的に漁業を営む権利の漁業権、漁業の許可、漁業者の代表らで構成し資源管理について協議調整する漁業調整委員会について規定している。2020年12月、約70年ぶりの抜本改革となる改正法が施行された。

 改正前の漁業法は、第2次世界大戦後の1949(昭和24)年、漁業の民主化や発展を目指し、全国一律の漁業制度の確立を目指した1910(明治43)年の明治漁業法を基に制定。世界有数の漁獲量を誇る日本の漁業の土台となった。

 20年の大幅な法改正の背景には、漁業生産量の減少や漁業就業者の減少、高齢化など国内の漁業をめぐる大きな変化がある。一方、日本は世界有数の漁場が広がり漁業の潜在力は依然として大きいとして、国は改正法は適切な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるための水産政策の改革の柱に据えている。

 改正の目玉は新たな資源管理システムの構築。資源管理を行政の責務と位置付け、科学的な根拠に基づく漁獲可能量(TAC)の設定を拡充するなどして持続可能な資源水準の維持、回復に努める。この他、遊休漁場や新規漁場への民間企業の新規参入を促す漁業権制度の見直し、密漁の罰則強化なども盛り込んでいる。

みなと新聞本紙2022年3月15日付の記事を掲載