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【無料】基礎から分かる水産用語<161> 田作りとは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。


田作りとは

 炒(い)ったカタクチイワシを酒やみりん、砂糖、しょうゆなどで煮詰めた甘露煮を指す(マルハニチロのウェブマガジン「umito.(うみと)」から)。関東の三つ肴(さかな)に数えられ、山陰地方では「からんま」、関西では「ごまめ」と呼ばれる。

 「田作り」の名前の由来として東京・豊洲市場の卸筋は「かつて日本の沿海ではカタクチイワシなどの小魚がたくさん獲れていた。保存方法として最初はそのまま干す方法が一般的だったが、それでも余った小魚を畑に入れたところ作物が良くでき、味も良かったことから『田作り』という名前が付いた」と説明する。

 主原料のカタクチイワシの漁模様について卸筋は「主要産地の日本海や山口県長門では今年(2023年)も昨年同様不漁で、三重や大分などでも漁が少ない」と話す。漁業情報サービスセンター(JAFIC)によると、10月のカタクチイワシの水揚量(速報値)は前年同月比27%減の358トン。1~10月の累計は前年同期比21%減の7798トンにとどまる。

 田作りは豊作を祈願したおせち料理の定番とされているが、「若年層や主婦層を中心に田作りを知らない人が増えていると感じる」と卸筋。別の市場関係者は「豊洲市場一丸となって(田作りの消費量を)盛り返していきたい」と意気込む。

みなと新聞本紙2023年11月7日付の記事を掲載