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【無料】基礎から分かる水産用語<124> 完納奨励金とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。

みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

完納奨励金とは

 卸売市場の卸が仲卸や売買参加者などの事業者に卸売代金の期限内の完納を促進するため、支払う奨励金。一定期間ごとに取引金額をまとめ、交付率に応じた額を決済した事業者に支払う。交付率や支払期限は市場ごとに異なり、中央、地方にかかわらず多くの市場で導入されている。

 市場における卸売業者との取引は、即時決済が原則。ただ、卸売業者と買受業者の間で特約が結ばれると、支払期限などの条件を設定することができる。完納奨励金はこの原則を踏まえ、買受業者の速やかな代金完納を促進し、市場内取引の信用性を確保する役割を担う。スムーズで確実な決済は卸売市場の特性の一つであり、生鮮食品などの安定した供給体制を支えている。

 2020年6月施行の改正卸売市場法で完納奨励金に関するルールは大幅に緩和されたが、買受業者の要望を受け、今も制度を残している市場は多い。ただ、卸売業者にとっては財務的な負担が大きい側面もあり「将来的には交付率の引き下げや廃止を検討する市場も出るだろう」と、ある地方市場の卸筋。

 仙台市中央卸売市場の水産物部では、同市場業務条例に基づき、交付限度額を各卸の取扱金額に1000分の4を乗じた額以内と設定。卸売業者が各買受業者と個別に協議した上で、交付額を決めている。

みなと新聞本紙2023年6月20日付の記事を掲載