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【無料】基礎から分かる水産用語<40> 商物一致の原則とは

みなと新聞で毎週火・金曜日に連載している「基礎から分かる水産用語」を公開します。
みなと新聞の専門記者が、漁業、流通・加工、小売など水産で使われる一般用語から専門用語まで、分かりやすく説明する連載です。

商物一致の原則とは

 商物一致の原則とは、卸売市場内の卸売業者は仕入れた生鮮食料品を、全て卸売市場内に搬入してから販売するという決まり。2020年の卸売市場法改正で一律の規制がなくなるまで、卸売市場法第39条で定められていた。現在は市場ごとに設定ができるため、卸売業者が小売店や飲食店へ産地から直接食材を送ることが可能。物流・ロジスティクス用語の受注場所に在庫を置き、出荷まで1カ所で行う「商物一致」と同法では概念が異なる。

 商物一致の原則では、仲卸業者は卸売市場内に搬入された生鮮食料品のみを取引でき、産地から市場を通さず需要者へ販売することはできない。卸売市場での商物一致のメリットとして、市場で現物を見て価格付けを行うことから、「目利きによる適切な価格付けといった、卸売市場が担う役割の根拠の一つとなっていた」と農林水産省の担当者。また、市場への搬入数量を調整し、相場を操作することを防ぐ仕組みでもあった。

 一方、一律な規制でなくなったメリットには流通の円滑化による産地直送がある。卸売市場を通さなくて済むため、従来よりも早く高鮮度に消費地の小売店や飲食店などに商品を届けることが可能に。商物一致の原則が一律でなくなり、卸売業者は卸売市場外に拠点を展開し、市場外での流通業務推進が可能になった。

みなと新聞本紙2022年8月5日付の記事を掲載