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ワインの概念を変えたマルタのワイナリー

超異質。衝撃的だったワイン(ワイナリー)を紹介したい。
マルタ島(マルタ共和国)を訪れた際にはぜひ訪問してほしいワイナリーMar Casar La Maison Du Vin Wineryについて書きたいと思う。

マルタのワイン

マルタ共和国はイタリア、シチリアの近くに位置する国。
面積は316k㎠と世界で10番目に小さい国である。(東京23区の半分のサイズだとか)マルタ島、ゴゾ島、コミノ島の3つの島がマルタを構成している。
イギリス領だったため公用語は英語。

20世紀初頭にはマルソヴィンとエマニュエル・デリカータの二大ワイナリーが設立。2004年のEU加盟後、保護関税が撤廃されたことによりワインの生産量も増加。
マルタ共和国には5つの主要なワイン製造メーカーがあり、上記2つ以外にはカミレーリワイン、モンテクリスト、メリディアーナが名を連ねる。
マルソヴィンは、シャンパーニュと同じ瓶内発酵製法で作られているスパークリングがある。(試飲で出て来なかったのが残念!)


マルソヴィンのスパークリングが作られている様子

ワイナリー Mar Casar La Maison Du Vin Winery

マルタではマルソヴィン、メリディアーナの2件のワイナリーを訪問したが、こちらのワイナリーはかなり異質だった。
海抜235メートルのマルタで最も高い場所にあり、南向きに葡萄の段々畑がある。
私たちがタクシーで到着した場所は、ここがワイナリー?!と疑ってしまうような、まるで荒れ果てたワイン畑の一角にある古い倉庫の前だった。
倉庫の中からまるで映画のBack to the futureに出てくるジョーイおじさんのような白い髪の毛のもじゃもじゃ頭のおじさんが登場。
倉庫の扉をあけ部屋に案内してくれたが、物が乱雑に置かれていてまるで親戚の家にお邪魔したような感じ。



電気も自家発電?!地下に大量の壷?!

こちらのワイナリー、自然に拘っていて、なんと冷蔵庫の電気なども全てマークさん自身で発電してるとか。
そして部屋の奥、階段を降りていくと地下に見慣れない光景が。
温度がグッと下がってひんやりとした空間。
目の前にはハシゴがかけられたベージュの土壁。
なんと、この土の塊にはワイン発祥の地ジョージア(旧グルジア)のワイン製法で使われるクヴェヴリという名前の壷が地中の中に埋まっていたのだ。
この壷でワインを発酵&濾過し、ナチュラルビーガン、グルテンフリーのワインを生産している。
(通常は卵の卵白で濾過するからビーガンではない。)
手間暇かかる製法なのに拘りがすごい!!
この時点で私は マークの作ったワインを飲みたい欲が爆上がり。

ジョージアワインの詳細はエノテカのHPを参照してください。



地下

ついに試飲。太陽と海の味?!

葡萄畑と地下のワイナリーの見学が終わり、待ちに待った試飲タイム。
色鮮やかなお皿に盛られるチーズ、クラッカーなどのおつまみ。
粘土質の土壌で育ったシャルドネは一体どんな表情を見せてくれるのだろう。
ソムリエが丁寧に開栓するアレの光景とは全く異なり、自慢げに嬉々と自分の作ったワインを開栓するマークさん。

鼻腔にワインの香りをくぐらせ、一口飲む。

なんだこの味は!
今まで飲んだことのない味わい、雑味がって、でも嫌な雑味ではない。
マルタの照りつける太陽と真っ青な海、オリーブ畑や巨大なサボテンの景色がブワっと一気に頭の中を駆け巡った。


この経験以来、葡萄の育った環境やその国の文化など、俗に言うテロワールを想像しながらワインを楽しめるようになった。
ここだけの話だが、マークさん、ご自慢のワインを次から次へと開け、ガブガブ注いでくれるものだから、すっかり私は酔ってしまい帰りの飛行機で爆睡、どうやってマルタ空港まで行ったのかほぼ記憶がなくなってしまった。
旦那よ。しっかりとワインを購入し、割れないようにパッキングして無事マークさんのワインを家まで持って帰ってくれてありがとう。

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