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マインドフルネスで不安の感情を観察し受け入れる

私たちは先が見えない時、自分が状況をコントロールすることができないと思う時、「不安」に襲われます。不安という感情は誰にでもあるものですが、気付かずに放っておくと、生活のあらゆる場面で不安を感じるようになってしまいます。

私も以前、漠然とした不安に襲われるようになり、しばらく寝れなくなった時があります。その時に出会ったのがマインドフルネスでした。マインドフルネス瞑想を続けると、不安やストレスや心配などが現れていることに気づくことができます。そして、自分の中にある不安の思考やその思考に伴う身体の感覚に気づいて、それに反応するかを選択することができるようになります。

今日は、誰にでもあるこの不安という感情を観察し和らげる瞑想を紹介します。

自分の思考と自分を同一視しない

不安な時は、私たちはこれから何が起きるのかというわからないという恐怖や心配の思考に囚われています。思考と上手く付き合うには、思考と自分を同一視したり、自分が考えていることを信じたりせずに観察することが大事です。また、不安な考えとつながっている体の感覚と感情を全て受け入れることも大切です。

これらは、不安を取り除くのにとても大事なことで、不安な気持ちを否定たり、抵抗したりすると、その上にさらにストレスを生み出してしまいます。

そこでまず大事なのが「気づき」です。気づきがないと、不安やストレスは不健康な行動パターンにつながります。無意識に冷蔵庫を開けてアイスを食べる人もいるかもしれないですし、買い物に走る人もいるかもしれません。

しかし、「気づき」があれば、その選択もあるけども、ただその不安の感情としばらく共にいてみるという選択もできます。そして、「いつもの行動パターンに陥らないためにはどうしたらいいのか?」と自分に問いかけることができるのです。

この瞑想では、不安や心配などの心地のよくない感覚をまずは感じてみます。これらの感覚に気づくことで、不健康な行動パターンに陥ることを防ぐことができ、不安に反射的に反応するのではなく、対処する基礎を築くことができるようになります。

不安とともにいる気づきの瞑想

  1. まずは、リラックスして椅子やクッションの上で心地の良いで座ります。横になっても構いません。

  2. 床に触れている足の裏、または、クッションに触れている足の感覚を感じてみます。今、自分が経験している全てをあるがままに感じてみます。今ここにある体の感覚、気分や感情、心の状態、思考等々。

  3. 3回ほど、深呼吸をしてみましょう。体と心をリラックスして落ち着きます。鼻から深く長く息を吸って、吐く息で身体の力を抜きます。胸と肺に吸う息を送り込んで、吐く息で手放します。吸う息で「リラックス」と心の中で唱えて穏やかな気持ちになって、吐く息で身体の力を抜いてリラックスします。

  4. 口元と目元を下げて、微笑みます。微笑むと、自分は安全な場所にいて、警戒する必要はないというメッセージを送ることになり、よりリラックスした状態になります。

  5. 座りながら、リラックスかつ、自分が今この瞬間に経験していることに気づいている状態でいます。そして、不安やストレスの原因について、ちょっと考えてみます。仕事、家族、健康、お金、または、それらの組み合わせかもしれません。

  6. 全ての感情、感覚を受け止めてください。心と体に感じるもの全てです。

  7. これから何が起こるのかという自分の想像や、悪いことが起こるのではないかという思考が現れてきても、ついていかないようにして下さい。ただ、観察して、手放し、忘れるようにしてください。

  8. いま、身体の中で感じる感覚を優しさを持って受け止めてください。緊張、チクチクする感じ、ヒリヒリする感じ、脈を打つ感じ、暖かさ、冷たさ等、今、感じること全てです。全てを歓迎して受け止めてみましょう。様々な感覚がやってきては、消えていきます。

  9. いま、感じている感情を優しく受け止めて、全てありのままに感じてみましょう。恐れ、心配、不安、悲しさ….それがどんなに大きくてもそのまま感じてみます。全てを歓迎して受け止めてみてください。

  10. 身体、ハート、心に現れていること全てに優しく気づいてあげてください。

  11. それらが変化していくのに気づいてください。感情や感覚がやってきては、少し止まって、また去っていきます。優しさを持って受け止めて、時には好奇心を持って観察してみてください。

  12. この感情は消え去らないとか、もっと不安になるかもしれない、心配が止まらない等の感情が出てきたら、優しさと労わりで受け止めてください。それからが自分自信の思考と思わず、また、それらを真実だと思わないで、観察してください。思考がやってきて、去っていくのを眺めてください。

  13. いま、経験していることをこのまま同じように観察してください。経験を優しさと労わりで受け止めてください。もし、辛かったら、辛いということをきちんと理解して感じてください。自分のハートに手を置いて「これは辛いね。この気持ちが消えますように」と自分に優しく語りかけてみます。「私が幸せでありますように、私に安らぎが訪れますように」と心で言っても構いません。または、深く息を吸って、吐く息でその感情を手放してください。

  14. それでは今感じている感情に意識を向けてみてください。恐れや不安がまだ続いているますか? 悲しみや心配などはありますか? それらを優しさと労りの気持ちを持って、歓迎して受け止めます。気づいて受け止めることによって、それらが変化していくのを観察してください。

  15. 感情や体の感覚が衝動に変わったら、例えば、何かしたり何か言いたくなったり、何か食べたりとか飲みたいとか行動を起こしたいと思ったら、そのエネルギーや衝動をしばらく静かに感じてみてください。それらもやってきて、しばらく止まっては、消えていくのがわかるかと思います。それらはまるで波のようなもので、気づいて、優しさを持って見守っていれば、やがて穏やかな波になっていきます。辛い感情や心地悪い体の感覚があったら、それらがしばらく止まって、消えていくのを見守りましょう。これらの痛みや辛い気持ちは、いつまでも続くという考えは信じなようにします。いつまでも続くと思うのは心の幻想です。感情にきちんと気づいてそこに意識を集中すれば、そのエネルギーが変わっていくのがわかります。感情はやってきて、しばらく留まっては消えていきます。

  16. くり返す思考や頭の中の声に気づいてみます。「こんなのやってられない!」という思いや、この感情や感覚を消すために何かしなければなどの衝動が起きたら、これらの思考や衝動をしばらく観察してみます。

  17. 痛みや心地悪さがあれば、身体の他の部分、例えば、手や足の感覚に意識を向けてみます。または、座っている椅子とお尻が触れている部分などに意識を向けても良いでしょう。もしくは、自分の生活の中で楽しいこと、感謝すべきことを考えても良いかと思います。そして、しばらくそのことを考えてみてください。準備ができたら、また身体の感覚に戻ってください。そして、どんな波が来ても、それにうまく乗ってみてください。

  18. 今経験していることにしっかりと意識を向けてみます。そして、優しく受け止めてください。痛みやストレス、心地悪い感情と自分自身を同一視しないで、それが真実だと思わないでください。それらに気づいて、それらが自然に去っていくのを見守ります。

  19. しばらく静かに座ります。そして、自分が経験していることが変わっていく、その流れを感じてみます。マインドフルネスが辛い思考やストレスや心配、不安、そして、それらが生み出すパターンからも解放されるのを助けてくれます。

気づいて優しさを持って見守ると楽になる

原始時代は食べ物を探しに入った林の中に猛獣がいる可能性があったり、手にした食べ物が毒性のあるものかもしれないなど、生死に関わる危機が身の回りにたくさんありました。その危機を察知し、危機に備えるために機能していたのが不安の感情です。

現代社会では生死に関わる危機が身の回りにない代わりに、仕事や健康やお金などに対して必要以上に不安を抱くようになりました。

不安の感情を否定したり、抵抗すると不安は増幅すると言われています。また、意識を向けずに引きづられている状況が続くと、脳の不安を察知する部位が敏感になり、不安障害になることも。

頭の中で不安や心配がループしていたり、胸のあたりがざわざわする感覚がある時は、ぜひこの瞑想を。気づいて優しく見守り、感情や感覚がスーッと消えて行くのを体験してみてください。


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