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カスタマージャーニー:マーケ用語徹底解説

どの業界にもあるように、マーケティング業界にも数多くの専門用語があります。日常生活では耳にする機会がないこともあり、ふんわりとした理解のまま、その用語を使っていることもあるのではないでしょうか。

今回、解説する「カスタマージャーニー」とは、ある製品やサービスのマーケティングにおいて、顧客が製品と出会い、購入ないし利用へと至るまでの経過を、時系列的に捉える概念のことです。広告宣伝の手法がインターネットやSNSの台頭によって多様化する中、顧客がどんな心境のとき、どんな施策で企業がアプローチすべきかを検討する上での土台となります。


企業視点ではなく、あくまで顧客視点で

消費者が物品を購入する理由はさまざまです。表面的には「店でたまたま売っていたから」「ECサイトでセールだったから」といった購入時点での心境も1つの要因になりますが、それ以外に「購入より前からテレビCMを見ていた」「それまで使用していた商品が故障して買い替えたかった」など、多様な要因が影響を与えていることもあります。

加えて、いまはインターネット、SNSの時代です。マスメディアから流れてくる情報だけでなく、インターネット上の口コミなども購買に影響します。ECサイトで好きなときに好きなものが買える一方、店頭接客時のアドバイスがむしろ重要になっているケースもあるかも知れません。

購買の瞬間にだけ焦点を当てるのではなく、顧客が日々の生活を繰り返す中でどのように商品やサービスと向き合っているのか? あるいは意識していないものにどう注目してもらうのか? こうした一連の“体験”を考えるのが、カスタマージャーニーです。

ここでは当然、競合企業や社会情勢なども意識しなければなりません。例えば車を買い替えたいユーザーがいたとして、今使っている車と同じメーカーの製品だけにしか興味ないという人もいるかもしれませんが、多くの人は競合メーカーの同一カテゴリー車や、場合によっては中古車もチェックするでしょう。企業は、自分たちにとって都合の良い顧客ではなく、あくまでリアルな顧客像を想定せねばなりません。

カスタマージャーニーはペルソナ、ゴール、プロセスの順で考える

カスタマージャーニーは一般的に、チャートや図表などの「カスタマージャーニーマップ」にまとめられます。顧客の複雑な行動を、1枚ないし数枚のスライドへコンパクトにすることで、関係者の間の意識共有と意思決定を効率化できるのです。

作成の出発点となるのは「ペルソナ」の設定です。一般にマーケティングでは「30代男性、会社勤務、既婚、趣味は旅行」というような属性でターゲティングしますが、ペルソナはもっと具体的な顧客像のことを描きます。

具体的には「大学新卒で生活消費財メーカーに入社、15年勤続で転職経験なし。2年前に営業部門の係長に就任し、大手量販店バイヤーとの折衝に日々従事。趣味の旅行は、営業時の話題作りも兼ねている」といった情報で顧客像を決めるのです。

次がゴールの設定です。ペルソナに対して最終的にどうなってもらいたいのか。例えば車の購入と一口に言っても、オンライン見積もりでメールアドレスを登録してもらいたいのか、店に訪問してもらいたいのかで選ぶべき手法も変わります。

この2つができたら、時系列を考えていきます。方法論はさまざまですが、一般的には購買のプロセスを「認知」「興味・関心」「比較検討」「購入」と設定。各段階において、企業と顧客の接点(タッチポイント)になるのは何か、顧客はどんな気持ちなのか、行動するならどんな手段なのかをまとめていきます。

ここまでがカスタマージャーニーの基本です。

ただし、あらゆる部分において「マーケターが、こうあって欲しいと願う顧客のイメージ」を詰め込んではいけません。ペルソナ1つをとっても、既存の顧客情報をもとに狙うべき顧客像を設定するべきですし、新規事業を立ち上げるにあたってのペルソナなら、企業理念を完全に反映させるくらいの作り込みが必要でしょう。

顧客の行動も同様です。例えば車販売を認知してもらうのはテレビCMや販売店のディスプレイなど、さまざまなかたちが想定されますが、それこそ「大型商業施設でイベントを開催したら大勢が来場した」のような想定は自社に都合が良すぎるかもしれません。アンケートやインタビューの結果、市場調査レポートなど出典がはっきりしているデータを活かすのが良いでしょう。

このように、カスタマージャーニーの作成はさまざまな視点が必要であり、営業や宣伝、カスタマーサポートなど、社内の各部署を横断して意見を集約する必要もあります。

また、カスタマージャーニーは1度作ったらそれで終わりではなく、半年や1年という単位で更新・バーションアップすることも重要です。

多くの企業にとって「顧客満足の向上」も重要ですが、同時にビジネス目標の達成も考えなければなりませんず。その達成には何が必要なのか? カスタマージャーニーはそれを考えるきっかけとなってくれるでしょう。

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