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「おもしろい話して」の要求ほど難しいものはない

母がちょっと風邪気味だった時のこと。
車の運転中にこう言った。

『眠気を覚ますために、おもしろい話して。』

なかなかハードルの高い要求だ。
私は某芸人のすべらない話の鉄板ネタなんぞ持ち合わせてはいない。
しかも相手は毎日過ごしている母。
お出かけ中に妹のカッコいい話をしてしまった。

とりあえず…と、クセのあるお客様の話をしてみた。
接客業をしていると馴染のあるお客様もいらっしゃれば、ちょっと変わったお客様や、物騒なことを吐き捨てるお客様もいらっしゃる。
10年勤続して強くなったものだ。

母は興味津々に聞いたものの、
『おもしろくない、次!』と追加を要求した。
おもしろい話があったら、ひと通り話してるって。

次ひねり出した話は中学生くらいのこと。
母方の祖父の家に泊まりに行った時の話をした。
ちょっと恥ずかしい話なのでここでは省略…。

母にとっては自分の親と娘の話。
時々私に突っ込みながら話を聞いた。
やっぱりちょっと自虐ネタがウケるんだよな。
『……うん、いい感じ。次いってみよ〜!』
え!
『だって家までまだ距離あるよ、次、次!!』
嘘でしょ〜〜。

あといくつか話をしたけど、ちょっと覚えていない。母の満足いった話ではなかったと思う。

1000本ノックのようにやってみたけど、過去の経験も踏まえて、おもしろい話には条件があると私は考える。

①共感できること
②専門用語がない
③知っている人の話(直接会ってなくても思い浮かびやすい人、◯◯さんのお母さん、とか)
④情景が思い浮かぶ(ちょうどいい擬態語)
⑤抑揚がある(強調するところは2回言う、とか)
⑥自虐する
⑦ツッコミが入っている(例:「さっきまでこう言ってたやん!」って思ったわけですよ!)

これが全部入ってなくてもいいけど、あると楽しくなる気がする。
失敗する時もあるのもまたおもしろい。
母の無茶振りが私のスキルを少し上げたかもしれない。

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