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ハインリッヒディンケラッカー

好きなブランドは何かと聞かれたらハインリッヒディンケラッカーと答える。ドイツの靴メーカーなのだが、何よりも好きなのがそのブランド名の響きである。声に出すと心地よく、何度も言いたくなる。その靴どこのブランドですか?って聞かれて答えたい。なんだったら、靴の話になるよう話題を誘導する。

もちろん、名前だけでこのブランドが好きになったわけではなく、様々な要因がそこにある。ほかの人は知らない良いものを自分だけが知っているという優越感や、レアなものを入手したという満足感など、特定のブランドを好きになる理由は人によって異なるだろうが、私にとっては「楽しめる」ことが大きい。

単なる所有欲による購買行動は、買った瞬間に喜びが最大化するが、それは持続しない。一瞬の喜びであり、ブランドのマーケティング戦略に踊らされてまた次に欲しいものがでてくるだけだ。ブラッドピット主演のファイト・クラブという映画があったが、主人公がブランド家具を買いあさっても満足できなかったように、こうした消費を繰り返すことに虚しさを感じてしまう。

ハインリッヒディンケラッカーは購入したあとも様々なことを楽しむことができる。冒頭での声に出すという小さな楽しみ方や、過去の投稿で書いた靴磨きをしてもいい。

また、ハインリッヒディンケラッカーは語れるストーリーも多い。職人が手作業で作っているとか、年間で8000足しか作れない、最高品質の素材しか使わない、ツォップナートという特殊な編み方をしている、など。おそらく居酒屋で2時間くらい話せると思う。

こういう一粒で何度も楽しめるブランド品は実はコスパがいい。というのが、最近高価なものを買う時の自分への言い訳である。


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