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今年第1弾の楽曲を発表しました。制作の中で目指した事、うまくいった事、次に活かしたい失敗事などつづります

こんにちはMinimal Orderです。
2022年第1弾の楽曲"orca note"を、Bandcampより先行リリースしました。
*更新:様々な音楽サービスで配信を開始しました。

気づけばストリーミング時代には珍しい、6分という長尺の曲になっていました。是非ヘッドフォンなどでご一聴いただき、コメントなどいただけたら嬉しいです。

はじめに

今回は、思いつくままに、制作の背景で考えていたこと・悩んでいたことを記録していきます。

実際noteを始めた理由も、苦手な「言葉、言語化」から逃げずに、「言語化で視界をクリアにしたい。作品に接する方々と言葉でも繋がりたい。制作物や制作活動を曖昧なままでなく言葉の力でより開かれたものにしたい。」と思っていたからです。

制作背景あれこれ

1) 目指した事

曲づくりの中でまず大事にしたことは、自分に嘘をつかないことでした。
・(憧れのアーティストの音そのものではなく)自分が聴きたい音は何か
・まず、最前列の聴衆である自分が作った音に満足しているか

を、大事にしました。具体的に何が自分の好きな音、聴きたい音かは、過去シングル「twenty-twenty」「chronotope」を作っている頃から徐々にクリアになっていました。

好きな音の特徴は主に3つです、
① 曖昧な音や、歪み、グリッチ音を愛おしく思っていること
② 相反する情緒の拮抗している音に惹かれること
 (明るいのに、切なく悲しい。ユーモラスなのにシリアス)
③ 楽器ではない何かが楽器かのように活躍している

今回は、この3つの好みに意識的になり、すべてを満たすような楽曲を目指しました。

例えば、についてはここ数年のFlumeがとても高度に且つPopにも仕上げていて、本当に悔しいです(&尊敬しています)。

わかりやすいクリーンなテクスチャーではない、歪んだ音が主役として活躍している様が確認できます。十二平均律からはみ出しそうなノイズまで、なぜこんなに自在にあやつれるんだろう。。。

②相反する情緒の拮抗については、Tyondai Braxtonに憧れるところが大きいです。

能天気なキャラクターの上モノと、必死にシリアスに駆け抜けるクールなビートは、それぞれに意識向けると、全くの別個性に映ります。
相反する個性が、1つの曲として、矛盾を矛盾のまま両立している。そんな音の建造物に強く惹かれます。

③楽器ではない楽器の活躍については、かねてからBurialに憧れまる。

初期の曲では、スネアやハイハットのような音にゲーム「メタルギアソリッド」の「銃の装填音」「薬莢の落ちる音」のサンプリングを用いていて、それが一つ一つの音のユニークさにつながっています。

彼のような音楽に触れれば触れるほど、楽器も楽器以外も平等に選択肢に入れ、1音1音の質感にこだわりたいという思いを強めています。

長くなってしまいましたが、目指したことをまとめると。
まず、自分の好きという感覚に忠実であること。
具体的には、具体的には以下3つの視点で曲を磨くことでした。
① 曖昧な音や、歪み、グリッチ音
② 相反する情緒の拮抗
③ 楽器ではない何か

2) うまくいった事

曲制作そのものと、副次的なものが混ざりますが、以下の2つです。

a. 好きな音をよりクリアに捉えて言語化できるようになった

すなわち、「何よりも、何が好きなのか」や「今後どんな曲を作りたいか、つくるべきか」について、以前よりも視界良好になったことです。

本記事冒頭で、あれやこれや自分の好きな音を語りましたが。あそこまでクリアにできたのは、今作orca note制作中でした。
なので、曲そのものだけでなくこれも大きな収穫でした。

b. 好きな歪み・グリッチ音の操り方の引き出しが増えた

「目指した事に」記載の通り、グリッチ音(特に温かみのあるもの)が好きなのですが、グリッチ音を量産するワークフローをいくつか増やすことができました。ちょっとテクニカルな話題なので、今後別記事で触れようかなと思います。

昔から一番愛用しているのは、Ableton LiveのMax for Live - Granulator 2という機能です。

3) 今後に活かしたいこと・まだ苦戦していること

・音の三次元空間設計に論理を持つ

ミキシングにやや踏み込んだ内容、音の空間設計。
すなわち「何の音をセンターに置き、左右に振り、右に振り、左に振るのか」について明確な論理を持ちたかった、というのが反省点です。

もちろん最後はなんとかなったのですが、「最初から考えを持つ」や「ある程度の段階まで可変にして固定しないでおく」等、方針を決めるべきだったなと思いました。

・ワイドレンジに頼りすぎると音圧の低減に気づかない

(これは、音楽のピアレビュープラットフォームhot or notで指摘を頂いたことなのですが)ずっと左右に音を振ったまま(ステレオだけのまま)で編集し続けると、モノラル環境で曲が意図したように成立しないことに気付けないというリスクを負ってしまいます。

終盤で気づいた(というか思い出した)のですが、これも制作初期から意識しておきたいなと思いました。

・もっと候補者を量産してから仕上げる曲を見定めたい

これは、以下の記事の考えの通りです。長く同じ曲を編集すると、良くも悪くも愛着・バイアスがブーストするので、フラットに良い曲を評価できるようにアイデアをこれまでに以上にコンスタントに多産しようと誓いました。

おわりに

今回は、新曲リリースにあたって文章も綴るという初めての試みでした。
今後も、今作のみならず、過去の作品についてもnoteにてコトバにしていこうと思います。

リンク

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