【SEA】再建トレード総括③
■好打者セグーラの放出(18/12/3)
このトレードも、前回紹介したカノーのトレードと同日に発表されています。
2016年シーズン終了後にケテル・マーテイ、タイワン・ウォーカーとのトレードでミッチ・ハニガーらと共にアリゾナ・ダイヤモンドバックスから移籍してきたセグーラは、マリナーズでは2年連続で打率3割をクリアし、テーブルセッターとして活躍していました。
またセグーラはこの年の6月に5年$70Mのエクステンションに合意したばかりであり、チームオプションも含めれば2023年まで保有することが可能でした。そんなセグーラも、チーム再建の動きの中でフィラデルフィア・フィリーズへと放出されています。
マリナーズはセグーラ以外にも、2人のリリーフ投手を放出しています。2017年に76試合に登板、防御率2.61の大活躍を見せ、同年オフに2年契約でマリナーズに加入したニカシオは、2018年は46登板で防御率6.00と期待を裏切る結果に終わっていました。両チームの負担するサラリーの調整のため(契約は残り1年$9.25M)、またバウンスバックに期待してフィリーズが引き取ったということでしょう。
パゾスは2017年から2018年にかけてマリナーズで活躍した左腕投手ですが、球速が大きく低下するという問題を抱えていました。ニカシオ同様、バウンスバックに期待してフィリーズが獲得したものと思われます。
クロフォードは、当時は打撃も守備もメジャーレベルへの適応に苦しんでいる元トッププロスペクト、という立ち位置でした。マリナーズ移籍後にはまず守備面で大きな飛躍を見せ、2020年にゴールド・グラブ賞を獲得。課題であった打撃力も今年はここまで50試合の出場で.291/.383/.441/.824、5本塁打と昨年以前からレベルアップしています。また、4月上旬には5年$51Mのエクステンションに合意しました。
2年$41Mの契約が残っていたサンタナはサラリー負担のために引き取り、シーズンが始まる前に三角トレードでインディアンスへと放出されています。マリナーズでは1試合も出場することはありませんでした。
少しややこしいですが、マリナーズが放出しているものはカルロス・サンタナと金銭($6M)になります。
マリナーズはインディアンスから受け取った2019年2巡目補完指名権(全体76位)で、アイザイア・キャンベル(RHP)を指名しています。同年発表のMLB.comによるドラフトプロスペクトランキングでは45位に付けており、先発3番手のポテンシャルと評されていました。しかしプロ入り後に大きな怪我を負ったこともあり、デビューは2021年までずれ込んでいます。既にプロ4年目を迎えていますが、経験はあまり積めていない状況です。
エンカーナシオンは2018年には.246/.336/.474/.810、32本塁打、107打点の成績を記録するなど打棒は健在でしたが、$21.6Mという年俸の高さや、守備能力の低さからインディアンスが放出を模索することになり、マリナーズが指名権と抱き合わせで引き取るに至っています。マリナーズは当然すぐにエンカーナシオンの転売先を探すのですが、なかなか見つかりません。65試合に出場して.244/.344/.531/.875、21本塁打、49打点と好調をアピールすると、6月にようやくヤンキースとのトレードに漕ぎ着けることができました。
エンカーナシオンのサラリーの内、レイズが負担する$5Mを除いた残りの半分をマリナーズが負担しています。
テンは元々2016年にマリナーズと契約してプロ入りしているドミニカ共和国出身の投手です。2017年オフにリリーフ投手とのトレードでヤンキースに移籍した後に評価を上げ、このトレードでマリナーズに復帰したことになります。マリナーズに戻ってきて以降は怪我に苦しみ、プロスペクトとしての評価も低下傾向にあります。
■このトレードの総括
以上紹介したトレードでマリナーズが最終的に放出したもの、獲得したものをもう一度まとめたいと思います。
整理すると、長期保有が可能なレギュラー遊撃手とバウンスバックする可能性のあるリリーフ2人を放出し、メジャーへの適応に苦しむ元トッププロスペクトとそれなりのポテンシャルを持った2人の投手プロスペクトを獲得したトレード、と見ることができると思います。
投手プロスペクト2人は残念ながら怪我に苦しんでいますが、目玉であったクロフォードをしっかりとモノにすることができたのは大きいです。
評価:B
画像:Mariners
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?