育児失言集①

「真面目だね~」

<状況>

息子(3歳)の保育園では、「自分の荷物は自分でもつ」ことが徹底されており、リュック必ずチェストストラップ(胸のところでパッチンととめるもの)をして落ちないようにしてから登降園するようにというルールがあります。息子のリュックには付属のチェストストラップがついているのですが、少しサイズが小さく固く、初めの頃は難しそうだったので、上から大きいサイズのもを後づけしていたのです。

保育園でのルールを知っている息子は、車を降りた時に後付けのストラップをきっちり締めて玄関に向かったのですが、先生にご挨拶をしたあと、付属の小さい方のストラップが締められていないことに気が付きました。そして、お友達が後ろで待っているにも関わらず、その場で小さい方のストラップを止めようと格闘し始めたのです。

<対応>

その時、私は少し焦っていました。

『(心の声)玄関入っちゃえばすぐかばんおろすじゃん!ってか、後ろつかえてるんですけど!』

コロナ禍で、玄関での健康チェックをしながらの見送りになるので、どうしても混雑する時間は列ができちゃうんですよね。
でも、後ろの方も急かすような意地悪な人たちではありません。とはいえ、どうにか場をもたせたい…(なんのためにw)と、とっさに出た言葉が「真面目だね~。全部しめるの。」でした。

<反省>

息子は下を向いたまま、黙って保育園に入っていきました。
振り返らずに保育園に入るのは彼の儀式のようなもので、私が送りの時は絶対に振り返りません。振り返ると家に帰りたくなる、ということを知っているようです。

でも、その日の背中は少しいつもと違うように感じました。そして、瞬間的に声のかけ方を間違えた!と感じました。

「真面目だね」というのは、否定的でも肯定的でもないような言葉に感じますが、これと同様の形容詞を挙げるなら「丁寧な」「勤勉な」「不真面目な」「怠惰な」といったもので、そのどの言葉にもポジティブなイメージとネガティブなイメージが入っています。
人はだれかについて描写する際、こうした言葉を使うことでバイアスをかけて聞き手に印象を伝達します。そして聞き手はこうした言葉の含むニュアンスを理解しているので、「あ、この人は彼/彼女に対して良い/悪いイメージを持っているんだな」ということが伝わったり、「彼/彼女は良い人/悪い人なんだ」と人物像について判断をすることができるのです。

つまり、自分ではそのつもりはなくても、この言葉一つで『評価』を与えてしまったことになるのです。

息子が「真面目だ」というのを「褒められた」と捉えてはくれなかったということはすぐにわかりました。日頃、私はこの言葉を「今それをしなくてもいいのに、なぜここでこだわりだすのだ」というような状況下(例えば、急いで出かけなきゃならない時に限ってスニーカーのマジックテープをまっすぐ止めたがるとか)で、自分がイラ立たないようにするために少し揶揄的な意味を込めて使うことが多かったからです。

では、どんな言葉ならよかったのだろう・・・
私が行きついたのは「2つとも止められたね」「そっちのパッチン(ストラップ)にも気づいたんだね」でした。
状況を描写し、できるだけ「You can/could」の表現になるように伝える方法です。

自分が子どもの頃にされて嫌だったことの一つは、私の性格について母が決めつけたように語ってくることでした。母は決して毒親と呼ばれるレベルではなかった思うのですが、教育・しつけには厳しい方で「あんた、本当に素直じゃないから謝れないんだ」「そんなことにこだわって、真面目過ぎる」「怖がりだ」など、自分がしたかったことや伝えたかったこととは違った形で母に伝わり、母がそう口にしてくることがとても嫌でした。『なんで決めつけるの!?』と。

大人がその子の性格について「あなたは○○だよね」という言うことは、結構その子の呪縛になったりするのです。「どうせ私は怖がりだから」というのはもちろん、ポジティブな性格についても「私は明るくなければならないんだ」など、こうあるべきという呪縛になることもあります。
そうした(決めつけによる)性格描写より、子どもが何に挑戦し、何を達成したのかに注目する、事実描写をしていきたいなと思うのです。

列に気を使うのならば、息子の立っている場所を場所をずらせばよかったんです。そうすれば、息子は周りを気にすることなく、自分のチャレンジを続けることができます。

息子がその一言を今でも覚えているかはわかりませんが、積み重なって呪縛になる前に、自分の言葉使いを変えていきたいなと思うのでした。

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