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観劇感想:イキウメ「天の敵」

「人生という、死に至る病に効果あり。」


恒例となった前川さんのホームグラウンド、劇団イキウメの公演です。

2017年5月に見に行ってまいりました。

過去作品「図書館的人生 Vol.3 食べもの連鎖」の追加脚本verです。

奇しくも人の血を飲むことで永遠の命を得た人間(ドラキュラ)の伝記モノ。

(主人公は別の人です)


<あらすじ>
ジャーナリストの寺泊 満(安井順平)は、菜食の人気料理家、橋本和夫(浜田信也)に取材を申し込む。

きっかけは妻の優子(太田緑ロランス)だった。
寺泊は難病を抱えており、優子は彼の為に橋本が提唱する食餌療法を学んでいた。
当の寺泊は健康志向とは真逆の人間だが、薬害や健康食品詐欺、疑似科学や偽医療の取材経験も多く興味があった。

優子がのめり込む橋本を調べていく内に、戦前に食餌療法を提唱していた長谷川卯太郎(松澤 傑)という医師を知る。

寺泊は長谷川と橋本の容姿がよく似ていたことに興味を持ち、ある仮説を立てて取材に望んだ。
寺泊は、プロフィールに謎の多い橋本は長谷川卯太郎の孫で、菜食のルーツはそこにあると考えた。

橋本はそれを聞いて否定した。

実は橋本は偽名で、自分は長谷川卯太郎本人だと言う。

主人公は不治の病に侵されていて、妻の勧めで、妻の通う料理教室に行きますが、その料理教室の先生が、ドラキュラモドキ=長谷川卯太郎、なわけです。


主人公と妻の関係(妻はなぜ主人公に長谷川を紹介したのか)や、卯太郎の抱える焦燥と孤独。

そういうものが詰め込まれた作品でした。


物語の大半は、卯太郎の生きてきた時間の語りです。

吸血鬼になったきっかけ。

なってしまってから、愛した人と同じ時間を生きられない孤独。

こころを許した人が同じ吸血鬼になってしまった悲しみ。

そして再び愛した人。


実は、主人公はとある病を抱えていました。


その病は吸血鬼になれば解決するかもしれない。


卯太郎の生きてきた時間の話を聞き、主人公が選ぶ決断はーーーーーーーーーーーー



というところで話が終わります…。


主人公の妻は、卯太郎の正体を知っていて紹介したのか、知らずに紹介したのか。

そんな脚本上では書かれていない、登場人物の想いも気になってしまうお話でした。


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