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ある労働運動指導者の遺言足立実の『ひと言』第83回「日米安保の解消・アジアとの連帯を!」 1999年6月1日

 日本に他国の軍隊が54年も駐留していることは異常で、独立国とはいえないと思う。
 事実、日本は米軍の駐留費を負担しているだけでなく、アメリカのイラク戦争の費用まで負担させられ、外交はアメリカのもっとも忠実な腰ぎんちゃくだ。
 だから世界で日本外交を尊敬する国など一つもない。とくにアジア諸国の不信感を半世紀も解消できていない。まったく情けないはなしだ。
 日米安保条約は「日本は戦力をもてないので、アメリカに守ってもらう」というのが理由だった。54年のあいだ日本を侵略した国はなかったし、日米安保も機能しなかった。解消して当然だ。
 ところがだ、「新ガイドライン」はアメリカの戦争に参戦を義務づける事実上の新条約で、 台湾の一部の者は「日本は自国を戦場にしても米軍の台湾介入を支持してくれる」と歓迎しているという。
 こんな危険な法案を米国への手土産にする小渕は、まさに非国民いがいの何者でもない。
 さいきん中江要介元中国駐在大使ら、事情を知りつくした元高級官僚たちが、安保を解消し てアジアのなかに日本の席をつくれと主張している。まさに正論であり、 21世紀の日本の姿だ。
 結局、国を動かす決定的な力はわれわれ人民の大衆行動であり、「新ガイドライン」 関連法案は、いま参議院で審議中だ。
 国会へ行こう! そして、われわれの怒りと反対の意志を、大声でぶつけよう! (実)

(画像は本文中に出てくる故中江要介元中国駐在大使。日中友好協会副会長も努めた)

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前回のひと言「戦争前夜は誇張ではない! 日米安保ガイドライン」に続き「日米安保新ガイドライン」=「周辺事態法」国会成立を目前にして、それに対する「反対」の論陣をはっている。

参考

『ひと言』第82回「戦争前夜は誇張ではない! 日米安保ガイドライン」 1999年5月1日
https://note.com/minoru732/n/nbffc89729fa2

今回は、表題にもあるように「日米安保」についても日本政府の態度を「アメリカのもっとも忠実な腰ぎんちゃくだ」としてその「対米従属」を批判し、その解消を訴えている。

前回に続き、「こんな危険な法案(新ガイドライン)を米国への手土産にする小渕は、まさに非国民いがいの何者でもない」とこれを推進する当時の小渕恵三首相を「非国民」と激しく批判している。

本文に出てくる故中江要介元中国駐在大使は2001年にこう言っている。

以下、中江氏の「独立・自主の進路打ち立てよう」からの引用

二十一世紀には、もっと理念をもって、外交の力で問題を解決することから始めるべきだ。核廃絶のための外交を重視し、核抑止力というものを考え直すことが求められている。
 これらを念頭に置いた上で、東アジアに一つの秩序をつくることを、真剣に研究しなければならない。北朝鮮との国交が正常化され、台湾問題にも前進が見られたときに、東アジアの秩序をどうするのか、域外大国の支配や介入を排除した仕組みが必要だ。
 つまり、多国間の広義の安全保障の仕組み、政治・軍事・経済・文化の協力体制をつくることだ。政治的には、体制のいかんにこだわらない主権尊重の平和共存。経済的には、相互補完の経済協力体制。軍事的には集団安全保障体制の下で武力の非行使、東アジアの非核化。文化交流では、人的交流を盛んにし、相互理解を深めることが必要だ。

以上、引用終わり。

参考

【中江要介】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/中江要介

独立・自主の進路打ち立てよう
原点から国のあり方考えよ
元駐中国大使・中江要介
http://japanlabor.party/interview/010101a.html

筆者も言っている通りこれこそ「まさに正論」であろう。

しかし、現在に至るまで日本政府・自民党はこのようなまともな高級官僚の声はおろか、人民の「戦争反対」の声も無視して戦争国家化を推し進めている。

2024年現在においての岸田文雄首相による「敵基地攻撃能力保有」「防衛費二倍」の攻撃もこの時代から連綿と続いている敵の攻撃なのである。

今こそ「われわれの怒りと反対の意志を、大声でぶつけ」る時でもあるのだ。

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