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この冬触れたもの(本・映画etc)

3月になったので、この冬触れたものについて書きました。

本📕
男ともだち 千早茜
出会い:千早茜さんが好きな友人Yの強いおすすめ。
一言:言葉や世界の紡ぎ方に引き込まれて一気に読んだ。登場人物たち(特に神名とハセオ)の生き様がよい。


こびとが打ち上げた小さなボール チョ・セヒ
出会い:韓国文学好きの人から
一言:当時の韓国社会情勢を反映した本。様々な登場人物たちに照らして、私はどこにいるのか、私はどういうものになっていくのか考えさせられた。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック
出会い:高校の時からの積読
一言:展開が気になりすぎて一気に読んだ。最初はSF、エンタメ性があるけれど、だんだんと思索が強まってくる。消化不良感。良い意味で裏切られた。

授業で映画の一部を見たことがあるのだけど、結末は全然違いそう。

引き出しに夕方をしまっておいた ハン•ガン
出会い:本屋。
一言:
痛みや苦しみを声高に叫ぶためではなく、それらに向き合っていくための繊細で濃密で力のある言葉たち。こんな言葉を生み出せる人になりたい。

綺麗な表紙
引用されている詩の一節に惹かれて、購入。
訳者の言葉も好き。詩の核心をついている。

読みかけ&積読📚
すべての、白いものたちの ハン•ガン
出会い:大学の図書館
一言:詩と小説の中間のような文章。途中で紙質が変化するのが面白い。

ねじまき鳥クロニクル 村上春樹
出会い:2年前ぐらいに『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』を読んでから気になってた。
一言:第二部まで読み終わった。他の村上春樹作品と共通する要素がちょこちょこ顔を出すのが楽しい。

ペンギンの憂鬱
出会い:本屋の外国文学コーナーで見かけた。題名が好き+東欧•ロシア文学を読んだことがほぼないので、興味を持った。学校の図書館にあったので、借りることにする。

映画🎬
バービー 
出会い:アメリカ文学の授業で鑑賞
一言:男女関係のひっくり返しとステレオタイプを演じるバービーとケンたちが笑えるようで、笑えないようで、笑えた。終わり方に軽くびっくりした。

哀れなるものたち 
出会い:この予告を見て、世界観と音楽に惹きつけられた。
一言:見終わった後、すぐには感想が言語化できず、ふらふらした。頭の中で音楽がずっと鳴っていた。あとから考えると、哀れ(poor)だけじゃなくて残酷(cruel)もキーワードだと思った。原作も読みたい。

 どちらの映画も「女性であること」がテーマの一つだけど、扱い方は真逆だと思う。
 現実の社会問題に直接響くのはバービー。楽しくて笑える雰囲気の中に、不気味さがあり、気づきがあった。バービーワールドは時にグロテスクだった。現実問題を扱ってるからこそ、笑って大丈夫だろうかと思いながら笑った。一見無害そうで尖っていた。
 哀れなるものたちは逆。現実に対応する部分はあるけれど、あくまで「登場人物たちが住むある物語世界」を描いていた。哀れで残酷だけど、不思議に満ちた美しい世界。世界観に没入していたので、そこまでエログロ残酷が気にならず、受け止められた。テーマや問題提起もなくはないけれど、物語世界の一部だった。映画の目的はある世界を提示することで、その世界を受けて、現実を考えるのは観客の宿題だと思った。
 どちらも面白かったので、もっと深く考察してみたい。

おまけ
①学部時代所属していたマンドリンクラブの演奏会を聴きに行った。あの一体感が羨ましく、久々に弾きたくなった。

②年末ごろ、村田沙耶香さんの公演会を聞きに行った。『コンビニ人間』、『消滅世界』しか読んでいないけれど、こんな小説を書く人が果たしてどんな人なのか気になっていた。講演会でお会いした村田さんは謙虚で、物腰柔らかで、考えながら話す人独特の言葉の途切れがある人だった。

③年始に言語化上手の旧友と会った。その人は体験を語らないけれど、体験を蒸留させてできた思想はよく話す人で、私はそれを味わうのが大好きだ。

④文学フリマ京都に出た。相変わらず新刊がないのをそろそろやめなければと思う。メンバーや知り合いの方々に会えること、交流が増えることが嬉しい☺️



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