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CRB指数とVIX指数

 CRB指数は、欧米の商品取引所で取引されている先物取引価格から算出される国際商品先物指数のことで、正式名称は「ロイター・コアコモディティーCRB指数」です。エネルギー、貴金属、農産物などの価格を適切にウェイト付けし、1967年の値を100として、どれだけ商品価格が上下しているかを指数化して表したものです。
 CRB指数は、1957年に米国のCRB社(Commodity Research Bureau)によって28品目の指数として開発され、その後、構成品目入れ替えなどの修正が行われています。現在では、原油、無鉛ガソリン、暖房油、天然ガス、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、トウモロコシ、大豆、小麦、綿、生牛、豚赤身肉、コーヒー、ココア、オレンジジュース、砂糖など19品目から構成されています。
 CRB指数が上昇すると、資源国通貨が高く、円安に動き、インフレ指数も上昇します。CRB指数は、エネルギーや穀物、金属などの商品市況を指数化したもので、商品相場全体の活況を示した数字です。製品原料として使用される商品を多く含むのが特徴で、製品原料価格の上昇は最終的に製品価格の上昇に直結するため、「インフレの先行指標」として注目されています。
 中東情勢の緊張を受けて地政学リスクが高まっています。エネルギー価格が押し上げられ、夏から秋にかけて物価上昇が予想されます。FRBは、今年、利下げを予定していますが、足元のインフレ抑制が遅れるようであれば、利下げ後退はおろか、最近は利上げもありうるとの発言が出始めています。
 米国の個人消費も減速を示唆するような動きもあり、ガソリン価格の上昇が効いてくるようであれば、株安、個人消費低迷といった強い米国経済が変調をきたす恐れがあります。株価と配当収入が個人消費に与える影響は少なくないのが米国経済なのでインフレに影響するCRB指数は要注目です。
 VIX指数とは、シカゴ・オプション取引所SPXボラティリティ指数といい、「恐怖指数」とも呼ばれ、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティに基づき算出されます。将来の投資家心理を示す数値として注目度が高く、一般に数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされています。
 VIX指数が高いほど、株式相場の急な下落や急な上昇が起こる可能性が高く、VIX指数が低いほど、株式相場が安定しており、株価の急な下落や急な上昇の可能性が低いといえます。VIX指数は通常10~20の範囲内で動くとされ、30を超えてくると警戒領域と判断されます。
 年初は12くらいでしたが、イランとイスラエルの対立から最近は19くらいまで上げました。ロシアのウクライナ侵攻が伝わった2022年2月には、VIX指数が30を超える水準で推移し、一時、37.79まで上昇しました。2020年3月の新型コロナショックの相場急落局面でのVIX指数は85.47まで上昇しました。
 VIX指数の上昇は、米国株式相場の急落の前兆だとする見方もあります。相場が堅調であるにも関わらず、VIX指数が上昇している場合、相場の先行きを警戒している投資家が増えていると考えることもできます。また、VIXが10台で推移しているときは相場に楽観ムードが漂い、短期的な相場の天井圏であるとの見方もできます。
 インフレの先行指標であるCRB指数とマーケット全体の心理状態の反映であるVIX指数をみて、相場の変動性をどう予測するかを考えるのも良いでしょう。

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