村松克哉

これまで化学・電機メーカーを30年間勤務、営業とマーケティングを行っていました。退職後…

村松克哉

これまで化学・電機メーカーを30年間勤務、営業とマーケティングを行っていました。退職後は、岩手県の農業法人に4年、横浜の半導体関連ベンチャーに1年半。さすがにこれ以上の転職は無理と悟り、フリーランス編集・ライターを目指して勉強中。ワントゥワンマーケターでもあります。

最近の記事

34年ぶりのドル高円安は米国にとって大惨事か

 米国のトランプ前大統領は、為替市場で34年ぶりの円安・ドル高水準を更新したことが、米国国内の製造業などに打撃になるとして「米国にとって大惨事だ」とSNSに投稿しました。確かに輸出額を伸ばしてきた米国にとって大きな問題かもしれません。輸出にはドル高はマイナス要因です。  「愚かな人々には聞こえがいいが、製造業などには大惨事だ。彼らは多くの仕事を失うか、賢い国々に工場を建設するか、どちらかの対応を余儀なくされるだろう」と指摘しました。貿易赤字国の米国にとって、ドル高によって輸入

    • CRB指数とVIX指数

       CRB指数は、欧米の商品取引所で取引されている先物取引価格から算出される国際商品先物指数のことで、正式名称は「ロイター・コアコモディティーCRB指数」です。エネルギー、貴金属、農産物などの価格を適切にウェイト付けし、1967年の値を100として、どれだけ商品価格が上下しているかを指数化して表したものです。  CRB指数は、1957年に米国のCRB社(Commodity Research Bureau)によって28品目の指数として開発され、その後、構成品目入れ替えなどの修正が

      • 中国の過剰生産に注意

         米国のイエレン財務長官が訪中し、過剰生産製品が米国企業の経営を脅かすと警告しました。中国政府は経済を主導しているので、海外当局者が何を言おうとも、中国の向上は生産し続けるだろう。安価な輸出品で市場を氾濫させる、中国の過剰な工業生産能力は今後も続く。  2000年代初頭に中国の政策によって中国産の安価な鉄鋼が世界市場に氾濫し、世界と米国の産業を壊滅させました。現在、欧米その他の国々の政策当局者は、電気自動車(EV)、ソーラーパネル、リチウムイオン電池、その他の産業における中国

        • シカゴ連銀景気指数と対中制裁

           また、米国経済の強さを示す経済指標を見つけました。シカゴ連銀景気指数は、85種類の月次指標の加重平均の指数で、全米活動指数(CFNAI)ともいわれます。経済活動全体と相関するインフレ圧力を測定するための月間指標であり、平均値が0,標準偏差が1になるように作成されています。  データは「生産・所得」、「雇用・失業・労働時間」、「個人消費・住宅」、「販売・注文・在庫」の4カテゴリーで見ることができます。予想より高い数値は米ドルの買い材料であるとされますが、予想より低い数値は米ド

        34年ぶりのドル高円安は米国にとって大惨事か

          演劇教育の必要性

           仕事に求められる最初に重要な要素は「コミュニケーション能力」です。コミュニケーション能力とは、「話がこじれた時に、それでも何とかやっていける能力」のことです。お互いが真剣になればなるほど、ものごとはもめます。誰かの真剣は誰かの迷惑になります。  かつて、空き地で子供たちが毎日、みんなで遊んでいたときは、そこでぶつかり、笑い、怒り、くっついたり、離れたりしていました。子供たちは、集団で遊ぶことで「コミュニケーション能力」を学んだのです。  誰かの真剣は誰かの迷惑になります。ど

          演劇教育の必要性

          インバウンドは日本経済をどこまで押し上げられるか

           日本の観光産業の消費額は28兆円と大きく、これは国内で5番目に大きな産業規模です。その中でインバウンドが占める割合はまだ17%程度であり、コロナ禍においては83%の日本人市場が観光産業を支えてくれました。  インバウンド消費のGDP比率は2019年で2%にとどまっています。2023年は0.7%です。先進7か国(G7)平均の4%とは大きな差があります。それだけの伸び代があると解釈します。円安の追い風を受けて2024年1-3月期は過去最高を更新しました。これからまだまだ伸びる分

          インバウンドは日本経済をどこまで押し上げられるか

          寺山修司が今見直されている

           青森県出身の寺山修司。その強烈な個性や主張は生前、若者を中心に支持を集めました。その寺山修司が亡くなってから40年以上がたちましたが、今も若者を魅了し続けています。そのわけはどこにあるのでしょうか。  寺山修司は、昭和10年、弘前市で生まれ、警察官だった父親の仕事の関係で県内を転々とした後、幼少期は三沢市で過ごしました。太平洋戦争で父を亡くし、母親が夜遅くまで働いていた三沢時代、寺山修司は寂しさを紛らわすように本を読み、文学に出会ったとされています。その後、青森高校から早稲

          寺山修司が今見直されている

          SOX指数

           「SOX指数」は、米国上場の主要な半導体関連30銘柄で構成されている株価指数です。別名「フィラデルフィア半導体株指数」とも呼ばれており、半導体の設計や製造、流通、販売などを手がける銘柄で構成されています。時価総額加重平均で算出されており、毎年9月に組み入れ銘柄の見直しが実施されます。  オランダの半導体製造装置メーカーのASMLが17日に発表した第1四半期決算は12億2000万ユーロの黒字でしたが、新規受注は36億ユーロで予想を下回りました。純利益は昨年第4四半期の20億5

          デニーロ・アプローチ

           ロバート・デニーロ。マーティン・スコセッシとのコラボレーションで知られ、同年代の中で最高の俳優のひとりに数えられます。デニーロはアカデミー賞1回など数多くの賞を受賞しています。  出演前に事前準備を怠らない俳優であり、数多くの逸話が残っています。「ゴッドファーザー PART II」では、シチリア島に住んで、シチリア訛りのイタリア語をマスターした後に、マーロン・ブランドの嗄れ声を完璧に模倣した。「タクシードライバー」では3週間、ニューヨークでタクシードライバーとして働いた、等

          デニーロ・アプローチ

          日本企業のROEを高めるには

           日本経済新聞によると、2024年3月期の上場企業の自己資本利益率(ROE)は9.7%前後と前期比0.5ポイント上昇する見通しです。これは2008年の金融危機後で2番目の水準となります。円安や値上げによる利益の押上げが資本効率を改善させています。  しかし、日本の上場企業は近年8%付近で推移しており、欧米の上場企業と比較すると低水準です。その原因は、売上高利益率(ROS)の低さにあります。  東証は、プライムとスタンダード両市場の上場企業全社に対し、資本効率や株価を意識した経

          日本企業のROEを高めるには

          Z世代とミレニアル世代に変化あり

           米国は、GDPの約7割を個人消費が占め、個人消費動向が米国経済の先行きを左右します。総人口3億3200万人の中でも、今後、消費動向が本格化し、米国の消費動向において存在感を増すとみられるのが1997~2012年生まれのZ世代です。米国経済は強く、経済指標上、衰えは見えませんが、最近、米国最大の化粧品専門チェーンのアルタ・ビューティやアクティブウェアを販売するブランドのルルレモンが売り上げの軟調や減速を示唆したことから米国個人消費の先行きを不安視する見方が出ています。  米国

          Z世代とミレニアル世代に変化あり

          「日本企業の稼ぐ力を取り戻す」にはまだ道半ばも行っていないかも

           安倍政権時の日本経済再興を目指した「日本再興戦略」が2013年6月に発表されてから10年以上がたちましたが、日本企業の「稼ぐ力を取り戻す」を旗頭に「ROEの8%以上、PBRの1倍以上」を目指して一連のコーポレートガバナンス改革が行われてきました。しかし、日本企業の稼ぐ力の復活は道半ばです。まだ約4割の上場企業が未達成です。  そのため、東証はプライム市場とスタンダード市場の会社に対して、特に継続的にPBRが1倍を割れている会社には、資本コストや資本収益性を意識した経営を実践

          「日本企業の稼ぐ力を取り戻す」にはまだ道半ばも行っていないかも

          シャープ・レシオ

           シャープ・レシオは、「これから投資しようとしている金融商品が、過去にどのようなリスク対比で動いてきたのか」を見るために使われます。金融商品を販売している会社のウェブサイトなどでシャープ・レシオを調べることができ、次のような計算式に基づいて算出されています。 対象期間のシャープ・レシオ=(リターン-無リスク利子率)÷リスク  リターンとは、対象期間の年率平均リターンのことです。無リスク利子率とは、「リスクを冒さなくても手に入るリターン」のことで、リスクのない金融商品を買ったと

          シャープ・レシオ

          中東の対立

           イランのイスラエルへの攻撃でガザに続いて、中東での騒ぎはいったいどうしたのでしょう。そもそもイランとイスラエルは対立関係なのでしょうか。なぜ、これほどまで対立しているのでしょうか。中東情勢が世界経済に与える影響は、特に原油価格が上昇している中、インフレ抑制に世界各国が躍起になっているので、今回のイランとイスラエルの対立は、原油価格100ドルを超えるとインフレの再燃や株式相場など広範囲に及ぶと考えられます。  イスラエルとイランは今でこそ敵対関係にありますが、1950年代、6

          中東の対立

          IOWN構想

           IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想は、NTTが開発・研究を行っている通信基盤のことです。IOWN構想は、光電融合技術を中心とした3つの革新的技術(All Photonics Network(APN)、デジタルツインコンピューティング(DTC)、コグニティブ・ファウンデーション(CF))により5Gよりも高速化・大容量化・低遅延化を実現できるとされています。この構想は2019年に公表され、2024年の仕様確定、2030

          米国経済の強さは米ドルの信用力にあり

           米国は世界最大の経済大国で、米ドルは国際通貨のなかで中心的な地位を占める「基軸通貨」です。そのため、米国で発表される経済指標は、世界経済動向や金利、為替などに大きな影響を与える傾向があります。毎朝みているテレビ東京「モーニング・サテライト」では様々な経済指標を駆使して分析がなされているので非常に参考になります。経済指標とは、各国の経済活動状況をあらわす統計データのことですが、各国の公的機関が定期的に集計・公表するデータを指します。日本は経済指標の数、内容のどちらをとっても米

          米国経済の強さは米ドルの信用力にあり