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クロスボーダー・ラグビー


 THE CROSS-BORDER RUGBY(クロスボーダーラグビー)は、2024年2月に開催されたラグビーユニオンの国際競技会です。ジャパンラグビーリーグワンと日本ラグビーフットボール協会が主催しています。クロスボーダーラグビーは、異なる国のラグビーカルチャーが交わり、新たなラグビーカルチャーとラグビーの歓びを世界に誕生させるための大会です。世界トップレベルのクラブチームとリーグワン参加クラブチームが競技し、世界中のファンに魅力的な試合観戦機会を提供します。日本のクラブラグビーがスーパーラグビーの上位チームとどういう試合をするのか、国代表とは違う意味で日本のラグビーのレベルを測るいい機会です。
 スーパーラグビーには、かつて日本のチームとしてサンウルブスが参戦、強度の高い世界トップレベルのラグビーを体感し、2015年のワールドカップで南アフリカに勝つという偉業に結びつきました。その後、移動時間の長さ(オセアニアだけでなく南アフリカやアルゼンチンに遠征する時差の厳しさ)、クラブチームからの寄せ集めという不規則さ、なかなか互角に戦えるまでに時間がかかるなどの理由からスーパーラグビーからサンウルブスは除外され、解散となりましたが、スーパーラグビーの強度の高さは日本のラグビーファンを魅了し、世界で戦うためにアルゼンチンやフィジーのようにスーパーラグビーへの参戦は必要と根強い意見があります。
 2024年2月3日と4日、10日に試合が行われます。2月3日の開幕戦は、東京サントリーサンゴリアス(昨年リーグワン4位)とニュージーランドスーパーラグビーのブルーズ(昨年スーパーラグビー3位)による試合でした。私は秩父宮ラグビー場に行き、観戦しましたが、残念ながら今季、サンゴリアスの目玉選手である、オールブラックスのキャプテンであるサム・ケイン選手と南アフリカの韋駄天であるチェスリン・コルビ選手は不出場は私のみならずラグビーファンをガッカリさせたと思います。サンゴリアスはブルーズに7-43と完敗しました。身体能力差が圧倒的にあり、サム・ケイン選手とチェスリン・コルビ選手がいれば何とかなるという問題ではなかったとの印象でした。
 4日は、埼玉パナソニックワイルドナイツ(昨年リーグワン2位)とニュージーランドスーパーラグビーのチーフス(昨年スーパーラグビー2位)による試合でした。私は現地観戦しませんでしたが、ワイルドナイツはサンゴリアスと違って、ベストメンバーで臨みました。結果、38-14で埼玉パナソニックワイルドナイツが勝利しました。スーパーラグビーの強度の高いラグビーに最初の10分間は手を焼いたようですが、南アフリカや豪州など代表クラスの選手を先発させたため、互角に渡り合い、ワイルドナイツのラグビーで試合に勝つことができました。観戦に行った人からSNSで見に行って本当によかった、感動したとの声があがっていました。
 埼玉パナソニックワイルドナイツのヘッドコーチであるロビー・ディーンズ(ニュージーランドの名将)は、試合後のインタビューでリーグワンの真っ最中でこの試合に勝っても何のメリットもない、選手のけがのリスクを考えると難しい選択であったことを吐露しました。そして、クロスボーダー・ラグビーの試合はリーグワンのシーズン終了後に行ってほしいと訴えました。もっともだと思います。スーパーラグビーのほうは開幕前でプレシーズンマッチの位置づけだったので今回の試合にチーフスの主力は出場しなかったのです。しかし、日本のラグビーファンの思いを考えれば、この機会を台無しにしてはいけないと考え、ワイルドナイツはベストメンバーで臨みました。結果、ロックの選手がけがをしたという代償を払いましたが、日本のクラブラグビーの意地を見せました。
 サンゴリアスとワイルドナイツの差はありますが、2月10日には、横浜キヤノンイーグルスとブルーズ、S東京ベイとギャラガー・チーフスの試合
が行われます。この両チームにはファンをガッカリさせないことを切に望みます。


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