【お題】馴れ初めについて
ついに自分の脳みそでエッセイのテーマを考えられなくなりました。
これはお題箱からテーマをもらって思いつきの文章を書かせていただくという他力本願な企画です。
お題をくださった方、救いの手を差し伸べていただきありがとうございます。
お題
論
― ここは江戸。
仕事はできるがなにをするにも真面目に取りあわず、いつも屁理屈をならべては人を煙に巻くことが好きな手代の春吉。
そんなひねくれものも一人前に恋はするらしく、向かいの茶屋の娘、お絹に好意を寄せていた。
普段はすまし顔な春吉もお絹を前にするとてんでダメで、いつも斜に構えて、よしゃあいいのに変な持論ばかり。
「商人ってのはあ、怠惰でなくちゃあいけねえ。そのほうが飽きないってもんよ」
こんな調子に茶屋の常連はやれやれといった様子。しかしお絹はこんな春吉の話であっても、いつも嫌な顔せずに話を聞いてあげるのであった。
そう、ふたりはお互い言わぬが相思相愛。そのさまは茶屋の常連にも伝わっており、皆がふたりの行く末を見守っていた。
さて秋は木枯らしが強く吹いてきたころ、春吉はその働きぶりを主人に認められ、春助として番頭を務めることとなった。
番頭になったからにゃあと主人に交渉を持ちかけると、同時に妻を娶るお許しもいただいた。
「こりゃあオイラもいよいよ一人前、苦労も掛けることはねえ。お絹と二人になろうじゃねえか」
― と決心した矢先、お絹は返らぬ人となった
流行り病らしい。亡くなるまさにその日、周りが止めるのも聞かずに春助は病の床へ駆けつけた。医者も手を尽くしたが、今夜が峠だろうと春助に告げる。すると春助、いつもの調子でお絹に語りかけた。
「極楽浄土ってのはよ、どうやら大層いいところらしいね。だってだれも戻ってきちゃいないんだからよ」
「だから怖がらなくていい。オイラがそっちにいったらよ、阿弥陀様の前で祝言でもあげようじゃねえか」
震える声を必死に抑え、ただお絹を案じて冗談を絞り出す春助。するとお絹、最期の力を振り絞ってこう返した。
「あんたの冗談は嫌いじゃないよ。でもあんたはやっぱり商人、どっかに根のまじめさが出ちまうのが惜しいところだねえ。あたしがいなくなってもすぐにこっちへ来るんじゃないよ。もっと面白くなってから来て頂戴」
お絹を失った春助は旦那に頭を下げ、商人を辞めた。思い人の最期の言葉を胸に春助は今日も高座に上がる。めくりに掲げられた名は澪疾亭 弐春。
「えー、わたしが丁稚のころ、えらい別嬪さんのおる茶屋がありましてねぇ。何度も通ったばかりに主人に魂胆がばれて、それからなぜか、わたしの頼んだ団子だけ砂糖を抜かれるようになったんですわ」
「わけを聞いてみると『あの娘さんをみると甘い気持ちになりますやろ。それでうちの団子はちょうどいい塩梅になりまんのや』なんて抜かしまして・・・」
春助は今日も芸を磨く
いつかお絹におもしろいと言ってもらえる日のために・・・
あ、これは前世のエピソードでしたね。街コンです。
~FIN~
こんな感じで、お題にたいして思いつきをつらつらと述べてみたいと思っています。どんなお題でも、文章じゃなくて単語ですらよいので、ぜひ投げてみてください。
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