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入院生活②

翌日、採血が終わり、異常なし。

普通の病棟へ移れることになった。

普通の病棟はすごくオシャレで綺麗。

保護室とは比べ物にならないぐらい快適だった。

共有スペースにはテレビもある。

私の部屋は4人部屋だが、

勉強ができる机や椅子もあって、ベッドもある。

監視カメラはない。

とても過ごしやすそうな部屋だ。

夜ご飯の時間が来て1人で食べていると

同い年ぐらいの女の子が話しかけてくれた。

かほちゃんという私より1つ年下の女の子だ。

私たちはすぐに意気投合し、仲良くなった。

そして、かほちゃんの友達も紹介してくれた。

みさちゃん、もえちゃん、さらちゃん、りゅうきくん。


みんな優しくて、すごくいい子だ。


他の4人ともすぐに仲良くなって

消灯時間まで楽しく話していた。

すると、りゅうきくんの体調に変化が。

急に倒れ込んで、息が荒くなっていた。


パニック発作だ。


楽しくて忘れていたが、私たち6人はみんな


精神病患者だ。


私たちはりゅうきくんの発作がおさまるように必死に声をかけた。


「大丈夫だよ。」「私たちがついてるよ。」


「1人じゃないよ。」


それでも発作はおさまらない。

隣では認知症のおばあさんが怒っていた。

恐らくりゅうきくんは私と同じで

大きい音や怒った声に敏感なのだろう。


「殺してくれ。」「来る。」


りゅうきくんは荒い息の中そう呟いていた。

発作は10分ほどでおさまった。

でもまだ怯えている。

私たちは消灯時間までりゅうきくんの背中や頭をなでたり、

手を握ったりして時間を過ごした。


死にたいよね。りゅうきくん。


私も同じ気持ちだよ。


声かけたり、頭なでたりすることしかできなくて


ごめんね。


(2022.02.20.)

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