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中国経済と人口問題

中国経済が苦しんでいます。

中国経済の現状をCNNとFTが報道しているので、ぜひ、二つの記事をお勧めします。

中国経済は個人的には中国版失われた30年が始まっていると考えています。以前の記事ですが、日本のバブル崩壊がどうだったかを含めた記事を書いていますので、こちらもご参照ください。

さて、中国経済の今後を考える上で、人口問題は最も重大なことと言えるでしょう。中国は2年連続で人口が減少しました。同じく17日に発表された統計によると、2023年末の総人口が前年比で208万人減少。61年ぶりに人口が減少に転じた昨年は85万人減でしたのでペースが加速しているのが分かります。

もはやインドの人口は中国を超えていますが、問題は数字が減っていることよりも長年の一人っ子政策が作り出した人口構造のゆがみです。

昨年は1000人当たりの出生数は6.39でした。日本の場合、2022年は1000人当たりの数字が6.3だったので、中国と日本が並んだことになります。

(出典:IMFホームページ

上記はIMFの資料です。2024年以降は4%台のGDP成長率、2027年頃からは3%台になっています。そして、消費者物価指数も若干の回復の後は2%台が続くと予測されています。

IMFのレポートを読むと、中国の成長の鈍化や下振れリスクが懸念されているのがわかります。そして、いま、見えているリスクとしては、債務問題、そして不動産に関する規制の強化や、IT関連企業への規制強化などがありますが、今回は中国の抱える長期リスクとしての働き手の減少を考えてみます。

まず、人口ピラミッドを4つ比較してみましょう。(以下、World Population Prospects 2022より/https://population.un.org/wpp/Graphs/DemographicProfiles/Pyramid/156)

①1980年の中国の人口ピラミッド

1979年からは一人っ子政策が始まります。その影響からか、極端に0歳から5歳が減っていることがわかります。しかし、基本的には綺麗な三角形であり、だんだんと消費をしたり、働いたりする世代の人口が増えていくであろうことが予測されます。

②2000年の中国の人口ピラミッド

若年層の人口は増えておらず、今後、高齢者より若年層が少なくなることが予測されます。高齢化社会への突入が見えます。

④2040年の中国の人口ピラミッド(予測)

若年層が明らかに減り、高齢者化社会となっている様子が予測されます。

このように中国の人口動態は大きく変化します。これまでのように、世界の工場であり、世界一の大消費地として君臨し続けることができるかは分かりません。人口から見る限り、中国も成熟した社会となっていくのではないでしょうか。

(出典:DEMOGURAPHIC CHANGES

上記は中国の年代別の人口推移のグラフです。こうしてみると分かる通り、15歳~64歳の働き手として最も期待される「生産年齢人口」はピークを打ち、減少を始めています。長期の懸念として「働き手の不足」が挙げられていますが、これを見る限り、深刻な問題となりそうです。

また、少子高齢化も鮮明です。0歳~14歳は減少し、60歳、65歳、80歳以上のグラフはそれぞれ上昇しています。

これらのグラフを見ていくと、中国が今後も経済成長し続けるのか?というと、それは簡単ではないということが見て取れます。少なくとも「働き手の不足」と「人口減少による消費の絶対量の低下」は起こってくるのは間違いないでしょう。

今後の中国経済の様子は、この人口問題を抜きには語れないのではないでしょうか。経済の成長率を考えると、今後はインドとアフリカが注目されると思われます。

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