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微生物(菌)は厄介者か?(農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。今日は菌について簡単にお話したいと思います。最近は菌についての情報も増えてきており、菌の役割についての理解も深まってきているので、土耕栽培をされている方の多くは理解されていると思います。そういう意味では、今回の記事は家庭菜園や農業初心者向けの内容となります。
一般生活の中では菌はまだまだ悪者扱いにされている場合が多いですよね。
CMとかでも「除菌」「殺菌」という言葉がよく聞かれます。食品衛生などの場面では「除菌」「殺菌」というのは”正しい”のですが、全般的に菌が悪者的なイメージがあるのは少し寂しいところですね。


フマキラーCMより

地球上の生命の循環の中で考えると太陽エネルギーを使って有機物を作り出す植物は「生産者」、それらの有機物からエネルギーを得ているのが、われわれ動物である「消費者」、それに対して菌は有機物を分解して無機物に戻す役割の「分解者」となります。植物や動物の体(有機物)を分解し、自分や他の生物が再利用できる形に変えていきます。このあたりは中学生くらいの理科で習いましたよね。
野菜や雑草が根から栄養を吸収できるのも菌が分解しているからです。
菌は畑の土の中にもいれば野菜の葉や茎の表面、根などどこにでもいます。
もちろん私たち人間の皮膚の上にも、腸の中にもいて大活躍しています。最近は腸内細菌が生物に大きく影響しているということはよく知られています。
しかし一方で菌は病気は引き起こす厄介者ともなります。
例えば白菜の軟腐病にブロッコリーの黒腐病、これらの病原菌はどうして畑にはびこるのでしょうか?

〇菌の種類によって食べ物が異なる
菌には膨大な種類があり、それぞれが分解して利用できる有機物がだいたい決まっています。その中でまだ育っている野菜をエサにして、どんどん分解してしまうのが病原菌です。

畑で観察を続けるうちにわかってくるのは 病原菌が発生するのは見た目にも弱々しい野菜です。同じように育てていても元気な株もあれば弱弱しい株もあります。うまく生きられない命や死んだ命を分解し、また次の命につながる養分へ循環させているのが病原菌を含む菌の役割なのです。
つまり 悪役に見える菌にもちゃんと役割があるということですね。

農業者がやるべきことは①菌に負けない元気な株をつくること、②菌を味方につけること、です。
さきほども述べましたが、菌はどこにでもいます。病気を引き起こす菌は突然、植物に寄生して病気を引き起こすわけではなく、常日頃からそこかしこにいるのですが、植物が何某かの理由で弱り始めるとその株で増殖を始めてしまいます。人間の風邪ウィルスも同じですよね。風邪ウィルスも常に身の周りにいるのですが、人間が不摂生などにより体調が悪くなった時にのどなどで繁殖して風邪という症状をもたらせます。それと同じで植物が健康であれば、病原菌がいても病気にはなりません。
次に菌を味方につけること。菌は味方につけて野菜が元気に育つための養分を分けてもらうことです。



菌による分解が人間や作物にとって有害な場合を 「腐敗」、 有益な場合を「発酵」と呼び分けています。野菜を育てる土が「腐敗」に傾かないようにするためには、適切な環境とエサを与えなければなりません。水分が比較的少なく、酸素が豊富な環境を好む菌(好気性菌)は、炭素が多く分解に時間がかかる有機物を好み、水分が多く酸素がない環境の好む菌(嫌気性菌)は窒素が多く含まれる有機物を好む傾向にあります。
有益な作用をしてくれる菌が増殖する環境を作り上げることで、菌を味方につけて野菜が元気に育つための養分をしっかりと供給してもらうことが大切です!

糸状菌、納豆菌、酵母菌、乳酸菌、放線菌、光合成細菌など様々な菌の特性についてはまた改めて記事にしたいと思います。

植物の根


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