見出し画像

露地による有機栽培のロマン (農業)

こんにちは。農業経営サポーターの小川隆宏です。農業での野菜の栽培方法はいろいろありますが、今日は露地による有機栽培のロマンについて述べてみたいと思います。
近年、環境制御型の農業があり、こちらは様々な機械装置を使って植物の生育環境である温度・湿度・CO2濃度・光量・潅水を植物がもっとも生長するように整える栽培方法です。こちらで必要なのは「植物生理学」に関する知識です。
植物が最も成長する環境はどのような環境かを考え、光合成要素である温度・湿度・CO2濃度・光量の各要素と潅水量、液肥濃度を相互に連関させてバランスを整え、植物の生長を農業者の計画通りにコントロールすることが醍醐味です。
植物の生育を見ながら、植物の生育に必要な各要素を調整し、最適な生育状況を作り出すことで、目標収穫量を目指してコントロールしていくのは非常に楽しいです。
環境制御型の農業のロマンは植物の生育をコントロールすることにあります。そのため環境制御型の農業ではできるだけコントロール不能な要素は除き、コントロール可能な要素で植物栽培を組み立てていきます。

一方、露地による有機栽培。こちらは温度・湿度・CO2濃度・光量・潅水などはコントロールできません。野外で栽培しているのだから、天気が良ければ温度は上がるし、天気が曇りや雨ならば湿度は高くなります。CO2濃度・光量もコントロールのしようがありません。また潅水量をコントロールしようとしても雨が降ればどうしようもないです。では露地による有機栽培のロマンはどこにあるのでしょうか?

環境制御型の農業のロマンは「植物生理学」に基づいた植物の生育のコントロールにありましたが、露地で行われるような土耕栽培のロマンは植物を取り囲む「生態系」に基づいた自然そのものの理解にあると思います。

露地による有機栽培をされている方は概して「土作り」にこだわります。これは単に化学性の管理にとどまらず、微生物など土壌生物を理解し、堆肥や米ヌカなどの有機物を投入した際にどのように微生物が活躍し、土壌の状態を改善・改良して植物の生育に適したものにしていくか、、というようなものです。微生物の種類や微生物各々の働き、有機物の分解されていくプロセス、土壌内の有機物の物質変化、植物による養分の吸収プロセス、自然の中での物質循環など植物を取り囲む「生態系」を理解し、それに加え「植物生理学」をプラスして、いかに収穫量を確保するかを考えていきます。
生態系の理解をベースにしていますので、露地による有機栽培ではコントロール不能な要素だらけになります。そのため収穫量の安定的な確保という考え方から見ると、露地による有機栽培というのは非常に難しい部分が多いです。

しかし自然界における炭素や窒素の物質循環をしっかりと把握し、その物質循環に適切に沿っていく形で農業を行うので自然に無理がなく、地球と共生していく観点からは素晴らしくこの辺りが醍醐味だと思います。

どこにロマンを感じるかは人それぞれですが・・・・。

【問い合わせ】
TEL 080-3396-5399
MAIL:t.ogawa19720117@gmail.com/

【関連記事】-----------------------------------------------------------------------


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?