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本:韓国の小説「破果」読了

朝日新聞の書評で見かけた韓国の小説「破果」を読了。昨夜、読み始めて、今日一気に読み上げた。ここまで没入して読んだのは久しぶりかな。

何より主人公が私と同い年の65歳、しかも女性の殺し屋だというところに興味を持って買った。

ジェジュンが出演した映画「コードネーム:ジャッカル」も、高齢とはいえないが中年にさしかかった女性殺し屋ジャッカルに、ジェジュン扮するアイドルが命を狙われる話だった。
この映画では伝説の殺し屋ジャッカルの跡目を狙う若い殺し屋とジャッカルの死闘が繰り広げられるのだが、「破果」も伝説の殺し屋に若い殺し屋が何かとちょっかいをかけてくる展開になる。

体の衰え、気力の衰え。そろそろ引退の時期ではないかという思い。
以前は冷徹に他人と関わらなかったのに、犬を拾ってきて飼い始めたり、仕事中にいきずりの老人を助けて失敗したり、若い男性に密かに思いを寄せたり、変わっていく自分に自分自身がとまどう。

そういう描写が身につまされる。

しかし、伊達に伝説ではなく、複数の若い男性殺し屋を相手にしてももろともしない。
老婆だとあなどる男たちをなぎ倒すのは爽快感がある。
桐野 夏生の「OUT」を読んだときのような。


作者のク・ビョンモは1976年生まれの40代。年をとることの描き方が生々しい。

訳者のあとがきで紹介されたク・ビョンモの言葉「高齢の男性と若い女性の関係を扱う作品はとても多いのに、どうして高齢の女性と若い男性となると、大部分が母子関係的な、ヒューマンドラマ的なものになってしまうのか」に激しく同意!

韓国のネット上では「映像作品にしたら誰を殺し屋役にするか」と、定期的に話題に上がるという。映画化されるといいな。

Youtubeで見つけたオーディオブックサンプル。冒頭の朗読。

インタビュー番組。

「ク·ビョンモ」ワールドに入るのに良い本は何ですか? [本を読んでアウト、 オウンの仲良く] - YouTube。




次はキンドルで買った翻訳者のエッセイ読もうかな~。

翻訳家は本のタイトルに不満がいっぱい?――『ひとりだから楽しい仕事 日本と韓国、ふたつの言語を生きる翻訳家の生活』|じんぶん堂


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