見出し画像

女子サッカー選手の選択肢の少なさについて

#国際女性デー ということもあり、最近強く感じていた「女子サッカー選手の選択肢」について自分の経験に基づいた話し&意見を述べられたらと思っています。
ここでの男女は、男子チームリーグ・女子チームのリーグにそれぞれ登録されている意味として綴ります。

8年間、男子の中でサッカーをしてきて感じたこと

小学6年生の時の写真

小学5年生の時に入団した地元の少年団「星月SC」から始まったサッカー人生。
周りよりも遅いスタートだったため、当時は毎日トレシューを履いては放課後ボールを蹴っている小学生時代でした。

当時はベリーショートだったため試合会場の女子トイレに行った際、入ってきた相手チームの引率のお母さんにビックリした顔をされ、外のトイレの表札を見に行かれた時のことは今でも鮮明に覚えています。男の子に間違えられることは日常茶飯事でした。
また女子と気づかれたらそれはそれで相手チームに攻撃的な言葉をかけられたり、舐められたり(自意識過剰だったかもしれないけれど…)したことは数えきれないほどありました。
当時は、ただ「女だから」と舐められるのが悔しく「絶対に見返してやる」と思ってシュートや足のスピード、体の強さで負けないように練習していました。(根底にある想いは、サッカーをやらせてくれた祖母を喜ばせたかったからだけれど。)

小学校卒業後、女子のクラブチームに半年ほど通いましたが、帰りが23時を超えてしまうことに家族が反対し、クラブを辞めて、通っていた中学校の男子サッカー部に入ることになりました。その時は(帰りが遅くて家族に反対されたことに)「仕方がないか」と感じていましたが、今思うと、いかに女子サッカーをする選手の“チームを選ぶ選択肢が少ないか”と、感じさせられます。(後ほど選択肢について触れます)

そして体つきが女性に近づいてくると走って胸が揺れるのが嫌であえて隠すように猫背になったり、とプレーをするのにも恥ずかしさを感じていたことを覚えています。(男子の中に混じってプレーする選手の中には、このような想いをしている人も少なくないと思います。)

また、自分は覚えていなかったのですがこないだ友人に言われてびっくりしたのは、生理痛でお腹や腰を痛めたときにチームメイトに「俺もお腹痛い〜生理だ〜笑」といじられていたことです。
きっと当時は笑って誤魔化していた気がするけど、今それを言われたら一発拳をいれたいところです。

私は、今でも「サッカーを通じてあらゆる人と“繋がった”と感じる瞬間がとても好き」でボールを追いかけています。
当時中学2年生、身長や足のスピードも急激に抜かれるようになり、思春期に突入したこともあってなかなかチームメイトとコミュニケーションによる意思疎通ができず、サッカーをしている感覚よりも、ただボールを蹴っている日々のような感覚でした。

そして中学2年生の終わり〜高校1年の終わりまで腰を怪我していた関係で以前のようにプレーすることができなかった私は、当時見てもらっていた鍼灸師の方が鎌倉でスクールをしていたこともあり、フットサルコートで週2〜3回ほど小学生〜社会人の男子に混じって練習をしていました。

大学生になってから女子チームに入って思うのは、もし中高時代に自分の家の近くに女子サッカーができる場所があったら「あんな想いをしていなかったのかもしれない」ということです。
(「あんな想い」が悔しさを乗り越える力になり、今この文章を綴ることにも繋がったから自分自身は後悔していないけれど。同じような想いをしている人がいたら少しでも減らしたい。エゴかもしれないけれど。)

女子サッカー界に来て感じた「女子サッカー選手の選択肢の少なさについて」

江の島FCでの試合


大学生になったタイミングで、隣の藤沢市から「なでしこリーグを目指す」チームができることを聞き、加入を決めました。(中高と女子サッカー界で頑張っている友人を横目に見て、また自分もチームでサッカーをしたいと望んでいた気持ちが強かったからです。地元でできることも最大のポイントでした)
集まってきたメンバーは、元なでしこリーグの選手や世代別日本代表を経験している人、全国トップレベルのカテゴリーでプレーしてきた人が多く、最初は、自分が過去に積み上げてきたサッカー人生に自信がない中でのスタートでした。
しかし何より、これまでではあり得なかったような会話があったり、行き帰りに熱くサッカーについて語り合うことができるようになったことは、私にとって大きな変化であり、ありがたい環境でした。
特に、体つきが女性として生まれた共通点があることから生理の悩みを打ち明けられたり、男子に混じっていた時には感じられなかった“本気で意見を伝え合う”中でプレーできたことがすごく嬉しかったです。
また誰よりも下手な自分にアドバイスを伝え続けてくれた先輩方に感謝の気持ちでいっぱいです。「伸び代がある」と言ってくれた周りの言葉を信じて、しつこいくらいにアドバイスを聞きに行く習慣がついたこともいい経験になりました。

しかし、目次にもある「女子サッカー選手の選択肢の少なさ」には衝撃を受けました。
今まで男子の中に混じってサッカーをしていた時は当たり前のように練習場があり、ボールがあり、人がいる環境でしたが、以下の写真を見ても分かるように、1種〜4種までが登録されている男子サッカーチームが23,937であるのに対し、女子はたったの1,321であることは、明らかなチーム数の違いを表しています。

JFAが提供するサッカーチーム登録数より

実際、シーズンが終わり、チーム内でそれぞれのライフステージによってどこのサッカーチームに行くかが話し合われる時期になった時には、
「サッカーしたいけど仕事と両立するにはあまりにもハードだから続けるのが難しい」と言っていた選手もいて、その言葉には強く寂しさを感じました。そしてそれが「甘え」と捉えられてしまうのなら尚更悲しい現実です。

自分自身も、2時間弱かけて大学に通い、1時間半かけて練習に行き、毎回22時半ごろに家に帰る生活を平日3日行っていました。
「チームメイトも同じ環境で頑張っているんだから。自分で選んだことだからやり抜く」と決めていましたが、ふと考えてみると「そもそも(男子サッカー選手に比べて)女子サッカーチーム数が少なく、自分のライフスタイルに合わせて選べる選択肢が少なくないか?」と思うようになりました。

周りで男子サッカーチームに所属している人を見ていると、
練習頻度、強度、自宅からの場所、金額などの面において、学生、社会人、その他ほかの活動とのバランスなどのライフステージに合わせて選択できている人が多いような気がしました。(自分の周りがそうであっただけで実際は男子サッカーチームに所属している人でも選択肢が少ない状況もあるかもしれませんが…。)

プロを目指す人もいれば、週末にサッカーを楽しみたい人、アマチュアサッカーだけれど上を目指していきたい人など、人の数だけそれぞれのサッカーに対する想いには種類があると思います。その中で同じような想いを持った仲間が、それぞれのチームの目標に向かって練習する競技において、女子サッカーをする人が選べる機会の少なさにはとても課題感を感じています。

小学生から中学生になるとき。
中学生から高校生になるとき。
高校生から大学生になるとき。または社会人になるとき。

さまざまなフェーズで「本当は続けたいのに」と想いを持ちながら、思うようにサッカーができない人を少しでも減らしたいと思います。逆に言えば、「自分の願う形でサッカーをしたい」と思う人が、その選択を選べるような環境を作りたい。

まだまだ自分にできることは大きくないけれど、少しずつでもいいと思うので地元の女子サッカーをしている後輩に声をかけたり、繋がりある選手や指導者をする人などと協力しながら、「思うままにサッカーができる」女子サッカー文化を日本につくっていけたらと思います。コツコツと。

拙い文章でしたが、読んでくださってありがとうございました!

#国際女性デ
#WID
#女子サッカー
#サッカー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?