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【短編小説】保護動物

今日もまた、一匹この家に来た
最近、捨て猫や捨て犬と言った、ペットを飼えないからと捨てる人間がいるらしい
なぜ捨てるのか
そして、なぜ飼おうとするのか
飼えないのならば始めから手を出さなければ良いものを…
そう考える毎日だ
今日来た子は、ウサギ…か?
ネザーランド・ドワーフと呼ばれる種に見えるが、ウサギも雑種が増えているから断定は出来ない
あの子はどの檻に入れられるのだろうか
退屈でつまらなそうで、私は決して入りたいとは思わないな
あぁ、あの檻か
あの檻はたしか、少し前まで子猫がいなかっただろうか
“譲渡会”とやらに連れて行かれて以降、帰ってくる気配も何も無く、見なくなった
新しい飼い主が見つかったならば幸いだ
今日は誰も譲渡会に行かないのだろうか
ここはいつも狭い
どの動物も息苦しそうにいつも丸まっている
保護とは名ばかりの、家畜のように見える時もある
そういえば、今日ウサギを連れてきた人間は見ない顔だった
いつもの人間になにかあったのだろうか
私が考えても無意味だとわかっているが、持ち主のことは考えてしまう
雰囲気も、仕草も、さっきの人間はなんだか強ばっているように見えた
照明が暗くなっていく
夜になったのか

 ギャンギャン!!
突然の大きな鳴き声に、思わず首を大きく回した
一体なんなんだ
あれは、ダルメシアンの成犬ではないか?
どうしたのだ?
「おら!大人しくしろ!」
聞き慣れない怒鳴り声に、犬は驚き猫は威嚇し、さらに鳥やトカゲまで、声の出せる動物は全て叫んだ
声の出せない動物は、檻の中で激しく暴れ回った
なんだ、どうしたんだ
誰か説明してくれ
訳が分からず首を色んな方向に回す
すると、人間がいつもやってくる扉が大きな音を立てて開かれ、知らない人間は奇妙な堅苦しそうな服を着た人間に連れ去られて行った
私は、これを最後に眠りに落ちた…

警察A「課長、この映像見てください!」
課長「これは、今までの虐待の映像か…」
警察B「この映像に映っている人物と、今回捕らえた犯人に接点があるか、今調べている最中です」
課長「あぁ、頼んだぞ」

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