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【潜在性二分脊椎の記録②】生後6週間、初めてのMRIと大学病院受診。

※記事には医療に関する内容が含まれますが、素人による記事ですのであくまで参考程度に読んでいただけますと幸いです。

娘の退院、そして新生児との初めての生活

黄疸の値が高く、入院が延長となった娘。
初めての産後、かつ初めての海外での出産ということもあり、かなり心配でしたが、私が退院した2日後には何とか娘も元気に退院しました。

今回は初めての出産であり、かつ里帰りが難しい状況だったため、最初の1か月は産褥ナニーさんを雇い、子育てや家事のサポートをお願いしました(※産褥ナニーさんに関しては後日紹介します)。
ナニーさんが料理や買い物、簡単な掃除、夜間の赤ちゃんのお世話まで手伝ってくれたので、夜も十分に休むことができ、昼間は赤ちゃんのお世話に集中できるありがたい1か月でした。産後の疲れはありましたが、妊娠中の重い体や不眠から解放され、ゆっくり休養を取ることができ、今思えば天国のような生活でした。

ただし、ナニーさんには娘の病気のことは説明していなかったので、沐浴のサポートの際に背中のくぼみに気づかれるか心配でした。もし気づかれた場合、どのように説明しようかと少し不安になったことを覚えています

娘がMRIを受けるまでは、病気に関連する用語を調べては障害などネガティブな情報に不安を感じ、普通に生活している人の情報を探し求めるなど、不安定な日々を過ごしていました。

生後6週間、初めてのMRI

そうこうしているうちに、ナニーさんが母国に帰り、親子水入らずの生活が始まりました。ナニーさんがいる間に育児のおおよその流れはマスターしたこともあり、あまりにも小さくか弱く見える娘に、突然死んだりしないかなどと不安になりながらも、なんとか毎日を過ごしていました。

そして生後6週間を迎え、いよいよMRIを受けることになりました。当日は3時間前から絶食という指示があり、朝6時半にミルクをあげた後、準備をして病院へ。病院到着後に手続きを済ませ、すぐに病院スタッフに娘を預け、夫と私は待合室で時折聞こえる娘の泣き声に胸を痛めながら、ただ時が過ぎるのを待ちました

約3時間弱が経った後、ほとんど眠っていた娘を抱えた病院スタッフの方がMRIの部屋から出てきました。MRIの部屋が寒かったからなのか、冷たくなった娘に触れた時、可哀相な気持ちで胸がいっぱいになりました。空腹すぎたのか、病院スタッフの方の腕をおっぱいだと思って吸おうとしていたのを見て、スタッフの方が"So cute!"と連呼していたのに少しほっこり。冷たくなった娘に毛布で包み抱きしめて温めつつ、「頑張ったね!」と何度も声をかけました。

MRIとその後。

MRIが終わって娘の体温が元に戻るまで温めた後、帰宅しました。日本では乳児に睡眠薬をできる限り使わないようにしてMRIを撮るようですが、当地では鎮静するのに睡眠薬を普通に使用するとのこと。娘もご多分に漏れず睡眠薬を注射され、しばらく吐き戻しやすくなるとのことで、当日は少量ずつ分けてミルクを飲ませるよう助言を受けました。幸い、吐くことはなかったのですが、絶食で空腹な娘には少量のミルクでは足りなかったようでギャン泣きで少々大変だったのを覚えています。

今回は、小児科のクリニックの担当医から病気の懸念があるという診断を受け、出産した病院にてMRIを受診。MRI画像を見て出産した病院の放射線科医が診断を下した後、大学病院の脳神経外科の専門医の紹介を受けるという流れでした。放射線科医が多忙であったためなかなか返答が得られずにやきもきしましたが、MRI撮影から2週間後に大学病院の専門医のもとを訪れたのでした。

初めての大学病院受診

担当の専門医は自分と同世代の印象。
名刺を拝見すると、どうやら若いながらも診療科のトップの方のよう。物腰も柔らかで、説明はわかりやすく、いい先生に巡り合えたのかなと少し安堵したのを覚えています。

今回、脊椎のMRIを撮影。
二分脊椎の場合、脊髄が係留して引っ張られることで小脳等が脊髄側に落ち込むことがあるようですが、娘の場合はそういった所見は認められず、脳は異常なしという診断結果に少し安心。脊椎に関しては、脊椎の骨欠損部を介して皮下脂肪組織と連続する硬膜内脂肪腫があり、脂肪腫から皮下組織に伸びる洞管がある、いわゆる脊髄(円錐部)脂肪腫の一種のよう。脂肪腫に引っ張られ、脊髄の低位が見られるとのこと。

現時点では目立った症状は発現していないが、将来的にざっくり30-40%の確率で足首から先が曲がったり、排尿・排便の機能障害が見られる可能性があるとの説明。また、胴管を覆う皮膚が薄いので、万が一破れた場合は髄液が露出し感染症の懸念があるとのこと。おおよそ事前に検索していた内容の範疇だったため、大きな驚きはなかったのですが、具体的な確率が提示されたことにより現実味が増したように感じたのでした

今後の治療方針として、担当医からは3つの選択肢の提示がありました。
1つ目は予防手術として、脊髄に通じる胴管を閉じ、脂肪腫をできるだけ取り除く手術を実施すること。
2つ目は同じく予防手術ですが、脊髄に通じる胴管のみを閉じ、脂肪腫はそのまま置いておいて経過観察を行い、症状の発現および発現の可能性が見られた場合に再度手術すること。
3つ目は、経過観察で様子を見るということ。
手術をしない選択肢もあるが、今回胴管があり感染症の懸念もあるため、担当医からは1か2をおすすめするという話でした。また、手術後に脊髄の再係留が起こり障害が出る確率は約10%程度とのこと。
手術後も再係留や症状の発現を確認するため、少なくとも成長期が終わるまでは経過観察が必要とのことでした。

その場で夫と選択肢について話し合いましたが、最初の選択肢で意見が一致したため、そのまま手術をするようお願いしました。もし意見が割れていたら結論を出すのが大変だっただろうなと思うと、大事なところで意見が一致したのは幸運だったなと、今振り返れば思います。
手術は全身麻酔に耐えうる約6か月以降の月齢で実施可能とのこと。リスクとしては麻酔や手術時に神経に触れることによる障害および、髄液の流出の懸念はあるものの、手術自体はそこまで珍しくないもので(当地だと2-3か月に1回)、神経の反応を見ながら神経に触れない範囲でできる限りの脂肪種を除去するため安心してほしいと説明を受けました。

ちなみに、シンガポール人は比較的ブラックジョークが好きだと日々感じているのですが、費用に関しての説明で、”おそらくあなたが出産した病院(費用が高いことで有名)の半分以下だよ!”と笑いながらジョークをかまされたのが、お金にシビアなシンガポールらしい、なかなか印象的な思い出となりました。私たち夫婦はシンガポール在住歴が比較的長めなので、これはこちらの文化だと理解できるけど、普通の日本人なら深刻な場面で不謹慎だって絶対クレーム出るぞ!と心の中でつぶやいたのでした。

麻酔医が多忙で事前の確保が必要なため、おおよそ6か月を迎える約4か月半後にひとまず手術の予約を入れ、病気の全容が見えた安堵感と、こんなに小さなわが娘が手術を受けるのかという不安な気持ちが入り混じった複雑な気持ちで病院を後にしたのでした。






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