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ヘルスで働いていた話

私、ちょうどコロナが収束してきた時期に入店したの。

それで勿論、感染症対策のことも気になったんだけど…

それより『経営は大丈夫なのかしら?』って、思ったんだよね。

そしたら店長、自嘲気味に言ったの。

「こういう仕事はなくなりませんから(笑)」って。

『どういう意味なんだろ?』って私、考えを巡らせたの。

そしたら『さくらん』って土屋アンナさん主演の映画を思い出したんだ。

器量が良い田舎娘が吉原に身売りされて、そこから花魁道中練り歩くまでのサクセスストーリー。

あんな昔から風俗って社会に根づいてるんだね〜

だから、世の中って実は影で女性が物凄く支えていると思ってるの!

ヘルスやソープの世界って「日陰産業」って呼ばれてる。

日の当たらない世界なの。

誰にも褒められない。

むしろ蔑まれる。

でも、そういう業界にも「プロ」っているの!

だから、本当に人の才能なんて様々だなって私は思う!!

そして色々と仕事をやってみた中で、一番ヘルスが向いていたと思う。マジで。

私は1か月だけ、銀座の会員制クラブでホステスのお仕事もさせてもらったんだけど、全然世界が違うの!

ホステス時代の話もしたいな〜

でも、今日はヘルスを語りたい!!

ホステスやキャバ嬢って、アクセサリーみたいなものなの。

だからめちゃめちゃ綺麗な人が好まれる。

そうやって同伴したりするの。

でも、風俗は違うんだよね。

お客様(男性)の求めているものが違うの。

風俗を利用するお客様って、大体みなさん『癒し』を求めて来られる。

風俗の女性たちって『体』と『心』でお客様を癒やしてあげてるの。

勿論、風俗でも容姿が整っている方が好まれる。

だけど、結構内面もよく見ていらっしゃるんだよね〜

これは自慢になるのかな?(笑)

店長から「あなたは売れる!!」って、言ってもらったの(笑)

みっちり半日働けば1日5万円くらいもらえる。

だから夜職されてる方って、金銭感覚狂っちゃう方が多いんだよね。

特に若い方なんかは。

勿論、やりたくて選んだ仕事じゃない。

美容整形のローンとか、その他諸々の利息が膨れ上がって、もうヘルスの道しかなかったの。

『バ〜ニラッ!バニラ!高収入〜!!』ってね。

都心で宣伝トラックよく走ってるよね〜

『俺の風』も聞くよね。

めちゃうるさい!!

私も「バニラ」で探して見つけたの。

ホント私、色んな仕事「エイヤッ!」で飛び込んだけど、ヘルスだけは「おらぁぁあ!っ!」て、ヤケクソで飛び込んだ(笑)

お客さんから1度だけ言われたことがある。

多分フラッと入った一見さん。

『ねぇ〜、こんなんでお金稼げるなんて、正直ラクだと思っているでしょ〜?』

なんか、頭の芯からスゥーーッって冷えたんだよね。その言葉聞いて。

心が無感動になるのがわかった。

『ちひろさん』って漫画、皆さんはご存知?

私、鬱になって会社を休職中に、お金もないのにその漫画Kindleで大人買いしたの。

そして前作は『ちひろ』って言う漫画で上下巻出てる。

『ファッションヘルス・ぷちブル』ってお店で、ちひろさん(源氏名)って女性が働いてるんだけど、割りとリアル。

ちなみに『ちひろさん』の方は、風俗を辞めて田舎のお弁当屋さんでパートしてるお話。

で、なんか風変わりなちひろさんは町の人気者なの。

風俗の話がメインで描かれているのは『ちひろ』

『ちひろ』では、嬢同士の繋がりが描かれているんだけど、多分あの部分は話を膨らませるためのフィクションっぽいな〜って思うんだよね。

ちなみに私のお店では交流なかった。

店内BGMでUKロックがガンガンに流されてて、個室でお客さんが来るまで待機してる。

働く時、店長からこんな風にアドバイスされた。

「お店で働く女性は、ディズニーランドのキャストさんと一緒です。私たちの仕事は、いらっしゃるお客様に夢を見せています。キャストになりきるんです。女優さんみたいに、別人になりきるんです」

そう言えば、作中でも心のスイッチをOFFにする描写があったな。

風俗って、性病のリスクとかも勿論あるんだけど、それよりも心を一番消耗するんだ。

待ってる間、女性たちは自前の衣装に着替えて、身なりとお部屋を整える。

そうして『仕事』として、お客様に代わる代わる『奉仕』するんだ。

まるで胸に風穴が空いたようになる。

最初は小さい穴なんだ。

だから、少しの期間なら頑張れるし、稼げる。

だけど、働けば働くほど、その風穴がどんどん広がっていくように私は感じたんだ。

胸の中がヒューヒューするようだった。

お客様に与えているのは、肉体よりも精神的なものだったんだ。

だから夜職をされてる方たちって、ほとんどの人が精神を病んじゃう。

自己が抉られるんだ。

自分がなくなってしまうような感じになる。

欲望を洗い流す為、トイレットペーパーのようにひたすら消費され続けるんだ。

正常な人間にはとても勤まらない。

私は正社員の仕事を続けながら会社に内緒で、休日にヘルスの仕事をしていた。

他のバイトも掛け持ちしながら。

あの時私は実感した。

人間、お金のために働くようになったら終わりだ。

お金の奴隷になってしまう。

人生の大事な時間が辛い労働に全て捧げられてしまう。

それは堪らなく辛い。

摩耗してしまう。

あと、嬢たちが見せた夢を真に受けてしまうお客様が稀にいらっしゃる。

あれは本当に困る。

だって、女性たちはあくまで『お金』の為に、わざわざこんなに辛い仕事をしているんだ。

本気になってしまってデートを申し込んだり、連絡先の交換を迫ったり、本名などの個人情報を根掘り葉掘り聞いてきたりするお客様もいる。

ちなみにそういった行為はお店で禁止されている。

本当に一瞬の交わりの中で見せる刹那的な夢なんだ。

夢の世界を現実まで引っ張ってくることは出来ない。

(お客様と相思相愛になるなら話は別だけど。
確率的に滅多にない思う)

だから高い料金なんだ。

水商売というのは、女性その人自身が商品なんだ。

それだけの価値があるからなんだと私は思っている。

ちなみにヘルスとソープは全く違う。

ようは『本番』があるか、ないか。

ヘルスは本番がない。

たまに本番を強要する方がいらっしゃるけど、それは違法なの。

絶対にルールというものを犯されてはならない。

あくまで主導権は嬢にあるんだ。

私はヘルスの仕事を経験してみて、社会で最も崇高な仕事だと思った。

誰にも称賛されず、職業を明かせず、顧みられることもない。

けれどもこの世に男女が存在している限り、絶対になくならない仕事なんだ。

だって、人間の3大欲求なのだから。

ちなみに私自身は女性だからか、あまり異性に対してそういった情動を持たない。

自分で慰めようとも思わない。

でも、ほぼ全ての人類は助平だと私は思ってる。

じゃないと絶滅してしまう。

皆さんは都心のレンタルルームをご存知?

あの薄汚くて、公衆トイレの臭いが漂う雑居ビル。

あの建物の前で、若くて可愛らしい女性がポツンと立ってる。

そこにYシャツにスラックス姿の、顔をテカテカさせてでっぷり太ったサラリーマン風のハゲおやじがやってくるんだ。

そうしてどちらからともなく、ぎこちなく“ギュッ”と手を繋ぎ合い、その薄汚いレンタルルームがある雑居ビルの中へ入っていく。

こういう、お客様と外で待ち合わせをするのは出張型のヘルスの方たちだ。

(ヘルスには出張型と店舗型がある)

私は、その不自然に手を繋いだ男女2人の後ろ姿が消えていくのを見て、胸がクチャッとなった。

一体、どんな事情があって働いているのだろう。

私には想像も出来ないことだけど、決して心明るいものではないことだけは分かる。

私なんてほんの数か月働いた程度の人間だから、完全に「共感」できるとも「理解」できるとも言えないけれども…

同じ女性として、『幸せになってもらいたいなあ』と心から思っている。

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