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何故スウェーデン人は5週間も夏休みを取れるのか?

北欧が日本で天国のように思われている要因のひとつに、ワークライフバランスがとんでもなく良いことがある。日本人からしたら、どうやって経済活動が回っているのか不思議なレベルで休めるのだ。
私の会社を例にあげて考えてみよう。


6-8月の間、金曜は15:00に終業。

これには北欧特有の事情がある。この3ヶ月以外は、白夜で真っ暗な中で生きているので、夏の間はできるだけ太陽光を浴びなければ!と国民全体が生存本能レベルで思っているため、晴れていると仕事にならないのだ。みんな晴れているとソワソワしてしまう。コーヒー飲みに、ランチに、時間を見つけては就業時間でも太陽に導かれるように、外に出ていく。そのため、金曜に晴れていたら、もう我慢ができない。というわけで、夏の間、金曜は早く終る。何故なら早く終わらなくても、結局みんな帰ってしまうから。


夏休みは最低2週間。

スウェーデンは6月から夏が始まり、7月ピークを迎え、8月になると寒い。なので、ピークである7月後半、私のオフィスでは2週間完全にオフィスが閉まる。そして2週間後に出社してきても、人はいない。上の人になればなるほど、4−5週間はがっつりバケーションに行くため、2週間で戻ってきてしまうと、上司はまだバケーション中だ。そんな長期間どこに行っているのかと言うと、みんなサマーハウスを持っているし、イタリアなど南ヨーロッパも日本でいう国内旅行くらいの距離とコストで行けてしまう。なので、みんなとりあえず太陽と水辺のあるところに行く。その間、ビジネスは完全にストップだ。しかし、このグローバル化の時代、グローバル案件でアメリカなど他国らとのやりとりがあるプロジェクトで、スウェーデンオフィスはびっくりされる存在だ。何故なら、言うても他の国はここまでがっつりバケーションを取らない。または何やかんや言っても、バケーション中に働いている担当者がいる。スウェーデンの場合は、ガチでみんなバケーションに行ってしまう。そして、人のバケーションを邪魔するほど野暮なことはないとされる。なので、電話やメールで追っかけるのは不可能。自分も色んな心配は置いといて、バケーションに入ってしまおう。ということだ。


私が考えるスウェーデンの会社が定時に終わる理由

ただただ、社会に出ている商品数、サービスの数が圧倒的に少ないからだと思う。日本人のやり方が悪いのではなくて、社会がそう言う構造なのだとしか言いようがない。

シャンプーを例に考えてみよう。ドラッグストアに行けば、日本には同じ価格帯のシャンプーが所狭しと並べてある。効能や髪質、仕上がりに到るまで事細かに分かれていて、もう見てるだけで迷うほどだ。そしてそういった商品のパッケージ、コミュニケーションが半期に一度は見直されるし、店頭では販促活動の嵐だ。パッケージにはキラキラのステッカーが貼ってある。シャンプーは大型ドラッグストア、スーパー、コンビニと色々なところに売っているし、CMには芸能人は出てるし、そのCMにはタイアップ曲がついてるだろう。

それに比べて、スウェーデンのドラックストアのシャンプー棚はびっくりするほどスカスカだし、パッケージはシンプルだし、そして、その商品はずっーと同じパッケージだ。ドラッグストアは2つのメインドラッグストアチェーンがあるだけ。テレビを見ていてもシャンプーのCMは、大手の最も代表的な商品が同じCM素材を1年以上は流している。顔が知られている芸能人はキャストされているけど、非常にシンプルな作りのCMだ。日本で作るシャンプーのCMより2000万は安いと思う。すごいヘアショットやミクロの浸透率効能イメージなどあまり入らない。

多くの商品、サービスがそんな感じなので、そもそも広告代理店で言うところのクライアント側は、日本に比べてまったりしたスピードだし、定時で帰ってしまう。そうすれば、後に続く広告代理店、制作会社、メディア会社も定時以降に連絡が来ることはないので、定時に帰れてしまう。まさに定時の連鎖。

そんなこんなで、スウェーデンのワークライフバランスは成り立っているのだけれど、驚くことにスウェーデンにおける燃え尽き症候群の割合は非常に高い。これは、スウェーデンの競争を廃した教育を受けた結果、社会におけるストレス耐性が北米やアジアに比べてスウェーデン人は低いのではないかと思う。カナダ人とこの話題になって、彼女も同じように感じていた。そのため、若い時に海外に出ていっても、スウェーデンの生活の方が良いからということで、戻って来るミッドキャリアの人は非常に多い。

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