「あなたがそれでいいなら」。
『あなたのことはそれほど』という漫画がありますが、意図せず似たようなタイトルに。
漫画とも、特に関係のない話です。
「あなたがそれでいいなら」っていう台詞、去年はよく使った。
否、頻度はここまで高くないけれど、ただ耳についただけなのかもしれない。
「わたし、喋るときめっちゃ“わたしは〜”って言うな……」と自覚したのと同じくらい「あなたがそれでいいなら」って、ことあるごとに、言っていたな、と。
助けには行けるけれど、あなたの人生に取って替われないから、あなたの人生はあなたが生きてくれ、という気持ちを伝えたいときに、よく発言していた。
どんなクオリティであっても、どんな未来であっても、「あなたがそれでいいなら」、わたしは何も言わない。言えない。何かを提案するなんておこがましい。
あなたが納得して、あなたが選んで、しあわせなら、それでいい。
別に上から言っているわけでも、突き放しているわけでもない。
だって、わたしが横槍を入れたところで、選ぶのは、「あなた」なのだもの。
「あなたがそれでいいなら」。
去年後半からずっと、この台詞、そっくりそのまま自分へ放ちつづけた。
「わたしはわたしが今後、そうなってもいいなら」。
「わたしの未来が、それでいいなら」。
「それ“で”いい」と言う時点で、じゃっかん、後ろ向きだ。
「いい塩梅」というニュアンスで「それでいい」という表現もあるけれど、この場合はちと違う。
強く強く、なくちゃいけない。
とても大変なことだ、心の底に耳をすますのは。
勇気がいることだ、「あなたはそれでいいなら」と去って行く自分に、「いや違う」と「本当はそれじゃ嫌だ」と立ち向かうのは。
どうなってもわたしは構わないけれど、二の足踏んでいるのを見て見ぬ振りして不安に打ち勝てずに言い訳ばかり上手になって白とか黒とかグレーとかどれでもいいけど「やりたくない」ことすら決められず主張すら曖昧で自分の人生を持て余して試合放棄ですか心の声はお口チャックでいい子ちゃんしてるけどわたしがしたかったことってなりたかったすがたって自分の声すら聞き取れない自分の手足すら自由に動かせない歳ばっかり食うがらんどうのホモ・サピエンスでしたっけ???
「あなたがそれでいいなら」。
「わたしがそれでいいなら」。
いいわけないでしょ。
いいはず、ないよ。
身の程知らずでも、目をそらすな。耳を塞ぐな。
自分を自分の味方につけないと、生きたいようには生きていけないのよ。
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