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ただの日記「訪問先で起きたこと」

最近、退職までの出社日をカウンドダウンしてる。
カウンドダウンするごとに運が良くなる!
と謎の暗示をかけているせいか、最近ずっと機嫌が良くって自分でも驚くほどハッピー野郎になっている。

今日は企業訪問をした先がちょっと田舎でテンションが上がり、”この先行き止まり”と書いてある電信柱を無視して細い道に入った。

脇に小さいお地蔵さんがいて、綺麗な花がお供えされてた。ふふ、可愛いわね、なんて思いながら半ばステップを踏むように進んだ。

ちょろちょろ流れる小川の音に気分を良くしていたのも束の間、”水=霊が集まる場所”と要らぬ脳内変換をしてしまい、急に怖いモードに突入。
そもそも行き止まりの奥って大丈夫か?と、ついさっき道の脇にあった小さいお地蔵さんが妙に不気味に見えてきた。

とはいえ、あかんモードに入ったことを認めたくない私。

不思議の国を冒険するモードに切り替えようと、とりあえず少しでもポップな要素のある景色を探そうと思った瞬間、くすんだ朱色を右目の端に捉えた。

なんか、嫌な予感はした。

道の脇に斜めに不安定に小さな鳥居があった。
道の脇?というか森の中?なのか、あれ?これどうなってんの?という場所にグシャッて鳥居があった。
その奥に何があるのか、そもそもこの鳥居はどこにどう立っているのか、通れる道はあるのか?
奇妙すぎたけど、近くに行って確認する勇気は無かった。

ゾワっと背中が寒くなった。
私の無駄に優秀な想像力によって、頭の中のチャンネルは既に、「不思議の国冒険物語」から「ほん怖」に切り替わっていた。

グシャッと奇妙な空間に、森の中?に佇む鳥居はもうこれ以上見れない。見たらやばい、私はついにあっち側の世界を知ってしまうかもしれない!!と焦っていた。
とりあえず身体の向きを変えようと、鳥居から更に右側に身体を向けてぐるっと反転しながら気づいた。

右側、私の真横になんか墓石みたいなのがいくつかあった。
森の中?みたいなよく分からん空間にグシャッと苔だらけの墓石みたいなの…。

怖すぎるわ!
ええ、はぁ???
なにこれ。

走ったらすぐにあの電柱があった。
電柱から数メートルしか進んでなかった。

霊感も何もないけど、いつもいつか見えてしまうと思ってるからめちゃくちゃ怖かった。
そのいつかがいつ来るかは分からないけど、何故か必ず来ると思ってる。

でもとりあえず、今日は来なかった。

(そもそも鳥居や墓石みたいなのが物理的にどういう状態でそこにあったのかが結構気になるけど、怖すぎて何も具体的に確認しないままただその場から逃げたので、文章にするともっとカオスになってて、読んでる人混乱させてると思う、ごめんなさい。)

たった数メートルを進んだだけで、心のHPがかなり減った。

ほん怖モードがとれなくて、とりあえず早く人と会いたい!と思ってたら、散歩中のおじいちゃんに道を聞かれて、そのおじいちゃんの存在が心強くて嬉しくなって、初めて来た土地なのに道案内した。

そのおじいちゃんは老人ホームを探してるらしいんだけど、何を頼りにここに来たのか不思議なくらいなんの情報もない。

確かここら辺だった気がする…、うーん違ったっけ?とか言ってて、とりあえず近くの老人ホームを探したけど、そんな近くになかった。

しかもおじいちゃんは山に向かって歩いて来ていたけど、GoogleMAPによると山側には老人ホームはない。

山を降りた駅の向こう側のちょっと平地の方に老人ホームがある。
その老人ホームの名前を読み上げたけど、あんまりしっくり来ていないっぽい。

そもそもこの駅の近くなのか?と聞いたけど、うーん、もう90やから、頭もボケてきたわぁ。とか言っててびっくりした。めちゃくちゃ姿勢が良いし、私がハァハァ言いながら登った30°くらい傾斜のある坂道を息ひとつ変えずに登ってきてたから。

ええ?!90歳?!見えない、元気ですね!
というより坂!すごい!と出てくるままにひとりで喋ってしまった。

何せ歩くのが昔から好きやから〜とか言ってた。
とりあえずおじいちゃんはただの記憶を頼りに、なんとなく老子ホームを探しているようだった。

とりあえず平地の方にある老人ホームを訪ねてみるよ〜って言ってたから、一緒にいこうかと提案したけど、断られた。

お姉ちゃん電車乗り〜!忙しいやろ?って言うので、忙しくもないしなんならフラフラ寄り道したかったけど大人しく電車に乗ることにした。

おじいちゃん、地図も無しにたどり着けるかな?大丈夫かな?とか思ったけど、多分おじいちゃんの毎日はこんな感じなんだろうし、私なんかが心配することもない、だってもう90年あんな感じで生きてきた人なんだし。

私なんかが心配するなんて失礼だなと反省した。
多分おじいちゃんは大丈夫だし、どちらかというと先の見えない私の人生の方が大丈夫か?という感じだと思う。

おじいちゃんの世界は時間の概念があまりなくて、ゆっくりで、今日たどり着けなければまた今度って感じなんだろうし、今日は疲れたら帰るんだろうなって思った。

ちょっと羨ましくなった。時間に縛られずに生きるってどんなだろう。まさしく私が求めてる生き方だ。おじいちゃん、先輩だ…。
なんて思いながらピンと伸びた小さな背中を見送った。

会社を辞めると決まった瞬間から、退職までの間が活きいきしすぎてる。そしていつも会社に入って、淀む。


もう
会社員をドロップアウトしたいし、だからといってフリーランス!なんてのになりたい訳でもない、最悪フリーターだけど、本当に働きたくない…時間の概念が鬱陶しい。

なるほど、目指すはおじいちゃんなんだなと思った。

え、無理じゃん。

いや、いけるか?

とか思いながら、電車に揺られて気持ちよく寝た。


目が覚めたら、ちゃんと都会の駅で、また時間がきっちりと刻まれていた。

はぁ、うぜー。
と思いながら帰った。


まじ、コンクリートうぜー。
なに土隠してくれてんだよ、うぜーわ。

まじで、なんも分かってねーわ。


という風に、社会不適合者の私の頭はいつも止まらない。


トップ写真は山に咲いてたお花。
ただただ素晴らしい。