見出し画像

動画勢のための学習アプリ

 今度のフリースクールのアクティビティ(平日)は大きな公園へのお出かけなんだって!と嬉しそうに話しながら,中学校のほうの時間割を確認するムスメちゃん。そして目を輝かせながら,プリントをハハに見せて言う。「この日は学校午前中だけだから,午後から(アクティビティに)行ける♡」

 へ~と思ってプリントを見てみると,その日は二日間実施される中間テストの初日だった。

「えっ」ハハ
「えっ」ムスメちゃん

 ムスメちゃんよりは常識人のハハ,思わず聞いてしまった。

「次の日もテストだけどいいの?」
「なんであかんの?」

 なんであかんの?

 いや,あかんことないけどさ,テスト勉強ってしないでもいいもんなんですかねー?って思うのは私だけじゃないですよね?私,了見狭くないですよね?だけどまぁ「あかん」理由は思いつかなかったので,こう告げた。

「まぁいいけどー?」
「えっ何があかんの?」

 マジで「テストだから勉強しないといけない」ということに思い至れない様子。なんかもうビックリを通り越して尊敬!そういうとこ大好き。

 まぁ確かに彼女が中学にあがった時,テストは人と競争するためのものじゃありません,順位を決めるためのものではありません,今まで勉強してきたことが身についているか確認するためのものです,だから点数が問題なのではなくて,どこを自分が復習したらいいか知るために必要なことなのです,ということをくどく伝えはしましたよ?だから「テストでよい点をとる」ということにからきし興味がないのはワタクシの教育の成果なのかもしれないけれども,いやでもさ,テストという区切りで(機会として)学んできたことを頑張って復習してもいいんじゃない?

 と思ってしまうのが,悲しい親心。あまりに勉強のべの字もないムスメちゃんにipadを渡した。せめて自分なりに楽しみながら勉強したらいいんじゃない?と思ったのだ。

 まず彼女に勧めたのが,「English Word Wizard」※1というアプリ。英単語のスペルを覚えるための単語帳みたいなもので,ゲーム感覚で取り組むことができる。3つの段階的なモード設定があって,まずは提示された文字をそのまま配列するだけのモード,次にバラバラになった文字を正しく順番に並べ替えるモード,最後は単語を聞くのみで文字を並べるモードというふうに難易度が変わる。そしてこのアプリがいいのはフォニックス(スペルと発音の法則)も学べるところで,タッチして選んだ文字のフォニックスを読み上げてくれるのである。例えば「cake」の単語を学ぶときに,「c」の文字をタッチしたら「k(ク)」と言ってくれる。初めて系統的に英語を学ぶムスメちゃんにとっては,いい練習になると思った。そしてアプリ内に予め搭載されている単語帳だけではなく,自分オリジナルの単語帳を作ることもできる。今回のテスト範囲は「顔まわりの名詞」とか「色」だったようなので,自分のタブレットで単語を調べながら単語帳に入力をしていた。この作業だけでも,まぁ勉強になるわね・・・日本語対応していないアプリなので表記も全部英語,アプリを使いこなすためにいちいち単語が分からないもんで「これ何?」「これどういう意味?」となるから,それもまた勉強になっているに違いない。と思いたい。

画像1

 もう一つ使ったアプリは,「Bitsboard Flashcards PRO」※2。これはもう教材制作アプリとしてはとんでもなく優秀なアプリで,フラッシュカード(単語帳みたいなもの)を作ると自動的に色んなゲームに仕立ててくれる。単なるフラッシュカード(単語帳)として使うこともできるし,〇×クイズやマッチングクイズなどにも(勝手に)してくれるので,勉強してても飽きないように思う。今回ムスメちゃんが作ったのは社会の教材で,世界の国名53ケ国ぶん。白地図をwebからひっぱってきて番号をふり,国名を入力していった。なかなか大変な作業だったと思うが,「やりながら覚えた~♪」とも言っていたので,効率うんぬんは置いておいても作業自体が勉強になったんじゃないかな。実は作ったこの単語帳(boardと言います),アプリ内でどなたとでもシェアできるので,もうちょっと早く作っていたらお友だちとテスト前にシェアして励まし合うなんてこともできたと思う。いろんなboardを作り合って勉強できたら楽しいんじゃないかな。唯一難点はこちらも日本語対応していないアプリなので,英語が分からない子どもには使いにくいこと・・・まぁ子どものほうが直観的にさくさく使えちゃうような気もするけれど。

画像2

 従来通り教科書とノートで勉強できる子どもさんはそうしたらいいと思うのだけれども,それがあんまり気乗りしないなぁ~っていう,どちらかというと動画勢さんたちはこういうツールを使ってみてもいいんじゃないかなと思う。きっとタブレットを使った通信教育なんかもこんなふうに勉強できるんだろうけれど,「自分で自分のために教材を作る」っていう主体的な行為は,(勉強への)モチベーションアップにつながるみたいデス。

 前にも言ったけれど,私自身はこんなことをしているより「ひたすら書いて覚える」ほうが向いているので,従来の学び方にたまたまフィットしていたのだなぁと思う。きっと当時(私が小中高生だった頃)にだって動画勢の人たちは一定数の割合でいたんだろうから,「書いて覚える」的なやり方がフィットせずに「やってもやってもできない」とか,「そもそもやる気が起きない」なんてこともあったんだろうな・・・そして今だってこうして代替する選択肢(例えばipad)が身近にあるにも拘わらず,それが全く提示されてなかったりする。たとえば黒板をスマホのカメラで写してデジタルノートに保存,そこへさらに自分で調べたあれこれを貼りつけて提出する,なんてことは(現時点で一部の例外をのぞいて)認められていないだろうなぁ。私だってただ黒板をノートにうつすとか,すんごい嫌だけど。パワーポイントの配布資料くれ!そこに必要な情報は書きこむから!って思ってしまう。もし研修会に行って配布資料なし,講師が黒板に書いたことをうつして帰れって言われたらウンザリするよね。子どもにはそれを強いるって,何か特別な理由があるのかなぁ・・・

 そんなこんなでまだまだ「学びかた」の多様性が保障されていない中で割をくってしまっている動画勢(※3)の方々に,いろんな学びかたがあるよっていう選択肢の提示ができる場を近いうちに作ろうと思っている。でもその話はまた改めて。

※1
English Word Wizard
有料アプリ(600円)で,App Storeでの購入はこちら
デベロッパのHPで使い方動画が見られます。

※2
Bitsboard Flashcards PRO
有料アプリ(2400円)ですが,無料版もあってそちらでも十分使えます。App Storeでの購入はこちらデベロッパのHPで様々なゲーム画像が見られます。

※3
この呼称が適切なのかは分からないんだけれども,私はテキスト情報を好む文字勢で,それに対して画像情報を好む動画勢がおられると考えている。SNSの好みで分けるとするなら,前者(文字勢)はTwitter,後者(動画勢)はInstagramに分かれる気が個人的にはしている。私は明らかにインスタをずっと見ていられるタイプじゃないけれど,ムスメ氏は何時間でも飽きずにインスタの画像や動画を見てるもんね・・・きっと私は途中で「文字くれ!」ってなると思う・・・

細々noteですが、毎週の更新を楽しみにしているよ!と思ってくださる方はサポートして頂けると嬉しいです。頂いたサポートは、梟文庫のハンドメイドサークル「FancyCaravan」の活動費(マルシェの出店料等)にあてさせて頂きます。