自分の“トリセツ”をつくるライティング術

書いたらスッキリした。なんて経験、ありませんか?「書く」ことは、相手に何かを伝える手段、だけではありません。自分の考えを見つめ人生をより良くするツールとしても使われるのです。

今回ご紹介する本は、『書いながら考えるとうまくいく!ープライベート・ライティングの奇跡 』。


情報が溢れすぎて自分の願望や本音がわからない......。そんな方へ、自分を知るためのライティング方法をご紹介します。

プライベートライティングとは?

そもそも、「プライベートライティング」とは何か。著書では以下のように説明しています。

自分のためだけに、すばやく思考を紙の上に書き出す方法

つまり、他人に見せることを目的とするのではなく、自分しか見ないことを前提に書く文章です。使うのは、いわゆる秘密のノート。頭に浮かんだ言葉を書き続けることで、思考を整理させていきます。結果として、抱えている悩みや現状の打開策が見つかり、改善するきっかけになるのです。

プライベートライティングを始める上でもっとも必要なことは、「文章を書くなら、論理的にわかりやすく書かなければいけない! 」とプレッシャーを脱ぎ捨てること。他人に見せることはないので、上手く書こうとする必要はありません。自分の気持ちに素直にペンを走らせましょう。

とはいえ、日頃から周りの目を気にせざるを得なかったり、周囲へ配慮をする気持ちが強い人は、なかなか自分の気持ちを解放させることが難しいかもしれません。

そこで、効果的なプライベートライティングの実践方法をご紹介します。

準備すべきこと&やり方のコツ

準備するものは、ノートとペン。もしくはパソコン。ご自身が書き込みやすい方を選んでくださいね。

書き始める前に知っておくべきポイントは、主に3つです。

・肩の力を抜く
・速く書き続ける
・タイマーで10分間隔のカウントダウンを行う

肩の力を抜くためのコツは、90%の力で書くこと。リラックスした状態でこそ本音や良いアイデアが生まれます。そして思い浮かぶ言葉を、選別せず書き続けましょう。メモを残すように殴り書きするイメージです。

他人には見せないので文字が汚くても気にすることはありません。始めるときはタイマーをセットすることを忘れずに。10分間と時間を限られることで集中して取り組むことができます。

ここまで、プライベートライティングを始めるにあたっての準備を説明してきました。

書くことに抵抗がある方や、時間がかかるのではないかと懸念されている方は、「思考を整理することが目的ならわざわざ書かなくてもいのでは? 」と思うかもしれません。

でも実は、心の中で自問自答するだけでは思考を深めることは難しいのです。著書では、書く必要がある2つの理由を紹介しています。

1.思考は散らばってしまう
人は、Aという話題について考えていたはずが、「そういえばBの出来事もあって、Cになって、結果的にDにしたんだよね。あ、でもEがFで〜。」と、芋づる式に思考が飛躍し、気がつくとあれ?何について考えてたんだっけ?と思考が飛躍する生き物です。

友達とカフェで話しているときのことを思い出してみてください。あれこれ思いつくままに会話が続き、何の話をしているわけでもなく楽しい時間が過ぎることはありませんか?

これを自分との対話に置き換えて考えてください。せっかく考えていたビジネスや生活についてのアイデアが消えてしまってはもったいないですよね。ですが、文字にしていれば「何について何のために考えているか」を、文字として残っているためいつでも思い出せます。

思考が飛躍することは悪いことではありません。ですが、散らかる思考さえも書き記しておくことで、考えたいテーマや目的を思い出すことができるのです。

2.自分が踏んだステップを再現できるようにしておく
頭の中で考えていることは、ふとした瞬間に忘れてしまうもの。
例えば、読書をしながら本の内容に頭を巡らせていても、犬が急に膝の上に持って来たり、外で子供の鳴き声が聞こえたら......。意識が他の出来事に向けられてしまいますよね。さらに時間が経った後、自分が何を考えていたかを思い出すことはなかなか難しいものです。

そこで必要なのが、書くこと。頭の中を急いで過ぎ去っていく考えをメモしておくことで、後々見直したときには自分にとって価値のあるアイデアになっているかもしれません。また、結論にたどり着くまでの道筋も残っているので、何でこう思ったんだっけ?と振り返るときにも一役買ってくれるでしょう。

書くことで、思考は残ります。

著書にはいくつかのプライベートライティング方法が記載されており、私自身もそのひとつを実践してみました。

実際にやってみた!

まずはノートの1ページ目に「お気に入り」と書き、最終ページには「ダメなこと」と書きます。「お気に入り」のページには、いま頭の中にあるポジティブな思考を。「ダメなこと」のページには、ネガティブな思考を。それぞれを10分間ずつ書き出していきました。

いざ書き始めると、最初は建前のような遠慮がちな言葉が続きます。次第に、「実はこう思っていた」と本音が出てきてくれるように。10分間という時間を区切ることで集中力も続きます。

普段全く考えていない思考や感情が出てくることもあり、自分のことながら驚く場面も。書くことで、新しい気持ちや考えに気づくことができました。

後から読み返しても、「なぜそう思ったのか、何を思い浮かべて書いたのか」を思い出すことができる。続けていくことで、自分を知るための材料が溜まっていきそうです。


著書の最後には、「フォーカスしたものが自分自身だ」と述べられています。

プライベートライティングで書き出した内容は自分自身そのもの。自分が生まれ持った身体と心を何に使いたいのか。ノートに殴り書きした内容は、何にフォーカスした生き方を選ぶのかを見つけるヒントが詰まった、いわば自分だけが見る自分自身のトリセツなのです。

自分の人生の手綱を持ち続けるために、プライベートライティングをぜひ実践してみてください。

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