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日本一時帰国中に台風ニュースを見ながら考えたこと

 一時帰国中の出来事のなかで台風19号の被害を目の当たりにしたこと、これはとても大きかったです。

 私が帰国したのが台風上陸の数日前。まだ発生したばかりで速度の遅い台風を、太平洋上で追い越すように戻ってきました。

 7年ぶりに台風を経験するということや、9月の台風15号のイメージも残っていて、けっこう心配しながら見守りました。

 当日は気象庁の「直ちに命を守る行動を」という発表や、都心部の河川の水位が上がっているという情報をニュースで見たけれど、全貌はよく分からないまま一夜が過ぎ、

 朝起きると都内での被害以上に地方で大きな一級河川が氾濫し、甚大な被害がでてしまったというニュースが飛び込んできました。

 (オーストラリアでも大きく報道されていたようで、職場に戻ってからは私の身を心配してもらった声を良く聞きます。)

 私が見たニュースの中でも特に、老夫婦が住んでいた家屋を洪水が襲い、寝室にて旦那さんが(しかも)奥さんの目の前で亡くなってしまった。そういった話を聞くと、ほんとうに身につまされる思いです。

私の実家

 こういった話、けっして他人事では無いんですよね。

 愛知県にある私の実家、4~500年のあいだ農家(百姓)として同じ町に住んでます。祖父が家系図を作るのに携わっていたこともあり、江戸時代が始まるちょっと前ぐらいからの記録が残ってます。(祖父母の世代でいわゆる兼業農家になり、それ以降は農家としての実態は全くないですが)

 そして集落のすぐそばには二級河川が、曲がりくねったように流れている。

 昔から川の近くに田んぼがあり、住居もそのすぐ側にあるというのは必然だったんでしょう。そして昔は川の氾濫が起こったとしても、よほどの事が無い限りその土地を離れる事はなかった。田んぼを守りながら暮らしていたんだと思います。

仮定の話で、もし洪水被害を受けたらどうするのか

 台風のあった日、市が発行している洪水ハザードマップで実家のエリアを調べてみました。それによると100年に一度の洪水が起これば、0~50㎝までの浸水が予想されるという事。

 (予測は100年に一度の規模、それを超える可能性だっていくらでもあるわけで怖いですね)

 もし仮に洪水で家の大規模な修理が必要になったり、はたまた台風で屋根が飛んでしまったらどうするんだろうか?

  両親たちの意向は分かりません。が、少しづつ高齢になる世帯が大枚はたいて家を直す事は正解なのか?(一般論としても経済的にそれができない家庭も実際は多いんじゃないだろうか??)

市街化調整区域とは

 また別の事情もあります。自分の実家は市街化調整区域なんですね。それは何なのか調べてみると

市街化調整区域とは…市街化を抑制するために、住宅や施設などを積極的に作って活性化を行わない地域。一般的な住宅や商業施設などを建築することが原則として認められていない。

 ”市街化区域”には、住宅地やスーパーが作られ、電車やバスへのアクセスも良く生活が便利になっていく。

 そこに入っていない”調整区域”は(ざっくりと言えば)”生活利便性は上げられないが、静かな環境、日本らしい農村の風景を守りながら暮らして下さい”という感じでしょうか。

 ただ仮に調整区域に住んでいたとしても、(まがりなりにも自動車メーカのお膝元)車さえあれば周辺を含めた生活圏としてはその利便性はそんなに悪くないんです。

 ただこれからもっと高齢者世帯が増えていくと、”車があれば”という前提は成り立たなくなってきて

 車で20~30分という距離、昔なら問題なかったけど今はちょっと難しいという高齢者。私の実家周りを思い浮かべるとたくさんいらっしゃいます。

高齢化する街と自然災害リスク

 市の都市計画ホームページを見ると、”鉄道など公共交通を活用してコンパクトにネットワークで繋がった街を作ろう”という今後の方針が書いてました。

 確かにこれまでは、田畑や古い住宅地の合間に、自動車工場、従業員とその家族向けの住宅が乱立。

 鉄道駅も人の多い住宅地と上手くリンクしていないため、結局は車が必要という完全な”自動車社会”だったんですね。

 (製造業で働く若者が急激に増えた時代に、急ごしらえで無秩序に街が広がった感じ)

 それに比べるとホームページで見つけた市の都市計画は大きな方向転換ともいえ、(大袈裟かもですが)隔世の感を感じますね。

 これって高齢化が大きな理由にはなっていると思うんですが、(台風ニュースを見ながら)自然災害のリスクを考えてもそうせざる負えないと思います。

 その結果として、私の実家の様な地域はさらに街の発展から取り残され、長期的にはどんどん住む人が減ってしまうのかもしれませんが。

最後に

 農村を守るというレガシーシステムの中に留まり、街の発展にある意味”ぽっつり”と取り残されてきた私の実家周辺。

 今後は高齢化や自然災害のリスクをきっかけに、いよいよ大きく変わっていくのかなあと感じました。

 ただ、実際に自然災害が起こってしまい”変わらざる負えない”。そんなことが起きないのを願うばかりです。

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