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中学最後の思い出にうまい棒180本配ったら青春だった話

こんにちは。
ホリプロインターナショナルの「エレベーターで虫と2人きりになった時の緊張感」こと実島大喜です。
今回は中学時代最後の良い思い出話。
途中証拠写真が一枚あります。
拙い文章ですが楽しんでいただけたら嬉しいです。

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3月、中学校の卒業式を終えてから自分は同級生ロスに襲われていた。
というのも、自分の通っていた中学校はひとクラス35、6人かつ8クラスという田舎にしてビッグな学校だっただけに、その9割以上とはもう滅多に会えないかと思うと無性に寂しくて仕方なかったのだ。

寂しんぼの自分は青春の儚さに打ちひしがれていたが、あることを思い出した。
それは近いうちに「公立、国立の高校に進む生徒達の集団説明会」的なのが中学の体育館で行われることだ。(あやふや)
同級生達は公立や国立に進む人が多く、これに行けば皆んなに会えるじゃ〜ん!と気づいたのだ。

因みに、スカタンヌケサク頭パッパラパー、偏差値が絵に描いた餅と一緒の実島大喜は「勉強嫌いだし!中学を卒業したら旅に出たいぜ!!」と結構本気で考えていた。それをせめて高校だけは出てほしいと母にとめられ、しぶしぶ適当に行けるところに行ったのである。(母の素晴らしい判断には頭が上がらないし、自分は結局大学まで行く)

しかしただ説明会が終わるまで待ち、出口で再会するだけだと何だか味気ない。
せっかく中学最後の思い出を作るなら楽しい祭りにしよう!と思い立った結果、「高校の合格祝いにみんなにうまい棒を配りまくる」という今思えば謎のイベントを考えついた。
うまい棒にした理由はシンプル。お金がないからだ。中学時代はお小遣い制だったため、全員になにかをするとなったら予算的にうまい棒が限界だったのだ。
思い立ったら即行動。進路が公立国立ではない友人達15人程に連絡を取り、企画の旨を伝えると皆快く参加を快諾してくれた。

当日、友人達とは学校での待ち合わせにし、自分はうまい棒調達のため駄菓子屋に向かった。
この駄菓子屋、というか婦人服屋兼駄菓子屋は今でも閉店していない地元でも息が長いお店で、地元の同級生で知らない者はいない。遠足のおやつも皆ここで買ったのだ。
小中の同級生を語るものが現れて、この店名が言えなかったらスパイである。

てなわけで店員さんに事情を説明し、30本入りのうまい棒を6セットで買わせて貰った。後にも先にこれだけのうまい棒を買うことは無いだろう。
それがコレ⬇︎

2013年3月19日
写真撮っておいて良かっ...11年前!?


うまい棒180本を大型のビニール袋に詰め込んでサンタよろしく肩で担ぎ、自転車でまず友人宅に向かい数名と合流。少し休憩してから待ち合わせの時刻に学校へ向かい全員集合した。
大量のうまい棒に目を輝かせる友人達があまりに無邪気でやけに可愛かった。

改めて友人達に「今からこのうまい棒180本を皆に分配し、説明会が終わり出てきた人達に配る!渡す人は自由!仲の良かった人でも、あまり話せなかった人でも良し!その際に中学最後の語らいをするように!」と説明し、皆にガサガサとうまい棒を分配した。
まだかまだかとじれったい時間が過ぎる中、ついに体育館の扉が開いてゾロゾロと人が出てきた。
それを合図に、「GO!GO!GO!」と全員で同級生達に向かっていく。
同級生達は何事かと一瞬面食らっていたが、「合格おめでとう!」と言いながらうまい棒を渡してくる自分達にすぐ何かしらのアホなイベントだと察して一気に和やかなムードに変わった。

俯瞰で見ると行動範囲の狭いティッシュ配りみたいな状況が少しシュールでもある。

初めは勢いだけで開始したイベントだったが、あっという間に自分の想像以上に盛り上がり始めた。
こっちから声をかけるだけでなく、「実島じゃん!」と向こうから駆け寄ってくれる同級生も多く、うまい棒を渡しながら男女関係なく最後に色んな会話が出来た。進路のことや中学時代の思い出話、小学生からの付き合いだとその頃の懐かしい話なんかも。
杏仁豆腐を作るのが上手だから「アンニン」みたいな変なあだ名で呼んだり、「会う度に誕生日おめでとうと言えばいずれ本当の誕生日を祝える」みたいなくだらないノリも最後かと思うと少ししんみりした。
それに一度も話したことが無かった人達ともコミュニケーションがとれたのは物凄く貴重だった。一本10円の駄菓子をきっかけに最後の最後で相手のことを少しだけ知ることが出来たし、笑顔を向けてくれたことが嬉しかった。

あまりの賑やかさに先生達も様子を伺いに出てきたが事情を説明したら「皆んなと会えるのが最後だし、実島発案ならまぁいいか」的なノリで許してくれた。
先生にもうまい棒をあげた。

ふと辺りを見渡すと、会話の輪が大きく広がっていた。もしかしたら皆んな最後に会えたのに説明会を終えてすぐ帰宅する一連の短い時間が少し寂しかったのかもしれない。
本当にお祭りみたいになっている状況に心が満ち足りるものを感じた。

時はあっという間に過ぎ、沢山の同級生達との別れも無事終えてひと段落したので職員室に向かう。先生達に今までのお礼を告げて、ついでに少しだけ余ったうまい棒も配った。

皆んなから沢山のありがとうを受け取り、沢山のありがとうを伝え、完全にやり切った自分達は青空の下で各々解散した。

自分は友人数名と一緒に、別の場所に遊びに行こうと自転車を押しながら歩く。

突然のイベントに参加してくれた友人達、突飛なことにも関わらず楽しんでくれた同級生の友人達、大目に見てくれた先生達。
とても大切な時間の積み重ねで出会えた人達だなと、周りに恵まれているなと、改めて実感できた。

THE・青春感満載の放課後制服デートだの両想いがどうだのという甘酸っぱい思い出はなかったけど、むさ苦しい友人達に囲まれる少年誌的な青春が出来たことに満足したし、それがお似合いだと思えた。

そんな感傷に浸りながら
「あー、めちゃくちゃ楽しかっけどもう皆んなと会えないのやっぱ寂しいよなぁ」
と言うとそれを聞いてハッとした友達が、

「ってか成人式で会えるんじゃない?」



「そうじゃん。」

おわり

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