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レビューとレポート第50号

レビュー


[1]大阪の日本画と「近代美術」|大阪の日本画展レビュー
石井香絵(美術史研究者)
https://note.com/misonikomi_oden/n/n8ad2581fa622



レポート


[2]コレクションの意義と公共性——世田谷美術館『土方久功と柚木沙弥郎』レポート
東間 嶺(美術家、非正規労働者、施設管理者) 
https://note.com/misonikomi_oden/n/n0ef6533655d3



[3]開館60周年記念 走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代 京都国立近代美術館 レポート
https://note.com/misonikomi_oden/n/nc823de0a182d




お知らせ

これから


ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?
―国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

中世から二十世紀前半までの西洋美術のみを収蔵/保存/展示している国立西洋美術館には、いわゆる「現代美術」は存在しません。そこは基本的に、すでに死者となって久しい遠き異邦の芸術家らが残した産物が集っている空間です。この展覧会ではしかし、そんな国立西洋美術館へと、こんにちの日本に生きる実験的なアーティストたちの作品群 ― 故人のものも含みますが ― をはじめて大々的に招き入れます。

飯山由貴|梅津庸一|遠藤麻衣|小沢剛|小田原のどか|坂本夏子|杉戸洋|鷹野隆大|竹村京|田中功起|辰野登恵子|エレナ・トゥタッチコワ|内藤礼|中林忠良|長島有里枝|パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)|布施琳太郎|松浦寿夫|ミヤギフトシ|ユアサエボシ|弓指寛治。

画像提供:国立西洋美術館 広報事務局



本間メイ《Bodies in Overlooked Pain》2020年 

さいたま国際芸術祭2023市民プロジェクト「創発 in さいたま」
Women’s Lives 女たちは生きている―病い、老い、死、そして再生

誰もが人生で直面する病、老い、死、そして誕生、魂の再生といったライフコースを、女性の視点から来館者と共有することとしたい。
今展では、テーマを「女性の生活」に絞っており、人間が生まれてから人生を営み、その生を終えるまでを、女性の視点や立場から表現する作家たちの作品からたどってみたい。
今展の出品作家は30歳代から60歳以上まで年齢層も幅広く、その手法も多岐にわたっている。彼女たちの多様な手法による生命と死をめぐる表現を見ることで、幅広い世代にわたる女性も男性も、自分自身の人生や生活をふりかえる機会になるだろう。特に妊娠や出産、育児という人生のエポックの経験により、キャリアの中断につながりがちな女性の人生を、女性作家たちの表現によって前向きにとらえ直し、ジェンダーの視点から社会意識の変革を目指す。またふだん意識の隅に追いやられている病気や死というネガティブな体験にもアートを通して向き合い、誰にも降りかかることを意識し、魂を慰め身体をケアする、生命の再生への希望を観客と共有して、人々がマイノリティの視点から人生に向き合うことにつながるだろう。

PRより

出品作家:一条美由紀、菅実花、岸かおる、地主麻衣子 J、須惠朋子、本間メイ、松下誠子、山岡さ希子
キュレーター:小勝禮子
さいたま市プラザノース ノースギャラリー
2023年10月9日(月) ― 10月22日(日)/11:00〜18:00
会期中無休 入場無料
https://womenslives.mystrikingly.com/?fbclid=IwAR27Gbb0FBCy-fVfXqdv70dcvYjehvAmTgH1XtQLtM_t7UIVFX70uNvafoI

アーティスト・トーク 
出品作家全員による自作についてのリレー・トーク
10月9日(月)
午後2時より:松下誠子、一条美由紀、岸かおる、山岡さ希子
午後4時より:菅実花、本間メイ、地主麻衣子、須惠朋子
モデレーター:小勝禮子



《口座開設》1996年- 作家蔵 撮影:加藤建

豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表

豊嶋康子(1967-)は、1990 年より30 年以上にわたって、私たちを取り巻くさまざまな制度や価値観、約束事に対して「私」の視点から独自の仕方で対峙し続けてきた作家です。物や道具の仕組み、学校教育、経済活動から日常の様々な行為まで、私たちに避けがたく内面化、自動化されてきた思考や行為の枠組みやルールを、自身の感じる違和感や関心を梃として独自の仕方で読み替え、捉え返すことで、人の思考の型の形成、社会と自己の成り立ちの在り様を問うてきました。
……本展は、こうした豊嶋の制作の全貌を、初期作品から新作まで400 点近くを一堂に集め検証する初めての試みです。あまたある世の決まりごとに「私」を交差させる豊嶋の作品は、システムと不可分の存在であり続ける私たちに、多くの示唆を与えてくれます。「天地」や「左右」はどのようにして決まるのでしょうか?あるいは裏と表をひっくり返すことは?
自身の思考を素材とする一種の潔さとユーモアをもって、私たちをめぐる事物に対する「私」の応じ方をかたちにし、さまざまなシステムと「私」双方の「発生法」を捉えようとする豊嶋の制作は、私たちの思考や行為、そして自由の領域について、あらためて捉え返す契機を与えてくれるに違いありません。

PRより

東京都現代美術館 企画展示室 1F
2023年12月9日 -2024 3 月10日
休館日:月曜日(1月8日、2月12日は開館)、12月28日-1月1日、1月9日、2月13 日
開館時間 10:00-18:00
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/toyoshima_yasuko/

画像提供:東京都現代美術館



黄色地松皮菱繋ぎに檜扇団扇菊椿文様紅型胴衣 木綿、型染 19世紀 丈95.0cm
白掛色絵梅竹文碗 壼屋 19世紀 7.3×13.5cm

豊田市民芸館開館40周年記念特別展「沖縄の美」(日本民藝館巡回展)

日本本土や中国、朝鮮、東南アジアの国々の影響を受けながら琉球王国として独自の文化を形成してきた沖縄。その地を日本民藝館創設者の柳宗悦(1889-1961)が初めて訪問したのは1938年のことでした。
「私たちのように伝統的な工藝品を求めて各地を歩いている者には、琉球の存在は誠に奇跡のようなものであった」と柳は絶賛し、以来、民藝運動の仲間とともに計4回にわたり沖縄を訪れます。土地の風物や言語、暮らし、自然の豊かさに感嘆し、工藝調査や蒐集を精力的に行い、展覧会や雑誌『工藝』などを通してその成果と魅力を広く紹介してきました。
本展では令和4年度に本土復帰50年を記念して日本民藝館で開催された特別展を再構成します。型紙を使って文様を染める華やかな紅型の衣裳や手描きで糊引きするうちくい(風呂敷)、芭蕉や苧麻、絹、木綿などを材に地域ごとに特色のある縞や絣の織物、技法も形態も多様な陶器や漆器とともに、柳らの訪問時に撮影された戦前の沖縄を紹介する写真もあわせて展観。改めて沖縄が「美の宝庫」であることを紹介します。(PR)

豊田市民芸館 第1・2民芸館
2023年10月7日 - 12月3日
9:00 - 17:00
休館日:月曜日(10月9日は開館)
https://www.mingeikan.toyota.aichi.jp/

画像提供:豊田市民芸館


開催中


展示風景 手前:棟方志功《華厳松》1944年 躅飛山光徳寺  

生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ

「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家・棟方志功(1903-1975)。一心不乱に版木に向かう棟方の姿は、多くの人々の記憶に刻み込まれています。棟方が居住し、あるいは創作の拠点とした青森、東京、富山の三つの地域は、それぞれに芸術家としての棟方の形成に大きな影響を与えました。棟方の生誕120年を記念し、各地域の美術館(富山県美術館、青森県立美術館、東京国立近代美術館)が協力して開催する本展では、棟方と各地域の関わりを軸に、板画、倭画、油彩画といった様々な領域を横断しながら、本の装幀や挿絵、包装紙などのデザイン、映画・テレビ・ラジオ出演にいたるまで、時代特有の「メディア」を縦横無尽に駆け抜けた棟方の多岐にわたる活動を紹介し、棟方志功とはいかなる芸術家であったのかを再考します。

WEBより

東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
2023年10月6日 - 12月3日
10:00 - 17:00(金曜・土曜は10:00 - 20:00)
休館日 月曜日(ただし10月9日は開館)、10月10日(火)

https://www.momat.go.jp/exhibitions/553
https://www.munakata-shiko2023.jp/

画像:プレス向け内覧会で撮影



開館35周年記念 福田美蘭―美術って、なに?

福田美蘭(1963-)は、東京藝術大学大学院を修了後、具象絵画の登竜門といわれた安井賞を最年少で受賞し、国内外で活躍を続ける現代美術家です。現代社会が抱える問題に鋭く切り込み、東西の美術、日本の伝統、文化を、意表を突くような手法であらわしたりして、私たちの既成概念を打ち破ってきました。
本展では、古今東西の名画に福田独自のユニークな視点で向き合った作品から、国内外の時事問題をテーマに鋭い視点で切り込んだ作品まで、約50点で福田美蘭の世界観を紹介します。本展のために新たに制作された作品も公開予定です。

WEBより

名古屋市美術館
2023年9月23日 - 11月19日
休館日:月曜日(10月9日は開館)、10月10日
9:30 - 17:00(11月3日を除く金曜日は20:00まで)
https://static.chunichi.co.jp/chunichi/pages/event/fukudamiran/

画像:プレス向け内覧会で撮影



土方久功《二人-にらめっこ》1965年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏
柚木沙弥郎《町の人々》2004年、世田谷美術館蔵 撮影:上野則宏

土方久功と柚木沙弥郎 熱き体験と創作の愉しみ

土方久功は、東京美術学校(現・東京藝術大学)彫刻科を卒業後、1929年から42年まで、当時日本の委任統治領であったパラオ諸島や、カロリン諸島中部のサタワル島で過ごしました。現地の人々と生活しながら制作に励む一方、周辺の島々を巡り、生活様式や儀礼、神話などの詳細な調査も熱心に行いました。帰国後は世田谷区の自宅で、ミクロネシアの人物や風景を主題とした木彫レリーフやブロンズ彫刻、水彩画を数多くのこしています。
柚木沙弥郎は東京帝国大学(現・東京大学)文学部美学美術史科で学んだ後、柳宗悦が提唱する「民藝」の思想と、芹沢銈介の型染カレンダーとの出会いを機に染色の道を志すようになりました。以来、鮮やかな色彩と大胆な構図の型染による作品を発表するほか、立体作品、絵本まで精力的な創作活動を展開しています。100歳を迎えてなお活躍を続ける柚木の作家人生においては、海外でメキシコの玩具などを目にした経験が、より自由な表現へ向かう契機となりました。
本展では世田谷美術館の収蔵品に作家やご遺族が所蔵する作品と資料を加え、パラオ諸島や周辺の島々での稀有な体験、そして日常の身近なものや出来事に潜む面白さを源泉として生まれた二人の創造の世界をご紹介します。

(PRより)

2023年9月9日 - 11月5日
世田谷美術館
10:00 - 18:00(最終入場時間 17:30)
休館日 :毎週月曜日 ※ただし9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開館、9月19日(火)、10月10日(火)は休館
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/

本誌で詳細なレポートを掲載しています。→ https://note.com/misonikomi_oden/n/n0ef6533655d3 

画像提供:世田谷美術館



山田寅次郎が著した『土耳古畫觀』(1911年)より  大橋上の群衆
会場風景 撮影:木奥恵三

山田寅次郎展 茶人、トルコと日本をつなぐ

明治時代の青年たちは、更なる魅力ある日本を求めて、 世界へ出て見聞を広めた。
1890年、日本に到着したオスマン帝国軍艦・エルトゥールル号が、帰路、台風で乗組員のほとんどが命を落とした事故に心を痛めた青年、山田寅次郎は義捐金活動を開始、集めた義捐金を持参しオスマン帝国へと向かいました。 わずか24歳の目に映ったのはオスマン文化の荘厳さと人々の暖かさでした。 本展は、山田寅次郎という明治の人物を介し、日本とトルコという異なる歴史を持つ2つの国が交流する様子を伝えながら、相手の文化を深く尊敬することの大切さを感じる機会にしたいと思います。

(WEB)

ワタリウム美術館
2023年8月11日 - 11月19日 休館日:月曜日(9/18、10/9は開館)
11:00 - 19:00
大人 1,400円 / 学生(25歳以下)1,200円
※入館料のうち、お一人200 円を義捐金としてトルコ地震の被害地へ寄付させていただきます。

主催:山田寅次郎展実行委員会(一般社団法人山田家・駐日トルコ共和国大使館・ワタリウム美術館)
http://www.watarium.co.jp/

画像提供:ワタリウム美術館


ワークショップやディナー、コンサート、そしてトークイベントを通じてトルコ文化を体験し学ぶことができ、シーシャを楽しみながらアート映像を見たりする会も。毎週木・日曜には抹茶が、火曜にはトルココーヒーを館内で楽しむことができます。そして毎日チャイを楽しみつつキュレーターかスタッフによる解説を聞く時間もあります(いずれも有料)。詳細はWEBで。




表紙について


満月の夜、空からひみつの少女が降ってきた!? 幼稚園児との波乱万丈生活のはじまり、はじまり☆★☆

解説
ウサギと仏を神仏とする寺に生まれた一人息子が秘密の多い少女(幼女)と出会い、共に暮らして面倒を見たり見られたり幼稚園の先生に恋をしたりしながら成長する物語を想定した表紙絵になっています。
川村美香『だぁ!だぁ!だぁ!』(1998-2002年、講談社「なかよし」連載)や、槙ようこ『愛してるぜベイベ★★』(2002-2005年、集英社「りぼん」連載)などの作品を参考にしています。

宮野かおり




あとがき


原稿募集中です。掲載希望される方は下記連絡先まで。
美術展のレポートやお知らせでの掲載や取材を希望される方はプレスリリースを下記連絡先まで送ってください。
展示内覧会へ招待いただければ取材へうかがいます。

画像は全て許可を得たうえで掲載しています。無断転載はできません。

企画・編集:みそにこみおでん
スタッフ(校正担当):シロクマ
表紙絵:宮野かおり
連絡は下記へみそにこみおでん宛にお願いします。
E-mail: aspma260[あっと]gmail.com
X(旧:twitter):@misonikomioden
facebook: https://www.facebook.com/misomuoden


レビューとレポートバックナンバー
https://note.com/misonikomi_oden/m/m075a5bacea51