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いつかオーロラを見たいあなたへ。

「オーロラだよ!!!」

スイス人のヨランダが、皆んなを呼んだ。


まだ9月の終わり頃。秋が深まり、寒くなり始めた頃だった。私が居るのは、ノルウェーの北極圏にある、トロムソ

2016年の事だった。


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(ノルウェーMAP: 阪急交通社のHPより)


オーロラの見える街:トロムソ


トロムソの名前を聞いた事ある人は、相当北欧好きかも知れない。ワーホリでノルウェーに来て初めて知る土地だった。旅の最初から、トロムソを目指していた訳でなく、WWOOFの滞在先がたまたまトロムソにあった。

この、WWOOF(ウーフ)と言う世界的なコミュニティをご存知だろうか。オーガニックな暮らしをしている人達と、そのお手伝いを住み込みでしたい人達を繋げるウェブ上の情報サイト。そのサイトはいわゆるメジャーな国ごとにあり、登録料約3000円/年払うと、ホストの詳細情報にアクセスできる。農家やヨガセンター、個人宅。選択肢は色々ある。登録料以外に金銭のやり取りは無く、労働のお礼に寝床と食事を頂く仕組みだ。お金は稼げなくても、ローカルと深く関わり、他の国からの滞在者とも共同生活が出来る。(日本のWWOOFサイト

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そのWWOOFを通して、8月の終わりからトロムソの野菜農家さんの家にお世話になっていた。同じ様にお手伝いしていた若者は他にも数人いて、ひとつの家で共同生活をしていた。大体がヨーロッパの学生。公用語は英語。良い事も悪い事も、一緒に分け合う仲間達。

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(フランス、スイス、ドイツ、オランダ、ロシア、アメリカ、日本。色んな国からWWOOFをしに集まっていた。)


そんなWWOOF先でのある晩。

23時頃だっただろうか?オーロラが見えると、ヨランダがバルコニーから叫んだ。2人で皆んなを起こして、一斉にバルコニーへ駆け出す。

すると東の空がうっすら緑色に光っている

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私達の滞在先は、街の中心地から車で30分程離れた郊外にあった。途中で大きな橋があり、それで大きなフィヨルドを渡るので、街の光はそこまで強く影響しない。バルコニーからは、その街の一部と大きなフィヨルドと山々がパノラマで見られる。

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いつも美しい景色を見ながら、農作業をしていたのだが、こんなにも簡単にオーロラが見られるとは誰も思っていなかった。しかも家のバルコニーから。この日のオーロラは少し遠くで、弱く光っていた。それだけでも、皆んな感動していた。



それから数日後、何とも凄い大きさのオーロラが現れた。

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玄関の方から、私達のいるバルコニーへと流れて来る。まるで大きな河の様だった。皆んな我を忘れて大歓声!!私はその全貌が見たくて、家の外に飛び出した。

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家を飲み込んでしまうぐらいの、大きな光のうねり。恐怖さえも感じる壮大さ。もちろんカメラには収まり切らない。オーロラとは何なのか、今でも私は理解出来ない。科学的な説明を聞いても、宇宙でのイメージ映像を見ても、理解出来るものじゃ無い。でも、ただただ、その存在が好き。どんなに見ても、見飽きない。


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太陽からの風。オーロラとの出会い。



トロムソの気候と、オーロラについて



ノルウェーにも日本と同じ様に夏があり、半袖が心地よい季節もある。ただ、短い。北に行けば夏はさらに短い。そして白夜と言って、太陽が沈まないのが北極圏の夏でもある。私はその終わり頃、トロムソにやって来た。白夜の季節が終わると、徐々にオーロラの季節がやって来る。トロムソでは天気が良ければ、9月の末からオーロラが見られるのだ。そんな時期にもオーロラが見られると言うと、大半の人が驚く。私も実際驚いた。

オーロラの季節になると、オーロラ予報というものをよく見るようになる。今日のオーロラは自分の地域でどのぐらい見えるのか、近隣の地域ではどうなのか、予報が出る。と言っても、オーロラは昼でも夜でも、常に地球の極地で出ている。強弱はあるが。それが曇っていたり、太陽が出ていると私たちの肉眼では見えない。


オーロラを見たい方へ



ここで少し、オーロラをいつか見てみたい方のためにアドバイス。

私が居たトロムソという場所は、オーロラが見えやすい街。観光客も毎年沢山訪れ、日本からも直行便が出ている。 

オーロラシーズンの始めは(9~10月)、日本の秋〜晩秋ぐらいの気候。時間に余裕を持てる人向けにオススメの季節。オーロラを眺めながら、夜の森を散歩したり、寝っ転がって眺める事も可能なぐらいの気候だ。ただ、防寒着をしっかり着込んでの話だけれど。オススメな季節でもあるけれど、曇りや雨の日もなかなか多い。だから、2-3日だけ滞在して壮大なオーロラを見るのはかなり難しい。出来れば、1週間は滞在してもらいたい。オーロラを見る以外にも、街の博物館にいったり、山登りしたり、色々出来る。コンパクトで多様に楽しめるのが、トロムソの良いところ。「北のパリ」とも呼ばれている。

冬になると、太陽が山より高く登らなくなるので、暗い時間が長くなり、相当寒いけれどオーロラを見られるチャンスは増える。ただ、その確率は100%には決してならない。曇っていては見えないからだ。北欧ならではの雪景色を楽しんで、出来たらオーロラも!という方にはオススメの季節。オーロラツアーに参加すれば、温かい環境で、オーロラを見られる事もあるが、お金に余裕がある時の選択肢なのは間違いない。ツアー会社は、オーロラを見せる事に最善を尽くしてくれるはずだけれど、見られるオーロラのサイズや、濃さ、距離感までコントロール出来ない。

オーロラは、博物館の展示物や、ブロードウェイのショーとは違う。まるで野生の生き物かの様に、条件が揃った時にそのダンスが見られる。なるべく長い期間滞在して、長い間外で過ごせる服装で行くことが何よりも大事だと思っている。オーロラを一生に一度で良いから見たい方は、是非最善を尽くして頂きたい。本当にオーロラは素晴らしいので。


真上にオーロラが現れた時、その壮大さは理解を超えていた。その素晴らしさに涙を流すというよりは、壮大すぎて笑ってしまったり、歓声をあげてしまう程。


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光が当たった、緑のカーテンの裾が翻るのを下から見ている様な。誰かが緑・白・ピンクの絵の具で自由に一筆書きの絵を書いている様な。

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とにかくオーロラは、見た人にしか凄さは分からない。なるべく外に出て、オーロラの壮大さを感じて欲しいと思うので、トロムソで見るならオススメは晩秋。(といっても、私は冬にはまだ訪れたことが無いのだけど。)

1週間ぐらい、自炊が出来る部屋をAirbnbなどで借りれたら、滞在費が格段に節約出来る。キャンプ好きならギアを持って行く事をオススメする。北欧はキャンプ帝国。民家からある程度離れていれば、どこでもキャンプして構わない。(白くまが生息する島以外は。)ただし、彼らの大切な自然を汚さない事。

ノルウェー以外にカナダやアメリカ、ニュージーランドでもオーロラは見られる。勿論ノルウェーの近隣国でも。ぜひ作戦を練って、オーロラハントに挑戦してもらいたい。Good luck!



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