1/3日記 低温調理の「変さ」とAirpodsProのケースに印字しておくべき文字列

妻の実家から帰ってきて、今年初めて一人の家で寝た。

他人の意思が介在しない空間での生活は「じゃあ100%自分の意思で行動を決めているか?」と聞かれると全くそんなことは無く、むしろ誰かと生活しているときよりも自分の意思通りに行動できない気がする。
一人の暮らしはなんというか、とろみのついた濁流がゆ~っくりと流れながら空間を支配していてこの「流れ」に抗いきれないまま生活している。「本当はこうするのがいい」と思っているのに一人だと「ぬた~」っとしてしまう。

年末のボウリング大会でもらった低温調理器を使って鶏むね肉を柔らかくする。低温調理、やるのはこれで二回目だけど、変な調理方法だ。まずこの低温調理器で鶏むね肉を調理することをなんと呼んでいいかわからない。行為としては「茹でる」が近いと思うんだけど、肉とお湯はビニール袋を介して交わらないので「茹でる」とは何だか違う気もするし、沸騰させないで60℃くらいの温度にしかならないのもやっぱり「茹でる」とは若干心持が異なる。そしてそこそこ大量のお湯を使うわけだけど、このお湯は純粋に熱を食材に伝えるためだけに使用され、肉とも調味料とも混ざらないので調理前と調理後で何ら形質が変化しない。それもなんだか妙な気分になる。なにより落ち着かないのは調理に2時間かかる。2時間。普段の自炊にかける時間とはかけ離れている時間だ。低温調理器は調理工程に2時間の「待ち」が発生するわけでこの時間をうまいこと生活に嵌め込まないとかなり取り回しの悪い家電になってしまう。こういった、こまごまとしている微妙な「ズレ」がたくさんあるので低温調理器の調理体験は総体として「なんか変なの」という感じになる。
とはいえこれは慣れの問題でもあると思う。多分、炊飯器が出始めたときも昔の人は「変なの」と思ったに違いない。

妻とのLineで、妻がAirpods proを注文するにあたってケースに無料で印字できる文字列をどうするか?という話になった。あれ、なんか面白い、気の利いた一言でボケなければいけないようなプレッシャーがあり、そして本当は別にそんなプレッシャーを感じるのは間違っている、というのは分かっているのに、でも…という具合に心をかき乱してくる。そうではなく、よく検索してしまうこと(私の場合はA4サイズの大きさ)を書いておくのがいいのではないかとも提案したが却下された。

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