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タワーダンジョン #01 についての備忘録|弐瓶勉

未完結作品単巻の感想はいままで書いてないけれど、久しぶりの漫画感想。

'24/03/13 Kindle


一面の風景を遮る「古の塔」へ
宙に浮くダンジョンへのはじめの一歩

「シドニアの騎士」の弐瓶勉、再始動

「シドニアの騎士」アニメ版をきっかけに追いかけている弐瓶勉氏の新シリーズ。

原作を務めたアニメーション作品「大雪海のカイナ」を除けば、なかなか綺麗な完結を迎えた「人形の国」以来2年ぶりの作品となる。

王道を行く?ハック・アンド・スラッシュ!

デビュー作「BLAME!」以来SF的な作風で根強いファンを集めてきた弐瓶氏がどうやら流行りのダンジョンものファンタジーを書くらしい。タイトルと表紙からストレートにくるのかはたまた変化球なのかと伺いつつ、ようやくページを捲ってみた本作だが、まずは「ウィザードリィ」的な王道ハクスラと言った様相だ。

農民だった主人公が負傷兵の補填として徴発されて、死霊術師が呼び出した太古の塔へ足を踏み入れる、という始まりはジュブナイル寄りのJRPG的ですらある。

「第1話、餌巻き名人ユーヴァ」より、主人公ユーヴァ

とはいえ絵柄や登場人物たちの性格・言動、行く手を阻むモンスターたちの手強さは二瓶節が利いている。世界観的なシビアさはソウルライクといったところか。RPG的なアイテム要素も取り入れてはいるが、油断すれば部隊の全員が即死しかねないひりついた空気は流行りの路線とは一線を画す。

行く手を遮る門衛との戦闘

書き込まれたアクション描写などは自分も含めたファンの待ち望んだものだろう。

弐瓶勉の「原点回帰」?

「弐瓶勉がファンタジー」と言うとどんな心境の変化と思わなくもないが、ファンタジーをSFに転じるのはままある展開なので、その意味ではむしろどんなギミックを入れてくるのか期待するところだ。

捉え方を変えて「全貌不明のダンジョンへの挑戦」という題材は振り返ってみるとデビュー作「BLAME!」を想起させる。これは流行りに乗ったというよりも原点への再訪だ。

新米3人、与えられた命は王女の奪還

コミックス第1巻は初めてのダンジョン探索と訓練を経て騎士になった主人公がさらなる使命を受けたところで終わる。チュートリアル終了だ。これから作者が生み出してくれる世界観や物語の広がりに期待する。


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